さぬき麺業 松並店

揚げたての天ぷらが付いた「天ざるうどん」900円

店ごとの個性を楽しむ讃岐うどん

香川県を代表するご当地グルメといえば、讃岐うどん。その起源は諸説あるが、一説には空海が中国に渡り日本へ戻ってくる際、中国からその製法を持ち帰ったともいわれている。以来、香川県では広くうどん作りが広まり、「娘が嫁にいくときは麺棒を持たせて嫁がせた」というくらい家庭の料理として浸透していた。そんな讃岐うどんの店が増え始めたのは、1970年(昭和45)の大阪万博以降。その後、1988年(昭和63)には瀬戸大橋が開通し、一気に県外からの観光客が増え、それにともなって讃岐うどん店も増えたといわれている。

松並店の外観。風格ある和風の店構え

讃岐うどんの特徴はなんといっても麺のコシの強さ。すするのに苦労するほどの極太麺から子どもも食べやすい細麺まで店によってさまざまだが、細い麺でもコシがあるのが特徴だ。また、出汁の材料にも店ごとのこだわりがあり、イリコやかつお節、昆布や椎茸などさまざま。うどんは麺に出汁をかけただけのシンプルな料理だが、だからこそ店ごとの違いが出やすく、店によってまったく違う味わいを楽しめるようになっている。そしてこの違いが、複数のうどん店をハシゴする「うどん巡り」という文化を生んだ理由のひとつといえるだろう。

絶妙な力加減が手打ち麺のなめらかな歯ざわりやのどごしを生んでいる

おもてなしの心が伝わるフルサービス店

讃岐うどん店の多くは、自分でうどんや天ぷらを選んで自分で席まで運ぶセルフサービスの店だが、さぬき麺業は香川県内のすべての店舗がフルサービス。これはセルフ店に対して一般店と呼ばれる形態で、通常の飲食店と同じように席で注文し、席まで料理を運んでくれる。さぬき麺業がフルサービスにこだわっているのは、客とのコミュニケーションを大切にしているから。そして同じ理由から、うどんを打ったり包丁で切ったりする台も、客から見える場所に設けている。創業は1926年(大正15)と古く、香川県内では高松空港を含む4店舗、そして東京と大阪にも1店舗ずつ展開。系列の「いしうす庵レインボー店」(高松市松縄町1066-17)では、香川県がうどん用に開発した小麦「さぬきの夢」を100％使ったうどんを提供するなどこだわりもひとしおだ。

落ち着いた和風の店内には、テーブル席と小上がりがある

手打ち、手切りにこだわった麺は、コシがあるのに口あたりはソフト

打ちたて、茹でたての麺を提供

セットメニューが豊富にそろう

さぬき麺業のうどんの出汁は、イリコをベースにかつお節、さば節、ウルメ、昆布、椎茸をブレンドした奥深い味わい。うどんメニューの種類が豊富なだけではなく、セットメニューや定食がそろうのもうれしいポイントだ。たとえばカツ丼とうどんのセットや、うどんに天ぷらとちらし寿司、茶碗蒸しが付いた天ぷら定食など。しかもうどんはざるうどんかかけうどんを選べるので、その日の気分やおなかの空き具合に合わせてオーダーできる。この豊富なセットメニューも、一般店ならではだ。またさぬき麺業では、高松市内に手打ちうどん作り体験道場を構えており、うどん打ち体験(2-14人の場合1人1650円・90分)も可能。自分で打ったうどんのおいしさは格別。ただ食べるだけではない、プラスアルファの体験をしたい人はぜひチャレンジしてみてほしい。

熟成三元豚を使用した「カツ丼セット」980円