六十里越街道
庄内地方から内陸へとつながる歴史あふれる古道
かつての人々の歩みを刻む古の道
鶴岡から寒河江を経由し、山形に至るのが「六十里越街道」だ。出羽山地を東西に横断する全長およそ105kmに及ぶこのルートは、かつては出羽の国の内陸部と庄内を結ぶ唯一の陸路として、塩や物資の流通、軍用目的や参勤交代、はたまた山岳信仰が盛んであった時代には湯殿山へ向かう修験者たちなど、さまざまな目的で多くの人が通ったという。現在ではトレッキングコースとして人気があり、30分程の山歩きを楽しめるコースから数日にわたって長距離を踏破する上級者向けのものまで、自分の体力にあわせて選べる。山岳ガイドがつき、案内を受けながら歩くツアーも開催されている。往時の面影を残す石畳や石碑が残る道を歩いてみてはいかがだろう。ただし山道であるため、トレッキングの装備や熊よけの鈴を準備しておくべし。出発地点によっては、入山届の提出が必要な場所もある。また、冬期間は積雪のため歩行できない。開山してすぐの時期は、残雪の量によってはガイドが必須になる場合も。詳しくは地元観光協会や市町村のウェブサイトをチェック。
悠久の歴史を紡いできた街道
今から1200年前に開かれたと伝わる「六十里越街道」。ブナの木々に囲まれた険しい山道だが、明治30年代に新道が整備されるまでは人々の暮らしに寄り添う重要路でもあり、庄内と内陸の間で海産物やロウソク、紅花や葉タバコなどの物資のやりとりも行われた。また、室町・江戸時代には東北のみならず遠く関東からも湯殿山を目指す参詣者が利用したという。街道には多くの史跡や文化財が残存し、子孫繁栄や五穀豊穣を願った御神体などの姿も。加えて、鶴岡の大日坊(だいにちぼう)旧境内にある山形県指定天然記念物の「皇壇の杉(おうだんのすぎ)」や、4層構造の多層民家が残り六十里越街道の要所でもあった田麦俣集落(たむぎまたしゅうらく)など、街道沿いには山形の歴史で重要な位置を占めるスポットもあることから、六十里越街道がいかに主要路だったかがわかるだろう。過去の人々の足跡を感じながら歩を進めよう。
楽しみ方や見どころにあふれた古道
ブナ林と季節の花々に囲まれた「六十里越街道」には、多くの見どころや楽しみ方がある。街道のシンボルともいわれ、ポスターにもなった「千手ブナ」は、千手観音のように大きく枝を広げた姿が神秘的。また、月山と連なる山々を見ることができる月山展望台などビュースポットも。個人で見どころをチェックするのが難しいなら、山船頭人(やませんどうにん)にガイドを依頼するのもおすすめ。「六十里越街道」の歴史や自然の案内を聞きながら歩けば、楽しみがさらに増すに違いない。また、白装束と菅笠、金剛杖の3点の有料レンタルもできる。どちらも問い合わせはあさひむら観光協会へ。そのほか、街道歩きの新しい楽しみ方として生まれたのが「ゆどのみち押印帖」だ。鶴岡エリアの本明寺(ほんみょうじ)~湯殿山神社本宮までの間に設置された11か所のスタンプをすべて押し、あさひむら観光協会へ送ると、完歩記念スタンプと記念品が返送される。また、押印帖には願い札も付いているので、願い事を書いて神社やお寺へ納めてみては。押印帖は湯殿山直売所や道の駅月山「月山あさひ博物村」等で購入可能。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン