五斗長垣内遺跡
播磨灘を見渡す絶景の丘で古代のロマンの風に吹かれる
国内最大規模の鉄器生産遺跡
北淡ICから山側に向かって車で約10分。丘陵地の坂道をぐんぐんと上り、たどり着いた見晴らしのいい丘の上に五斗長垣内(ごっさかいと)遺跡がある。淡路島には難読地名が多いが、五斗長と書いて「ごっさ」と読む。この地が広く知られるようになったきっかけは、2004年(平成16)に起こった甚大な台風被害だった。復旧のための農地整備で、弥生時代の建物跡や多数の出土品が見つかったのだ。発掘調査では23棟の竪穴建物跡のうち12棟で鉄器づくりを行っていたことが判明。当時の鉄器製作技術の様子が詳しくわかる遺跡として、2012年(平成24)に国史跡に指定された。
展示室で遺跡の概要を知る
まずは展示室のある拠点施設(インフォメーションセンター)へ。五斗長垣内遺跡は弥生時代後期の国内最大規模の鉄器製造跡とされ、朝鮮半島製とみられる斧や矢じりなど100点を超える鉄製品、石の工具、高い熱を受けて地面が赤く変色した炉跡も発見された。展示室では出土した鉄片や鉄製品の復元品などが展示されているほか、立地や時期、出土品について解説したパネルも設置され、遺跡の概要をわかりやすく紹介している。
鉄器文化の先駆け、そして海の民の存在
外に出ると、茅葺きの建物が点在している。実際に発見された場所の真上に復元された「鍛治工房建物」は円形の竪穴建物で、床面に炉跡が再現されている。最も大きな建物「ごっさ鉄器工房」は内部の直径が10.5m、高さは7.4mと広く、弥生時代の鍛治作業復元を行う実験棟として建てられた。この地では1世紀頃から100年以上継続して鉄器づくりが行われていたと考えられている。そして金属器とともに最先端の技術と文化を大陸から伝えたのが、海を知り尽くした淡路の海の民だった。だが邪馬台国の台頭とともに、この丘の上から人の痕跡が途絶えてしまう。五斗長垣内遺跡は多くの謎を秘めているという。
遺跡の丘の楽しみ方いろいろ
五斗長地区では「遺跡は地元の宝」と住民たちが遺跡整備などに積極的に関わり、活動を続けている。拠点施設に備わるカフェでは、地元の女性たちが地元食材を使って料理したランチやお茶を味わえるので、見学後はここでゆっくり過ごすといいだろう。遺跡の丘は四季それぞれに違った表情を見せ、西風が強い冬は空気が澄んで播磨灘もくっきりと見渡せる。周囲の自然の景観も楽しみながら、訪ねてほしい場所だ。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン