出羽島
太平洋に浮かぶ昭和ノスタルジー
乗船から約15分で別世界へ
徳島市街地から南へ車を走らせること約1時間30分。豊かな海に恵まれた牟岐町(むぎちょう)の古い街並みのなかに、出羽島行きの定期船乗り場がある。天候にもよるが、基本的には1日6本の便があり、片道料金は大人220円、子ども110円という安さ(8月1日から9月30日までは大人230円・子ども120円)。定期船乗り場の駐車場に車を止めて船に乗り込むと、船は漁港を抜けて太平洋の大海原へ。ほどなくして、海にぽっかりと浮かぶ出羽島が姿を見せ始める。乗船から15分ほどで、出羽島の漁港へ到着。船を下りて周りを見渡せば、そこはすでにノスタルジー感があふれる世界。昭和生まれの人にとっては、過去にタイムスリップをしたような気分になるはずだ。
受け継がれる漁村の暮らし
出羽島の暮らしは、1800年(寛政12)から始まったといわれる。江戸時代に急増した漁業を生業とし、昭和にかけて漁場を拡大しながら発展していった。高度成長時代には1000人を超えたとされる人口も、現在、島に暮らしている島民は70人ほど。自動車は1台も走っておらず、「ねこぐるま」と呼ばれる木造の運搬車を押しながら道を行き来する島民の姿が印象的だ。定期船は人の行き来だけでなく、食料や生活必需品などの物資を運ぶ役割も果たしており、船着き場の目前にある寄り合い所には、物資の到着を待つ人々の姿も見られる。港から数十mも歩けば、そこは歴史情緒があふれる世界。ゆるやかに流れる時間のなかで、気の向くままに散策してみよう。
フォトジェニックな風景がいっぱい
民家の密集する古い街並みを歩くと、石の壁や階段、歴史を感じさせる木造家屋、玄関脇のミセ造りと呼ばれる縁側など、古きよき時代に迷い込んだかのような錯覚を受ける。この伝統的な漁村集落は、2017年(平成29)に国の重要伝統的建造物群にも選定されている。島内には釣り体験ができる民宿があるが、利用したい場合は予約を入れておくことをおすすめする。ガイドとともに街並みを散策するプランもあるので、島の魅力を満喫したい人は利用するのもいいだろう。ゆったりと流れる時間に身をゆだねながら、自分のなかに眠る感性を刺激しよう。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン