八戸市美術館

美術館

アートを通じて100年後の八戸を創造していく美術館

2021年(令和3)にリニューアルした八戸市美術館。「出会いと学びのアートファーム」をテーマに、来館者がさまざまな形でアートに触れ、親しめるような工夫が各所に施されている。

美術館の「オクニワ」。ベンチでくつろぎながら館内の様子を眺めることもできる} 美術館の「オクニワ」。ベンチでくつろぎながら館内の様子を眺めることもできる

アートを通じた学びをテーマに据えた美術館

八戸市美術館は、建物の老朽化などの理由により2017年(平成29)に休館した。休館中、「アートは常に時代を反映する。では、現代のアートを受け止める美術館の在り方とはどういうものなのか」と模索し、導き出したのが「八戸市美術館は、100年後の八戸のためにアートを通じて人やまちを育てる、畑のような場所になる」というテーマだった。2021年(令和3)に誕生した新生・八戸市美術館は、誰もが気軽にアートに触れられる機会を提供する「展覧会」と、市民とともにアートを介して出会いや学びを誘発する「プロジェクト」を両輪に運営している。「学びにはプロセスこそが重要」という考えのもと、展覧会やイベントの開催過程そのものを公開している点が大きな特徴だ。

開催中の展覧会に合わせ、入り口から展示室までレッドカーペットが続いている。右手に並ぶのは、ミュージアムのオリジナルグッズ。もちろん購入も可能だ} 開催中の展覧会に合わせ、入り口から展示室までレッドカーペットが続いている。右手に並ぶのは、ミュージアムのオリジナルグッズ。もちろん購入も可能だ

「アート県・青森」の鍵となるスポット

エントランスから入ってすぐに広がるジャイアントルームには、テーブルやホワイトボードが並べられ、今後の展覧会に向けて作業を行うグループの姿が見受けられる。来館者は必ずここを通るため、これから行われるアートのいわば「予告編」を、来館と同時に眺められるという仕掛けだ。同館の山内伶奈さんは「誰もが気軽に使えるジャイアントルームのようなスペースもあれば、アートを展示することに特化した『専門的な個室群』もある、というのが八戸市美術館。目的意識にとらわれず、気軽に足を運んでいただくだけで、多彩な専門性に触れることができるようになっています。日々のアートとの触れ合いが、新しい文化の形成につながっていくことを願っています」と語る。アートに力を入れ「青森県をアート県/圏に」という構想を打ち出している青森県。八戸市美術館は、青森を代表するアートスポットを巡ることで県内の周遊を生み、青森の魅力を国内外に発信する「青森アートミュージアム5館連携協議会」の一翼を担っているのだ。

エントランスから入ってすぐに広がる空間が「ジャイアントルーム」。展示を準備する、アートについて語り合うなど、自由に利用できる} エントランスから入ってすぐに広がる空間が「ジャイアントルーム」。展示を準備する、アートについて語り合うなど、自由に利用できる

映像作品の展示にぴったりな「ブラックキューブ」など、洗練された展示室の数々。設計者はこれらの展示室を「専門的な個室群」と呼んでいる} 映像作品の展示にぴったりな「ブラックキューブ」など、洗練された展示室の数々。設計者はこれらの展示室を「専門的な個室群」と呼んでいる

「どんな作品に出会えるか」が楽しい

展覧会は「八戸という地域の特徴や、独創性への理解を深めること」をコンセプトに、多彩な企画が盛り込まれている。この日は、同館の収蔵作品で構成された企画展「持続するモノガタリ」が開催されていた。八戸市美術館は、約3000点という収蔵品のなかに、ジブリ映画に登場する絵のモデルとなった『虹の上をとぶ船 総集編2 星空をペガサスと牛が飛んでいく』(1976年)が収められていることでも有名だ。収蔵品は「コレクションラボ」とう展示室を中心に、テーマを変えながら紹介されるため、お目当ての作品があるなら、事前に展示予定を確認してから訪れよう。ただ「この作品を鑑賞したい」と決めて訪れるよりも「どんなアートと出会えるのかな?」と楽しみに足を運ぶと、八戸市美術館らしい過ごし方ができそうだ。

八戸市立湊中学校養護学級生徒共同制作の版画『虹の上をとぶ船 総集編2』(1976年)の作品の数々} 八戸市立湊中学校養護学級生徒共同制作の版画『虹の上をとぶ船 総集編2』(1976年)の作品の数々

リピーターを生むための学芸員の挑戦

「美術館=アートファーム」を掲げる八戸市美術館。これはアートを通じた「学び」が、人々の感性や想像力を育む「養分」となって、八戸の地や暮らしが豊かになっていくという発想から生まれている。学芸員も、展覧会ごとに来館者がより深くアートに触れられるような工夫を凝らし、挑戦を続けている。今回の「持続するモノガタリ」展では、学芸員だからこそ知っている作品の小ネタなどが、コメントとして作品の横に小さく掲げられていた。また鑑賞後、出口付近に設置されている「モノガタリカード」に、感じたことや質問を書いて残すと、学芸員の回答が後日館内に掲示されるという企画も実施。アートを介して、市民と学芸員との交流が生まれ、また自然と再来館を促すという巧妙な仕組みだ。八戸市美術館が仕掛けるアートへの新しいアプローチを楽しみに、訪れてみてはいかがだろう。

モノガタリカードでの交流以外に、この企画では、学芸員と直接話せるコーナーも用意。美術談議に花を咲かせた来館者もいたことだろう} モノガタリカードでの交流以外に、この企画では、学芸員と直接話せるコーナーも用意。美術談議に花を咲かせた来館者もいたことだろう

スポット詳細

住所
青森県八戸市番町10-4 map map 地図
電話番号
0178458338
時間
10:00-19:00
休業日
火(祝日に当たる場合は翌日)、年末年始
クレジットカード
電子マネー/スマートフォン決済
Wi-Fi
あり
コンセント口
あり
喫煙
不可
平均予算
【昼】1,001-3,000円
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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最寄り

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