デ・レイケの堰堤
築造100年を超えて今も機能する明治期の砂防ダム
大谷川上流に築造された砂防堰堤のうち、ゆるやかな曲線を描くアーチ型の二段石積みの砂防ダムが、国の登録有形文化財であり、土木学会が選奨する土木遺産でもある大谷川砂防堰堤だ。オランダ出身の治水技術者ヨハニス・デ・レイケの指導によることから「デ・レイケの堰堤」と呼ばれ、地元の人に親しまれている。築造当時の高さが3.8m、長さは97mという巨大な堰堤で、河床に粘土を突き固め、松の丸太を並べて基礎を造り、野面石(のづらいし)を積み上げた頑丈な構造。1886年(明治19)に着工し、完成は2年後の1888年(明治21)。100年以上が経過した現在は、長さこそ半分程度まで短くなったが、巧みに水の勢いを弱め、大谷川の河床を安定させ続けている。大谷川砂防堰堤(デ・レイケの堰堤)は、ヨハネス・デ・レイケが指導した吉野川流域における治水事業のうち、唯一現存する土木構造物である。彼が携わった全国各地に残る砂防堰堤のなかでも最大規模のものであり、非常に貴重な土木遺産のひとつだといえる。
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情報提供: ナビタイムジャパン