愛知

名古屋市南部

NAGOYA CITY (SOUTH)

戦国から江戸時代までの人々の息づかいを感じられる歴史情緒漂うエリア

名古屋市の熱田神宮から南部、特に名鉄名古屋本線沿いに南東へと広がるエリア。熱田神宮のある場所はもともと熱田台地と呼ばれる高台の南端で、すぐそばには海が迫っていた。江戸時代にはその熱田湊(みなと)周辺が東海道最大の宿場、宮宿であり、桑名宿への海路「七里の渡し」で結ばれていた。渡船場跡は現在、「宮の渡し公園」となっている。熱田神宮周辺は、こうした宮宿の繁栄をそのままに老舗料理店や和菓子店などが今も残る。そして、当時の東海道を江戸方面に向かうと現在の名古屋市緑区となり、有松・鳴海の古い町並みや、織田信長が今川義元に勝利した桶狭間の古戦場があるエリアだ。尾張と三河の国境付近で、古くから城や砦(とりで)が多く築かれてきた。有松や桶狭間の西側にある大高(おおだか)も、大河ドラマなどでよく地名が登場する。現在は「大高城址公園」や「鷲津(わしづ)砦公園」として、戦いの跡が残されている。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    熱田神宮
    「草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)」を祀り、1900年続く「心のふるさと」
    都会の喧騒を感じさせない、凛とした雰囲気と緑に恵まれた「熱田の杜(もり)」にたたずむ熱田神宮。鎮座から1900年の長い歴史を誇り、全国から年間約700万人が参拝に訪れる。「熱田さん」と親しみを込めて呼ばれる、市民の身近な祈りの場所だ。
    創祀1900年記念事業で、2009年(平成21)に修造された本宮
  • spot 02
    熱田神宮 宝物館
    国宝や重要文化財などを展示する熱田神宮の博物館
    熱田神宮境内のほぼ中央に建っている「熱田神宮 宝物館」。ここに収蔵される約6000点の貴重な品々や資料は、神宮の長い歴史と人々から寄せられてきた崇敬の深さを物語っている。
    宝物館のほか「熱田神宮文化殿」として講堂なども備えた建物
  • spot 03
    きよめ餅総本家
    素朴な甘さが人気、熱田神宮の定番土産
    熱田神宮の近くに、歴史ある和菓子店「きよめ餅総本家」がある。名鉄名古屋本線神宮前駅から南へ3分ほど歩くと、神宮東門交差点角に伝統を感じさせる白壁の店舗が見えてくる。江戸中期の1785年(天明5)頃、参拝者の疲れを癒やす「きよめ茶屋」が設けられたことに由来。その後、この茶屋にちなんで「きよめ餅」を売り出したところ、熱田名物として全国的に名が知れ渡った。昔の製法そのままに炊き上げたこし餡を羽二重餅でくるみ、「きよめ」の焼き印が押される。素朴で懐かしさを感じさせる味が好評で、名古屋ではお茶請けにもよく使われてきた。きよめ餅と「栗入りきよめ餅」が定番商品。年末年始を除く土・日曜、祝日限定で「きなこ」「抹茶」「ほうじ茶」味のきよめ餅がラインアップされる。お祝い事で重宝される「紅白きよめ餅」もあるが、こちらは予約注文制。ただし場合に応じて店頭に並ぶこともあるので、運試し感覚で気軽にのれんをくぐってみたい。
    熱田名物「きよめ餅」は5個入750円から
  • spot 04
    宮きしめん 神宮店
    熱田神宮境内でいただく、宮司が名づけたきしめん
    熱田神宮境内にある参拝者の憩いの場「くさなぎ広場」。深い緑に囲まれたこの一角で参拝者の小腹を満たしてくれるのが、「宮きしめん 神宮店」だ。創業は1923年(大正12)で、神宮店は1970年(昭和45)頃に開店した。熱田神宮を発祥の地とし、宮司が「宮」の字を与え、名づけたのだという。名古屋名物のきしめんは「名古屋人の倹約志向から茹で時間を短くするために平たくした」などといわれているが、実際はこの地域特有の、しっかりした味の味噌や醤油ベースの出汁を存分に味わうために平たくなったのが有力な説だ。宮きしめんの醤油ベースのつゆも、厳選素材で取った出汁が利き、非常に香り高くうまみがある。夏は冷たいつゆでいただけるのがありがたい。つゆがからまったきしめんをツルリと平らげたら、別腹でぜひ甘味も。神宮店限定の「宮クリームぜんざい」は、ぜんざいに3つの味から選べるソフトクリームが載り、宮まんじゅうやキャラクターが描かれたゴーフレットまで付く。子どもにも大人にも喜ばれること請け合いだ。
    宮きしめん、温800円・冷900円(4~9月限定)
  • spot 05
    あつた蓬莱軒 本店
    3度おいしい「なごやめし」。熱田で生まれた秘伝の味
    熱田神宮周辺は門前町として発達し、東海道で最大の宿場「宮宿」があった場所。江戸時代末期の人口は1万人以上にのぼり、その繁栄は明治になっても続いた。そんな宮宿で1873年(明治6)に創業したのが、うなぎ料理「ひつまぶし」の老舗「あつた蓬莱軒」だ。
    ひつまぶし(薬味・出汁・吸い物・香の物付き)4400円
  • spot 06
    宮の渡し公園
    東海道唯一の海路、七里の渡しの魅力を今に伝える
    地図を見ると、今でこそ途中に国道が横切っているが、熱田神宮正門からまっすぐ延びる道の先にあるのが「七里の渡し」だ。ここ宮宿から桑名宿まで、東海道で唯一、当時の単位で七里の距離がある海路だった場所。現在は「宮の渡し公園」として、舟着場の雰囲気をそのままに、憩いの場として整備されている。公園内には1955年(昭和30)に「熱田湊常夜灯」を復元。この常夜灯はもともと、犬山城主だった成瀬家が江戸時代初期に建立したものだ。またそのすぐ隣には、熱田の人々や東海道を行き交う旅人に時刻を知らせた「時の鐘」も復元されている。こちらも同時期に尾張藩主の徳川光友の命で造られたもので、当時の鐘は神宮正門近くにある蔵福寺に保存されているという。公園内の松並木を歩きながら、当時の海側や旅籠(はたご)屋が並んでいた町側に目をやりつつ思いを馳せるのも楽しい。
    「七里の渡し」の石碑と、復元された熱田湊(みなと)常夜灯
  • spot 07
    白鳥庭園
    中部地方の地形に見立てた名古屋最大級の日本庭園
    熱田神宮のすぐ近くに、本格的な日本庭園がある。中部地方の地形をモチーフにした「白鳥庭園」。四季折々の美しい景色に魅せられ、リピーターの観光客も多いという名古屋屈指の癒やしスポットだ。
    園西側の高台から望む白鳥庭園の全景
  • spot 08
    有松・鳴海の古い町並み
    東海道に残る、絞りで栄えた町の歴史と伝統
    黒壁、黒格子に、白壁、なまこ壁。名古屋市緑区有松の東海道沿いには、古い町並みが今でも残されている。江戸時代の風情を感じながらそぞろ歩きを楽しみ、ぜひお気に入りの「有松・鳴海絞」を見つけてみたい。
    有松・鳴海絞会館前から県指定有形文化財の井桁屋(いげたや)を望む
  • spot 09
    有松・鳴海絞会館
    土産選びも楽しめる、絞りの歴史と技を今に伝えるスポット
    江戸時代、有松・鳴海の人たちが東海道を行き交う旅人に売り始めた土産物が「有松・鳴海絞」だ。「有松・鳴海絞会館」ではその歴史と伝統の技を学ぶことができる。もちろん土産物の購入も可能だ。
    古い町並みになじむ白壁の外観が美しい有松・鳴海絞会館
  • spot 10
    井桁屋
    小物から伝統的な本藍染め絞りまで取り扱う老舗
    有松・鳴海絞会館のはす向かいに建つ「井桁屋」。創業は1790年(寛政2)で、有松絞りに携わって230年という老舗中の老舗だ。絞問屋として歴史を重ねてきたが、現在は小売業を中心に有松絞りの魅力発信に努めている。買い物の前に、まずは建物外観に目を向けてみたい。「服部家住宅」として愛知県の有形文化財に指定されている建物は、幕末・明治期の町屋建築の典型例だ。卯達(うだつ)・塗籠造(ぬりごめづくり)・漆喰虫籠窓(しっくいむしこまど)といった造りは、当時の防火対策とされている。店内に入っても天井に小屋組みが施されるなど、まるで幕末にタイムスリップしたような感覚になる。老舗として伝統的な本藍染めの絞りに力を入れるが、手拭いやハンカチなど小物類も充実。時代に合ったものをということで、絞りのマスクも取り扱っている。気軽に土産選びをしながら、伝統柄の絞り浴衣などの魅力にも触れられる貴重な店だ。
    主屋など11棟が県指定有形文化財となっている井桁屋
  • spot 11
    桶狭間古戦場公園
    「桶狭間の戦い」から450年の節目に整備された史跡巡りの拠点
    織田信長が約10倍の兵力を持つ今川義元に戦いを挑んで見事勝利した「桶狭間の戦い」。近世の幕開けとなった歴史的転換点だ。その中心地が「桶狭間古戦場公園」として名古屋市緑区に整備されている。
    公園でひときわ目をひく織田信長と今川義元の銅像
  • spot 12
    剣の宝庫 草薙館
    草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)を祀る熱田神宮の刀剣専門展示館
    熱田神宮では2021年(令和3)に南神池周辺の修景工事を終え、参拝者の憩いの場となる「くさなぎ広場」を整備した。飲食施設や売店の並ぶ敷地内に、新たに誕生したのが「剣の宝庫 草薙館」だ。熱田神宮には三種の神器のひとつ「草薙神剣」が祀られていることから、現在にいたるまで数多くの刀剣の奉納が続けられてきた。これら現存する450口余りの宝刀を収め、参拝者にその歴史と価値を伝えるために建てられた刀剣専門展示館が草薙館だ。館内には刀剣や史料の展示スペースのほか(展示刀剣は随時入替)、草薙神剣と熱田神宮の由縁を紹介する映像コーナーがある。刀剣の展示ケースは全面ガラス張りで、表裏を鑑賞できるようになっているのがうれしい。目玉の展示は戦国時代、姉川の合戦で使われたとされ、長さ2mを優に超える「真柄大太刀(まがらのおおたち)」だろう。戦いのシーンを想像しながら、その迫力に触れてみたい。また、別室には刀剣の重量を体感できるコーナーも併設されている。
    これまで宝物館で展示されてきた刀剣類は、草薙館での展示に切り替わる
  • spot 13
    ディノアドベンチャー名古屋
    迫力満点!森のなかで動く等身大の恐竜探索
    「ディノアドベンチャー名古屋」は、かつて地球に生息していた恐竜の姿を観察できるウォークスルー型のアトラクション。実物大のリアルな恐竜たちは、鳴き声を響かせながら森の茂みに潜んでいる。大人から子どもまで楽しめる、大迫力の恐竜を探しに探険に出かけよう。
    迫力ある恐竜たちがコースのあちこちに潜んでいる
  • spot 14
    Studio Suzusan
    有松鳴海絞りを世界に発信するブランドの工房で絞り染めを体験
    1608年(慶長13)に鳴海・池鯉鮒(知立/ちりゅう)両宿の間宿(あいのしゅく)として造られた有松。この地方に伝わる有松鳴海絞りは、国の伝統的工芸品にも指定されている染色技法だ。そんな歴史ある町で有松鳴海絞りの体験ができる「Studio Suzusan」は、有松鳴海絞りを学ぶうえでぜひ立ち寄りたいスポットである。
    体験施設の機能も兼ね備える「suzusan」本社
  • spot 15
    有松工芸
    創業からおよそ200年の老舗店で有松絞りを体験
    国の伝統工芸品に指定されている「有松鳴海絞り」。その名産地である有松地区は、江戸時代の面影を残した町屋が並ぶ情緒ある町だ。江戸時代創業の「有松工芸」は絞りと染色を営む工房として、有松絞りで作る小物を東京や大阪の問屋に販売している。ここでは、7代目の濱島氏が講師となり、有松絞り作りの体験教室を開催。職人ならではの視点で有松絞りの技法を伝えている。スカーフや手ぬぐい、Tシャツなど、さまざまなアイテムで有松絞りを体験することができ、なんと自前のアイテムを持ち込むことも可能。糸で布を絞って染色する方法や、板やボールを使った染色方法など、さまざまな技法を用いて制作していく。所要時間は1時間~1時間半ほど。10人まで予約を受け付けているので、グループでも参加できるのがうれしい。有松絞りは、絞りの力加減や染めの時間のかけ方によってさまざまな表情を見せる工芸品だ。世界にひとつしかない自分だけの有松絞りをゲットしに、体験に訪れてみてはいかがだろうか。
    有松絞りで作られた「有松工芸」と書かれた暖簾が目印
  • spot 16
    まり木綿
    鮮やかな色使いが目に留まる有松絞りの専門店
    国の伝統工芸品である有松絞りを自由な発想で商品展開をしている「まり木綿」。コースターやポーチ、洋服、アクセサリーなどをそろえる、手作りの絞り染め製品専門店だ。こちらのお店を営むのは、クリエイターの伊藤木綿(いとうゆう)さんと村口実梨(むらぐちまり)さん。大学の授業の一環で「有松絞り」に出合い、「有松絞りをもっと身近に感じてもらえるものづくりができたらおもしろいのでは」と2011年(平成23)にオープンした。多彩な絞り技法があるといわれる有松絞りだが、「まり木綿」では板締め絞りと呼ばれる技法のみで商品を展開。100通りものデザインを生み出しており、従来の紺青色(こんじょういろ)をした有松絞りに比べ、多彩な色使いでポップな仕上がりなのが「まり木綿」の特徴だ。お客さんの声や、新たなインスピレーションから生まれた50種類もの商品は、手にするだけで気分を高めてくれるオシャレアイテムばかりだ。有松に訪れた際は、鮮やかな有松絞りのアイテムを手に町並み散策をしてみてはいかがだろうか。
    手ぬぐい(1,980円~)とひめ丈(1,180円~)は、三重県の伝統工芸品である伊勢木綿を使用している
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旅のヒント

  1. その1

    名古屋駅から熱田神宮に向かう場合、名鉄の利用が便利。地下鉄は乗り換えが必要だが、名鉄だと最寄りの名鉄名古屋本線神宮前駅まで1本でアクセス可能だ。名古屋本線と空港方面へ向かう路線が神宮前駅まで重複しているので、本数も多い。

  2. その2

    熱田神宮を参拝するなら、車でのアクセスもおすすめ。正門・東門・西門にそれぞれ無料駐車場が用意されている。

  3. その3

    名鉄名古屋本線有松駅は準急と普通しか停まらない。名古屋駅や神宮前駅から向かう場合、急行には乗らないよう気をつけよう。急行に乗ってしまった場合は名鉄名古屋本線鳴海駅で降りて準急・普通に乗り換えを。

  4. その4

    桶狭間古戦場公園に向かう場合、有松駅からバスに乗るより、国道1号沿いの名古屋市バスの「有松小学校」バス停から乗るほうが、本数が多く便利。

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