定山渓ファーム

自然のリズムを大切に果樹栽培や庭造りを行う山のなかの農園

札幌の奥座敷・定山渓(じょうざんけい)温泉。その温泉街から少し山に入ると「定山渓ファーム」がある。「隠れ里」という言葉がよく似合う山に囲まれた農園には、美しいガーデンや果樹園のほか、いろいろな体験プログラムが用意されている。

山に囲まれている「定山渓ファーム」。ゲートをくぐると奥に果樹園が見える

札幌の市街地から国道230号線を車で走り、定山渓の温泉街を抜けると左手に「定山渓ファーム」の看板が見えてくる。案内に従って国道を左折すると、定山渓ファームに向かう道と豊平峡(ほうへいきょう)温泉へ続く道に分かれる。定山渓ファーム方面に少し進むと道幅が狭くなるので、道を間違ったかと少々不安になるが、手作りの小さな看板がたびたび現れ、来訪者をいざなってくれる。そのまま林のなかの一本道を進むと辺りが開け、定山渓ファームの駐車場に到着。ゲートをくぐるとログハウスの受付棟があり、入園料(中学生以上600円、4歳～小学生500円)を支払って園内へ。花畑や果樹園が見え、「人里離れた山のなかにこのような場所があるなんて！」と思わず声が出そうになる。ゲート横の園内マップ内に「定山渓ファームの妖精たち」と称して7人の妖精が紹介されているのだが、本当に彼らに出合えそうな雰囲気だ。

ひと言コメントの書かれた小さな看板がときどき現れ、道案内をしてくれる。看板はスタッフの手作り

ここはもともと長い間果樹園が営まれていた場所で、縁があって2016年(平成28)から定山渓ファームとしてスタート。その翌年からは、果樹と花々がともに育つオーチャードガーデン造りにも着手した。ミツバチなど昆虫たちと共生し、花々がもつ力を借りながら健全な果樹栽培を行おうと、農薬や化学肥料に頼らず、自然のリズムを大切にし、そこに生息する動植物も生かした庭造りが行われている。園内マップを見ると、いろいろなテーマの庭があることがわかる。入り口ゲート付近には「ホワイトガーデン」「歓喜の庭」があるほか、「メイン・オーチャードガーデン」と呼ばれる奥のエリアには、「Witch's Garden(魔女の庭)」「Rose Garden(バラの庭)」「Secret Garden(秘密の花園)」などがある。庭は山中の森にも続いており、散策しながら森林浴もできる。花々が咲き誇る初夏から夏も美しいが、辺りの山が赤や黄色に色づく秋も、山と庭が一体となり見ごたえがあるそう。

バラの香りが漂ってくる「Rose Garden(バラの庭)」。定山渓ファームでは心が晴れるような庭園造りを目指しているそう

道の両サイドにハーブなどが植えられている「Witch's Garden(魔女の庭)」。周囲には集落がないため野生生物も多く、豊かな自然が残っている

定山渓ファームは、山のなかにあり斜面が多いため水はけがよく、果樹栽培には適した場所。園内にはさまざまな果樹が植えられ、来園者は季節ごとに果物狩りを楽しめる。6月のイチゴから始まり、7月はサクランボ、8月はプラム、9月中旬からはリンゴ、9月下旬からはブドウや栗、10月は梨。天候によって育成状況が変わるため、果物狩り体験をしたい場合は事前にウェブサイトをチェックしよう。園内には、ほかにもアクティビティが用意されている。森を生かした「プカのアドベンチャーワールド」では、ツリートレッキングやジップラインを体験できる。料金は「初級コースツリートレッキング」が1回2000円、ジップライン追加で2300円など。小さな子どもが木製遊具などで遊べる「森の遊び場」(無料、園内に2か所)などもある。

7月から8月上旬はサクランボの季節。森の豊かな湧き水によって甘く育つ

森の木々を生かして造られたツリートレッキングのコース

園内には、釣り堀「タッケの池」もあり、釣った魚を炭焼きにして食べることもできる。竿の貸し出し(エサ代込)は60分1100円。釣った魚はリリース不可で、100g 385円で量り売りとなる(食べる場合は有料でさばいてくれる)。ピザ作りやクラフト作りの体験イベントもあるが、内容は都度異なるため詳細はウェブサイトで確認を。おなかが空いたら、受付のあるログハウスか、エントランス付近にある銀色のエアストリーム(キャンピングトレーラー)のカフェへ。オリジナルのハンバーガーや季節の野菜を使ったピザ、ジンギスカン、園内で育てたハーブを用いた自家製ドリンクなどを提供している。ここで栽培した果物をたっぷり使ったパフェやかき氷など、季節限定のスイーツメニューも。ログハウス内では園内で収穫された果物などの販売も行っている。

手ぶらで訪れてもOK。釣り体験ができる、釣り堀「タッケの池」