鍋冠山公園

すばらしい夜景を満喫できる展望台。日中の眺望も捨てがたい

長崎市の南山手地区にある鍋冠山を利用した公園。展望台からの夜景は長崎でも1、2を争う美しさといわれ、「世界新三大夜景」にも認定されている。長崎港や山々の風景が楽しめる昼間のパノラマもお見逃しなく。

世界新三大夜景と日本新三大夜景に選ばれた夜景。稲佐山に比べ訪れる人が少なく静かに堪能できる

グラバー園や大浦天主堂などを擁する南山手地区は、長崎でも最も有名な観光エリアのひとつ。そんな地区の奥にある鍋冠山公園は、標高169mの鍋冠山の山頂にあり、夜に行けば展望台から長崎の街を一望することができる。長崎の夜景スポットといえば、長崎港を挟んだ北側にある稲佐山が有名だが、地元には「鍋冠山公園から見る夜景が最も美しい！」という人も少なくない。稲佐山より観光客が少なく知名度は低いが、長崎の夜景を堪能したいならぜひ訪れておきたい。

展望台へは車で行ける。鍋冠山公園は「なべかんむりやまこうえん」というが、地元では「なべかぶりやま」とも呼ばれる

日中に徒歩で行くなら、グラバー園第2ゲートから歩行者用階段を上がって10-15分。この歩道は街灯がなく夜は真っ暗になる

鍋冠山公園は夜景スポットとして人気だが、日中の眺望もぜひおすすめしたい。青々とした長崎港、三菱長崎造船所の巨大な電動クレーン「ジャイアント・カンチレバークレーン」、女神大橋の奥には沖に浮かぶ軍艦島、陸に目をやれば急斜面に広がる住宅街と、それを取り囲む山々など、昼間だからこそ見られる景色が広がっている。軍艦島や三菱長崎造船所のジャイアント・カンチレバークレーンなどは、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産になっている。昼と夜、異なる表情を見せる長崎の景色を、鍋冠山公園の展望台から存分に楽しもう。

1909年(明治42)に竣工し、現在も現役の三菱長崎造船所のジャイアント・カンチレバークレーンは世界遺産に認定されている

女神大橋の奥に軍艦島が見える。夕刻は橋の向こうに日が沈み、空と海がオレンジ色に染まる

美しい景色を一望できる鍋冠山公園はカップルに人気だが、広場やアスレチックもあるため、子ども連れでも楽しめる。半円形をした展望台の中央部分は芝生が整備されており、元気な子どもはつい遊びたくなるだろう。また園内には斜面を利用したアスレチック場もある。滑り台やブランコ、鉄棒などがあり、思う存分子どもを遊ばせることができる。ちなみにアスレチック場の入り口からの景色もまたきれいなので、親子で眺めてみてはいかがだろうか。

展望台2階へはスロープ、1階にはトイレも完備されている

鍋冠山公園がある南山手地区には観光スポットがたくさんある。長崎観光の定番「グラバー園」の第2ゲートまでは展望台から10～15分。グラバー園ではスコットランドの貿易商人であったグラバー氏の邸宅をはじめ、3つの国指定重要文化財の住宅などを見ることができる。さらにグラバー園のすぐ近くには世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連資産」の構成資産のひとつ、「大浦天主堂」もある。大浦天主堂は、幕末の開国時に在留外国人のために建設されたゴシック様式の教会だ。白亜の外観や天主堂内にある色彩豊かなステンドグラスなど見どころも多いので、グラバー園とともにぜひ訪れたい。

斜面に住宅が密集している。長崎が坂の町であることがよくわかる