大石本家
直方でこよなく愛される銘菓「成金饅頭」
投機の大失敗から生まれた銘菓
かつて炭鉱で賑わった福岡県直方市を代表する銘菓が成金饅頭だ。見た目はどら焼きのようで、モチモチした皮に「ねじり梅」と呼ばれる梅のマークが刻印され、豆の粒が少し残る白餡がたっぷり挟んである。地元ではふだんのおやつとして親しまれているほか、贈答用や結婚式の引き出物などに用いられ、同市にしっかり根を下ろした銘菓となっている。成金饅頭が誕生したのは、日露戦争で好景気に湧いた明治時代。直方のある青年が投機目的でうずら豆を大量に買い込んだ。価格上昇を見込んでいたが、戦争終結で相場が下落し大量の在庫を抱えることになってしまった。そこで、処分のためうずら豆で白餡を作り饅頭を製造したところ、好評な売れ行きだったのが始まりだと伝わる。当時、直方は炭鉱で栄えており、重労働の炭鉱労働者たちが甘い菓子を好んだことも幸いした。「成金」という名については諸説あるが、炭鉱で財をなした「成金さん」にちなんだものといわれ、考案者が「ひとりで儲けようとは思わない」と商標登録しなかったため、市内には成金饅頭を作る店がたくさんできた。
地元の人はそれぞれ贔屓の店がある
景気のよい「成金」という名称、丸い形の菓子はものごとを「丸くおさめる」に通じる縁起菓子としてこよなく愛され、同市から引っ越した人からも懐かしさのあまり注文が入るという。通常サイズは直径10cm前後だが、大きければ大きいほど縁起がよいとされることから30cmを超える特大サイズもある。時代の流れとともに店舗数はかなり減ったが、100年以上経った今も数軒の店がこだわりをもって成金饅頭を作っており、地元の人もそれぞれ贔屓にしている店がある。
たっぷりの白餡と薄めの皮が絶妙
JR直方駅前の商店街のなかに店舗を構える老舗、大石本家は白餡に北海道産のインゲンだけを使い、食感をよくするために豆の形を残しつつ甘さを抑えて製造。皮の生地は歯ごたえがよいよう小麦粉と水の加減を調整し、さらに生地がよくなじむようひと晩寝かせている。これを先代から使い続けている銅板で焼き、「ねじり梅」を押印。皮がまだ熱いうちに白餡をぜいたくに挟む。餡の量が多いので皮の端をつまんでていねいに閉じるのがコツだ。皮が薄めなのが大石本家の特徴で、これがたっぷりの白餡と絶妙に調和し、大きな成金饅頭でも最後のひと口までおいしく味わえる。そのせいか売れ筋は1万円札の横幅と同じの16cmサイズだそうだ。
スポット詳細
- 住所
- 福岡県直方市古町17-8 地図
- エリア
- 宗像・福岡中部エリア
- 電話番号
- 0949220170
- 時間
- 9:00-17:00
- 休業日
- 水(火の場合あり)
- 駐車場
- なし
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- コンセント口
- なし
情報提供: ナビタイムジャパン