礼文ガイドサービス

「フラワーコース」は桃岩展望台をお花ガイドと歩く人気トレッキングコース/写真提供:礼文ガイドサービス

礼文島観光の定番はトレッキングで花観賞

日本最北端の有人島である礼文島は、数多くの高山植物や島固有の花などを見ることができるため、別名「花の浮島」といわれている。そのため、観光の定番は、島内に点在する高山植物や花を観賞すること。観賞スポットは島内各所にあるが、車で手軽に見に行くことができる場所は「レブンアツモリソウ群生地」などごく一部で、ほとんどは島内に整備されているトレッキングコース上にある。複数あるトレッキングコースのうち、初心者でも比較的歩きやすく礼文島観光でいちばん人気のあるコースが「桃岩・知床コース」。ほかのコースに比べてさまざまな花を見ることができることから、一般的には「フラワーコース」と呼ばれている。

エゾノハクサンイチゲの群落。フラワーコースではさまざまな花を各所で見ることができる/写真提供:礼文ガイドサービス

トレッキング初心者でも歩きやすいフラワーコース

礼文島の南西部を歩くフラワーコースは、礼文島の入り口、フェリーターミナルのある香深(かふか)地区から桃岩展望台を経て、終点となる知床地区まで約6.4km。このうち、車で通れない桃岩登山口から知床までの約5.7km区間がトレッキングコースのメインだ。所要時間は約3時間。未舗装で自転車でも通れない区間も多いが、礼文島を代表するトレッキングコースだけあり比較的しっかり整備されているので安心。高低差は、桃岩登山口から向かうと上り100m、下り250m程度で、アップダウンがあるもののそれほどきつくはない。トレッキング未経験者でも歩きやすいコースなので、体力に自信がない人や初めての人はフラワーコースに参加するのがいいだろう。今回は、送迎とガイドをサポートしてくれる「礼文ガイドサービス」の貸切ツアーで、フラワーコースのトレッキングにチャレンジだ。

桃岩登山口のコース起点。「礼文ガイドサービス」のお花ガイド・眞鍋さんと一緒にトレッキングスタート

桃岩展望台からの絶景と潮風を感じながらのトレッキング

桃岩登山口を出発し、まず目指すのは絶景ポイントとして知られる桃岩展望台。そのほか、礼文島固有種の花「レブンキンバイソウ」の群生地であるキンバイの谷、礼文島南西端にある元地灯台を通る。桃岩展望台から元地灯台までの区間、右手には礼文島の西海岸を見下ろす急斜面が続き、左手には丘陵地帯が広がる。少し疲れてきても、この景色を見ると元気が出てきそうだ。礼文島は強風や濃霧になることが珍しくないのだが、天候に恵まれれば、丘陵地帯の先、海の向こうに利尻富士が見えることも。途中、ガイドさんがいろんな花の説明をしてくれる。元地灯台を過ぎ、ゆるやかな下り坂を歩いていくと、礼文島南部の知床地区へ到着。知床バス停、または「北のカナリアパーク」が終着点となる。ガイドツアーに参加すると、香深地区からコースの起点・終点まで無料送迎サービスが付いていることが多い。個人で行く場合は路線バスを使うのだが、桃岩登山口、知床バス停ともに便数が極めて少ないので、事前にバスの運行時間を調べておこう。

桃岩展望台からの景色。ガイドさんの指差す方向にあるのが桃岩だ

ガイド同行の貸切ツアーがおすすめ

トレッキングを楽しめるのは概ね5月上旬から9月下旬まで。コース途上では時期ごとにさまざまな花が咲き乱れ、足元のすぐ脇から海へと続く斜面まで、いたるところで多種多様な高山植物や花を愛でることができる。開花の時期は品種により異なるため、半月もすれば花模様は一変し、見どころのポイントも都度変わるのが礼文島。どこにどんな花が咲くのか、見頃がいつか、どのような植生なのかなど、しっかり楽しむにはお花ガイドが同行するガイドツアーに参加するのがベター。ガイドツアーを催行する会社は団体向け、個人向けなど複数ある。個人向けの貸切ツアーは、割高ではあるが自分のペースで歩け、ガイドとの会話を楽しみながらじっくり案内もしてもらえる。知的好奇心も満たされ、満足度は格段に上がるだろう。

ピンクの花はレブンコザクラ。ガイドがさまざまな花などの解説をしてくれる

今回のトレッキングのゴール地点である知床地区