善養寺

寺院

日本一の繁茂面積を誇る松に目を奪われる

室町時代の1527年(大永7)が開基といわれる善養寺(ぜんようじ)。境内のいちばんの見どころである「影向の松(ようごうのまつ)」は2011年(平成23)に国の天然記念物にも指定され、今なお青々とした松葉を茂らせている。

横綱山からは「影向の松」の全体を見渡すことができる} 横綱山からは「影向の松」の全体を見渡すことができる

「小岩不動尊」としても親しまれる由緒ある寺

JR小岩駅からバスに乗り10分ほどで到着する善養寺は、こんなところにお寺があるとは思えないような閑静な住宅街に立っている。朱塗りの仁王門を潜り抜けると、「影向の松」を取り囲むように、不動堂、本堂、横綱山、四国八十八カ所霊場などが配されている。開祖は山城醍醐山(現在の京都市伏見区)の僧、頼澄法印(らいちょうほういん)で、足利12代将軍義晴公の時代、この地に寺を建立するよう、夢のお告げがあったからだという。そのとき、頼澄法印は不動明王を背負ってこの地にやってきたため、当初は不動明王を奉っていた。善養寺を「小岩不動尊」と呼ぶこともあるのは、その由縁からきている。

醍醐から請来(しょうらい)した不動明王を奉る不動堂} 醍醐から請来(しょうらい)した不動明王を奉る不動堂

地蔵菩薩とびんずる尊者が安置された本堂

立派な仁王門をくぐった正面には本堂が見えてくる。間口十四間(約25m)、奥行十二間(約22m)の堂々とした本堂には特に延命のご利益があるという地蔵菩薩が奉られている。徳川5代将軍綱吉公から厚い信任を受けていた隆光(りゅうこう)大僧正がもたらしたとされ、こちらが現在の寺の本尊となっている。また、本堂には、なで仏として信仰されている「びんずる尊者」の像もある。神通力が非常に強い十六羅漢の1人といわれており、患部をなでると病気がよくなったり、鼻をなでると美人になるなどのご利益があるそうだ。まずは不動明王、地蔵菩薩、びんずる尊者を参拝しよう。

仁王像の安置されている仁王門。仁王像の裏側には、影向の松に贈られた大しめ綱と小岩出身の名横綱栃錦像が飾られている} 仁王像の安置されている仁王門。仁王像の裏側には、影向の松に贈られた大しめ綱と小岩出身の名横綱栃錦像が飾られている

本堂は1854年(弘化2)に再建された銅葺き屋根の木造建築。正面左に「びんずる尊者」像が鎮座する} 本堂は1854年(弘化2)に再建された銅葺き屋根の木造建築。正面左に「びんずる尊者」像が鎮座する

日本一論争を巻き起こした「影向の松」

境内の中心に茂る「影向の松」は600年以上の樹齢を誇るクロマツで、東西、南北に約30mずつ枝を伸ばし、その繁茂面積は日本一といわれている。この松が注目されたのは、1979年(昭和54)に影向の松が「繁茂面積日本一」と紹介された際、現在の香川県さぬき市にある真覚寺の「岡野松(現在は枯死)」から待ったがかかり、1年近くどちらが日本一かが争われたためだ。結果として勝負がつかず、当時の大相撲行司の木村庄之助がどちらも日本一として、両方の松を東西の横綱として裁きを下し、決着したという。松全体を見学するなら、鐘楼堂の隣にある横綱山からの眺めがおすすめだ。松の枝がどれだけ広がっているかひと目でわかる。松の巨大さを実感するなら松の枝の下から眺めるのが圧巻だ。幹、枝の太さはもちろん、いくつもの支柱が枝を支え、枝の広がりをより間近で見ることができる。一時期、松の樹勢に陰りが見られたことがあったという。土壌改良、水はけをよくするための地下水路の設置、枝のせん定などを行うなどして、松の保存に努め、現在も大事に育てているという。

寺で行われていた「子供相撲大会」の土俵の土を盛って造られた横綱山} 寺で行われていた「子供相撲大会」の土俵の土を盛って造られた横綱山

幹の太さは約4.5m、繁茂面積は野球の内野のダイヤモンドと同じくらいの広さになるという} 幹の太さは約4.5m、繁茂面積は野球の内野のダイヤモンドと同じくらいの広さになるという

松以外にも見るべきスポットが充実

「影向の松」のほかにも見学したい場所がたくさんある。まずは江戸川区と東京都の有形文化財となっている「浅間山噴火の供養碑」だ。1783年(天明3)の浅間山大噴火で犠牲になったおびただしい遺体が約200km下流の江戸川にも流れつき、その犠牲者の供養として建てられた碑だ。また、「四国八十八カ所霊場」はここを通ってお参りすれば、四国遍路をしたことと同じご利益があるという。そして、毎年行われる菊花展にも足を運びたい。10月半ばから11月にかけて行われ、毎年1000鉢以上の菊が境内に展示されるそうだ。

「浅間山噴火の供養碑」は噴火の犠牲者の十三回忌となる1795年(寛政7)に建てられた} 「浅間山噴火の供養碑」は噴火の犠牲者の十三回忌となる1795年(寛政7)に建てられた

四国八十八ヶ所それぞれの霊場の砂の上に祠(ほこら)が建てられている「四国八十八カ所霊場」} 四国八十八ヶ所それぞれの霊場の砂の上に祠(ほこら)が建てられている「四国八十八カ所霊場」

スポット詳細

住所
東京都江戸川区東小岩2-24-2 map map 地図
エリア
葛西エリア
電話番号
0336576692

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 影向の松だけじゃない善養寺
    4.0 投稿日 : 2021.05.27
    影向の松で有名な江戸川沿いの寺院。土手の上、遠方から見ると隣の江戸川病院が目立つ。小岩不動尊でも有名で、御朱印はこの小岩不動尊が記される。真言宗豊山派の寺院で創建は1527年と伝わり由緒ある寺院のようだ。冒頭に記したように影向の松を目的に訪れる場合は多いが、影向の松以外にも見所はある。本堂、金剛場の入口左に鎮座する「おびんずるさま」と呼ばれる木仏は撫でるとその部分が良くなると言われる仏様。善養寺...
  • 大きすぎるマツ!!!!
    4.0 投稿日 : 2020.03.10
    影向のマツは樹齢600年以上で繁茂面積は日本一らしいです!たしかにでかい!でかすぎる!国の天然記念物の指定も受けてるみたいですね真言宗豊山派に属する善養寺は室町時代からあるらしく御朱印もありました〜
  • 影向のマツが凄いです!!
    5.0 投稿日 : 2020.01.27
    東京都江戸川区東小岩にある真言宗豊山派の寺院です。すぐそばには江戸川が流れています。境内にある樹齢600年と言われる「影向のマツ」(ようごうのまつ)があまりにも見事で感動しました。「影向のマツ」とはクロマツの巨木で真ん中にある大きな幹から四方に大きな枝が延び、その枝があまりに大きい為、何十と言う支柱で枝を支えていました。「日本一の名マツ」と言われるほどで国の天然記念物にも指定されました。凄...

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アクセス

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