十楽寺
極楽浄土へ誘う本尊・丈六阿弥陀如来は日本最大級の坐像
甲賀の山あいにたたずむ小さな寺
甲賀の里といえば、大池寺(だいちじ)の釈迦如来坐像、櫟野寺(らくやじ)の薬師如来坐像、十楽寺の阿弥陀如来坐像の「甲賀三大佛」が名高い。大池寺の釈迦如来は現代を生き抜く智慧を、櫟野寺の薬師如来は健康長寿の安心を、十楽寺の阿弥陀如来はすべての人を極楽浄土へと導いてくれる仏様で、自身の過去、現在、未来の安穏を願って「甲賀三大佛」を巡拝するのが甲賀の里の通な楽しみ方だ。十楽寺へはJR草津線の甲賀駅から東へ13kmほど。徒歩なら3時間近くかかるため、新名神の甲賀土山ICから約5分でアクセスできる車の利用が便利。山間を貫く国道1号線沿いに位置しており、寺名を記した看板を頼りに車を走らせれば迷うことなくたどり着ける。
阿弥陀様を祀る本堂へ
寺の創建は1486年(文明18)、寂照法師による。元は天台宗であったが、信長の兵火により堂宇を焼失、江戸時代初期に現在地に本堂、庫裏、茶所が再興され、浄土宗の寺に改められたのだという。おごそかな空気が満ちる本堂の正面、天井まで届きそうな仏様が、日本最大級の丈六阿弥陀如来坐像だ。西方極楽浄土の教主で、現世で悪行をしでかした者でも光(智慧)の慈悲で救って極楽浄土へ導いてくれるのだという。丈六阿弥陀如来坐像を囲むように安置されているほかの仏像群も見逃せない。向かって右手前、摩耶夫人の立像は、お釈迦様が母君の右脇腹から生まれたという逸話に基づき、懐からお顔をのぞかせ、今まさにお釈迦様が誕生したその瞬間が表現されている日本に2体しかないという貴重な仏像だ。
ほかにもある、十楽寺の見どころ
丈六阿弥陀如来の右側にはほかに、実物の法衣をまとわせるために作られた珍しい裸体の阿弥陀如来立像や、甲賀市指定文化財の木造十一面観音立像なども。また、本堂右奥には平安時代後期のものとされる本尊・阿弥陀如来坐像(重要文化財)や、救世聖観世音菩薩坐像が、左奥には寺を開いた寂照上人の坐像や浄土宗祖・法然上人の坐像なども並んでおり、一体一体じっくりと拝みたい。住職が説法をはじめ、念仏に欠かせない木魚の話や木魚の扱い方を教えてくれる「お寺体験」(3日前まで、5名程度~の予約制/拝観料込大人1名1500円)、住職自らカウンセリングを行う「心のなんでも相談室」も開設されており、現代人の悩みや不安にそっと寄り添ってくれるお寺だ。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン