株式会社 服部製糖所
若き兄弟が力をあわせて作る伝統の阿波和三盆糖
和三盆おはぎ「花輝」のヒットで一躍有名に
徳島自動車道の土成ICから約7分。広々とした風景のなか、車で県道12号線を走って行くと道沿いに、しゃれたデザインのBON COFFRETの建物が現れる。ここは1864年(元治元)創業の「阿波和三盆糖」の製糖元である。「いいものを作らなければ、作り続ける意味がない」という言葉をモットーに、実直に昔ながらの「竹糖(ちくとう)」と呼ばれるサトウキビだけを使った和三盆糖を製造している。一般向けに小売を始めたのは約10年前からだが、全国的に名前を知られるようになったのは、和三盆おはぎ「花輝」(4980円)がSNSで拡散され、テレビの情報番組で取り上げられたことがきっかけだという。「花輝」は、無添加の天然素材で色を出した最上質の「大無類和三盆」による花をかたどった餡に、餅米と棚田で作る古代米をあわせたもの。販売が告知されると、すぐに売り切れとなる大人気商品だ。
13代目の二男が立ち上げた和三盆専門店「BON COFFRET」
服部製糖所で製造と商品開発を行っているのは20代の3人兄弟。13代目の二男の服部滉輝(はっとりこうき)さんが、2018年(平成30)に干菓子専門店「BON COFFRET(旧:わんさんぼん)」を立ち上げ、さまざまな形のかわいらしい干菓子を作っている。伝統的な木型を用いるだけではなく、リスや肉球をはじめ、Tシャツと自転車の干菓子がセットになった「サイクリング」など、現代的なデザインが人気だ。いずれも「花輝」と同じく最上質の「大無類和三盆」が使われているほか、紫芋でピンク、緑茶でグリーン、藍でブルーグリーンにするなど、自然の落ち着いた色合いが美しい。そのほか、料理や菓子づくりに使うと、風味がぐんとよくなる「大無類和三盆」や糖蜜の成分が少し多めの「白菊印和三盆」、グローバルエアラインのファーストクラス機内食に使用されている「和三盆糖蜜」なども購入できる。
「竹糖」にこだわりながら新たな歴史を刻む
「わんさんぼん」の干菓子は、2019年(令和元)に開催された「G20大阪サミット」でも各国の関係者に振る舞われ、好評を博したという。その原料となる「阿波和三盆糖」は、自社の畑と契約農家で栽培される「竹糖」だ。一般的なサトウキビよりも細く、背丈が低い在来種で、江戸時代の末期から大切に受け継いできたという。強風や除草剤に耐えられない繊細な植物であり、非常に手がかかることから、今では徳島県と香川県の一部でしか栽培されていない。それでも、服部製糖所はあくまでも「竹糖」にこだわった製品を作っていくという。
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情報提供: ナビタイムジャパン