Studio Suzusan(スタジオスズサン)
有松鳴海絞りを世界に発信するブランドの工房で絞り染めを体験
有松鳴海絞りを世界に展開するブランド「suzusan」
名鉄本線有松駅から7分ほど歩き、旧東海道沿いに見えてくる古民家が「suzusan(すずさん)」本社。400年以上にわたってこの地方に伝わる有松鳴海絞りを用いた、ファッションやインテリア、照明などを企画・製造・販売するブランドだ。有松に工房を持ち、ドイツを拠点として2008年(平成20)に会社を設立。それまでは、影師と呼ばれる絵刷りの仕事(現代のデザインに当たる仕事)を家業としていた「鈴三商店」として、この有松でものづくりを行っていた。今では国内はもちろん、パリやロンドン、ニューヨークなど約23か国、約100店舗で販売。伝統技術をルーツとし、先人の叡智を受け継ぎながらも「世界中のライフスタイルに合う商品を」というコンセプトのもと、風通しのよいデザインを展開している。
2つのコースから選べる絞り体験にチャレンジ
「suzusan」本社の一角で行われているのが、「Studio Suzusan」の絞り体験。手ぬぐいやハンカチ、Tシャツを使った、有松鳴海絞りの伝統的な絞り染色を体験できる。体験には大人から子どもまで気軽に楽しめるAコースと、縫ったり括ったりと伝統的な絞りをより深く体験できるBコースの2つのコースがある。Aコースでは、布を畳んで作る雪花絞りやスーパーボール・輪ゴムを使った創造的な絞りを体験。所要時間は40分ほどなので、有松の町並み散策の合間に気軽に体験することができる。Bコースは、手蜘蛛絞り(てぐもしぼり)、鎧段絞り(よろいだんしぼり)といった伝統的な絞りを体験する、所要時間2時間の中級者向けコースだ。初心者でもていねいに教えてくれるので、手仕事の好きな人はぜひチャレンジしてみよう。いずれも染物体験なので、体験の際は汚れてもよい服装での参加がおすすめだ。※2024年3月から体験コースをリニューアル予定。詳しくは直接問い合わせを。
ファクトリーショップでお気に入りの絞りを見つけよう
絞り体験のあとは「Studio Suzusan」から歩いて約1分の「suzusan factory shop」に立ち寄ろう。「suzusan」が展開するコレクションが並んでおり、鮮やかに染められた上質なカシミヤのストールやニットウェア、絞りの照明などを買うことができる。さらに「suzusan factory shop」から歩いてすぐのところに、系列ブランド「tetof 1608」のショップも。こちらは有松の歴史の中で生まれた「400年変わらないプロダクト」である手ぬぐいを中心に雑貨を販売。熟練職人から若手職人への技術継承にも注力し、古くて新しい伝統のスタンダードの形を提案している。店内では、伝統的な道具を使い、店番をしながら絞りの実演をしているスタッフの姿も。また、絞りの際に使われる専用の道具も販売されている。「tetof 1608」で小道具を手に入れて、「Studio Suzusan」での経験を自宅でチャレンジしてみるのも一興だ。
国の伝統的工芸を体験して思い出作りを
江戸情緒あふれる町並みで「ありまつ」と書かれた暖簾(のれん)をいたるところで見かける。有松鳴海絞りでできた風情豊かな暖簾は、職人の手で作られたもの。一つひとつていねいに作られた伝統あるこの染色技法は、最盛期には100種類以上もあったとか。しかし、1人1技法で受け継がれてきた文様は、当時の半分以上が姿を消してしまったといわれている。有松に訪れた際は、「Studio Suzusan」で貴重な有松鳴海絞りの体験を思い出の1ページに刻んでみてはいかがだろうか。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン