山本能楽堂

演芸場

古典芸能の情報を発信し続ける、国登録有形文化財の能楽堂

国の登録有形文化財に登録されている、桟敷席をもつ木造建築の能楽堂。観世流能楽師・山本章弘が主宰する能楽の公演をはじめ、落語や文楽などさまざまな古典芸能の公演や、能楽の体験講座なども定期的に開催している。

ビルに囲まれるようにして立つ木造の山本能楽堂} ビルに囲まれるようにして立つ木造の山本能楽堂

大阪市民に愛される「谷町の能楽堂」

大阪メトロ谷町四丁目駅から徒歩5分、船場のビジネス街からほど近い距離にある山本能楽堂。大阪市内中心部では数少ない本格的な能楽堂であり、一年を通じて能・狂言をはじめさまざまな公演を行っている。その歴史は古く、観世流能楽師・山本博之(初代)によって1927年(昭和2)に建てられた。「大大阪」と呼ばれるほどの経済力を誇っていた当時の大阪では、船場の旦那衆たちの間で謡曲をたしなむ人も多く、「谷町の能楽堂」と呼ばれ親しまれたという。初代の能楽堂は空襲により焼失したものの、能舞台の復活を願う市民や能楽愛好者たちの支援により、1930年(昭和5)に再建された。伝統的な能楽堂の形式を備えた貴重な存在であり、2006年(平成18)には能楽堂および能舞台が国登録有形文化財に登録されている。

風格ある能舞台。鏡板の松は西本願寺の能舞台と同じく、根上がり松が右に上がって描かれている} 風格ある能舞台。鏡板の松は西本願寺の能舞台と同じく、根上がり松が右に上がって描かれている

全国でも数少ない、桟敷席をもつ能舞台

山本能楽堂は木造2階建て(1部3階建て)で、中央の能舞台周辺は1~2階が吹き抜けとなり、見所(客席)が設けられている。大阪市では現存する最古の能舞台であり、国宝に指定されている京都・西本願寺の能舞台を模した舞台は、屋根が檜皮葺きの切妻造。また舞台下には、12個の大きな瓶が置かれているが、これは音響効果をよくするためのもの。近年の新しい能舞台ではほとんど見られない、今では貴重な構造である。2011年(平成23)からは「開かれた能楽堂」をテーマに改修工事が行われ、近代化・耐震補強とともにライブラリーや資料室なども設けられ、伝統芸能の保存・継承や地域コミュニティでの活用など、運用の幅が大きく広がった。そして地域に開かれたシンボリックな存在、社交場としての能楽堂の価値が認められ、2017年(平成29)度と2020年(令和2)度の2回、グッドデザイン賞(地域・コミュニティづくり/社会貢献活動)を受賞している。

見所(客席)は伝統的な桟敷席。定員は約200人と決して多くはないので、どの席からも舞台がよく見える} 見所(客席)は伝統的な桟敷席。定員は約200人と決して多くはないので、どの席からも舞台がよく見える

桟敷席が基本だが、後方には椅子席もあり、見所全体を椅子席とすることもできる} 桟敷席が基本だが、後方には椅子席もあり、見所全体を椅子席とすることもできる

古典芸能の普及・継承活動に尽力

山本能楽堂では年間を通して、能楽を中心にさまざまな公演活動を行っている。とりわけ普及・継承活動に力を入れていることで知られ、初心者も楽しめるように資料を配布したり、解説・字幕付きの公演を行っている。時には大阪を舞台とする演目にゆかりのある寺社関係者と一緒に地域の魅力を深く掘り下げた公演なども行っている。また能楽にとどまらず、あらゆる上方伝統芸能の普及にも熱心であり、「初心者のための上方伝統芸能ナイト」では落語や文楽、講談、浪曲など能狂言以外の伝統芸能をショーケース的に一度に上演する公演も行われる。公演以外にも、山本能楽堂を能楽師の案内で見学する見学会や、能楽の所作や能装束の着付などの体験ができる体験講座など、さまざまなプログラムが用意されている。これほど普及活動に力を入れている能楽堂はほかになく、初めて能楽を鑑賞する人、これから上方伝統芸能について学ぼうとする人にこそ、ぜひ訪れてほしい能楽堂である。

舞台には字幕装置を備え、多言語にも対応している} 舞台には字幕装置を備え、多言語にも対応している

体験講座では、能楽師の指導のもと、実際に装束と能面を着用するプログラムもある} 体験講座では、能楽師の指導のもと、実際に装束と能面を着用するプログラムもある

入り口の脇には、山本能楽堂はもちろん、ほかの能楽堂や劇場などの公演情報も掲示され、チラシを持って帰ることができるようになっている} 入り口の脇には、山本能楽堂はもちろん、ほかの能楽堂や劇場などの公演情報も掲示され、チラシを持って帰ることができるようになっている

スポット詳細

住所
大阪府大阪市中央区徳井町1-3-6 map map 地図
電話番号
0669439454
時間
9:00-21:00
休業日
不定休
料金
[能楽体験講座]お1人様3,300円-(10名様以上のご参加となります)
駐車場
なし(近隣にコインパーキングあり)
クレジットカード
可(VISA)
Wi-Fi
あり
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】1,001-3,000円, 3,001-5,000円, 5,001-10,000円
【夜】1,001-3,000円, 3,001-5,000円, 5,001-10,000円
滞在目安時間
0-120分
車椅子での入店
可(2台まで)

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 琵琶奏者:人間国宝奥村旭翠 独演会会場
    5.0 投稿日 : 2021.12.26
    2021年12月24日、谷町の山本能楽堂で人間国宝奥村旭翠独演会が行われました。演目は『那須與市』『斎藤實盛』『羽衣』『安宅』の4曲でしたが、『羽衣』だけは出演されませんでした。『安宅』は大曲でした。奥村氏は2016年重要無形文化財保持者認定、今年文化勲章「旭日小綬章」を受章されました。毎年「旭翠会」の発表会にご招待いただいているご縁で今回山本能楽堂に足を運びました。山本能楽堂は昭和2年に...
  • ちょっとそこまで、山本能楽堂 ヘ !
    3.0 投稿日 : 2019.11.03
    大阪市中央区徳井町にこの「山本能楽堂」はありました。今日の公園はないようでしたが今月11月は11日・16日・29日・30日に開館され料金も1000円からとリーズナブルなっています。一年中にイベントがあります興味のある方は来てください。
  • 外観は住宅のような能楽堂
    4.0 投稿日 : 2019.09.09
    徳井町にある見た目は住宅のような能楽堂です。中にははいれませんでしたが、雰囲気は落ち着いた建物です。

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アクセス

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