大本山 護国寺

寺院

江戸時代造営の大伽藍が残る徳川家の祈願寺

広々とした境内に、観音堂をはじめとする多くの堂宇が立ち並ぶ、真言宗豊山派の大本山。都内にありながらも元禄時代の雰囲気を感じられる希有な寺院だ。季節の花を愛で、歴史に浸りつつ散策を楽しもう。

木造建造物としては都内最大といわれる観音堂(本堂)。重要文化財に指定されている} 木造建造物としては都内最大といわれる観音堂(本堂)。重要文化財に指定されている

孝養心あつい綱吉が母桂昌院のために創建

大震災や空襲により大きな被害を被った東京では、歴史的な木造建築物の多くが失われた。しかし、奇跡的に焼失をまぬがれ、江戸期の本堂を残す大寺院がある。文京区西部に位置する護国寺だ。創建は1681年(天和元)。第5代将軍徳川綱吉が、母桂昌院の願いにより開いた寺院で、亮賢僧正を招いて開山とした。桂昌院は、第3代徳川家光の側室・お万の侍女として大奥に入り、家光の寵を得て綱吉を産んだ人物。仏教に深く帰依し、江戸城から護国寺に頻繁に参詣し、綱吉もたびたびそれに同行した。そのときのお供は1000人を超える大規模なものだったため、寺院前の道(現在の音羽通り)は当時から現在のように広く整備されていたという。

境内のあちこちでかわいい猫の姿を見かける} 境内のあちこちでかわいい猫の姿を見かける

仁王門から緑豊かな境内へ

東京メトロ護国寺駅の1番出口から出ると、ビルの間に建つ丹塗りの仁王門が迎えてくれる。辺りににらみをきかせる赤い金剛力士像の間を通って境内に入ると、まっすぐな参道が奥へと続く。右側に見えてくる灰色の建物は本坊(寺務所)。観音堂が閉まっている時間帯などには、ここで御朱印を受け付けている。

江戸中期に建造された表門の仁王門。裏側には増長天と広目天の像を安置} 江戸中期に建造された表門の仁王門。裏側には増長天と広目天の像を安置

石段の手前に、桂昌院が寄進した蓮葉形の手洗水盤がある。石段を上がると、昭和に建てられた懸造(かけづくり)の不老門が建ち、続いて広々とした敷地に出る。右手に筑波山から移された大仏像が鎮座し、左手には石山寺の塔を模した多宝塔が立つ。多宝塔のうしろの月光殿は、桃山時代の建造で重要文化財。そして、正面にたたずむのが観音堂(本堂)だ。

春は桜の花に彩られる参道。護国寺の境内には9つの茶席があり茶会も催される} 春は桜の花に彩られる参道。護国寺の境内には9つの茶席があり茶会も催される

時が止まったかのような観音堂内部

1697年(元禄10)に落慶した観音堂は、当時の伝統工芸の粋を集めた大建造物。天井画や欄間の彫刻が美しい内部は必見だ。本尊は、桂昌院の念持仏だった小さな琥珀の如意輪観世音菩薩像と、恵心僧都作の頭部をもつ六臂如意輪観世音菩薩像。前者は絶対秘仏であるのに対し、後者は中央の厨子に安置されており、毎月18日に御開帳される。このほか、本堂内の仏像の多くは、綱吉と桂昌院が奉納したものだという。なかでも厨子の周囲を飾る、桂昌院の発願で作られた33体の観音菩薩像は壮観。また、本堂の柱にも注目したい。直径50cm以上の柱が52本あり、300年以上の間毎日お経を聞いていることから「開運柱」と呼ばれ、抱いて願い事をすると叶うといわれる。

御朱印は観音堂内の納経所でいただく。「江戸三十三観音霊場」「御府内八十八ヶ所霊場」「東国花の寺百ヶ寺」の3種類} 御朱印は観音堂内の納経所でいただく。「江戸三十三観音霊場」「御府内八十八ヶ所霊場」「東国花の寺百ヶ寺」の3種類

江戸時代の建造物をはじめ、見どころの多い境内

参拝を終えたら観音堂の周囲をぐるりと回ってみよう。1691(元禄4)建立の薬師堂は、唐様建築の特徴である花頭窓(かとうまど)が印象的だ。観音堂の北側には墓地が広がり、政治家の大隈重信や山縣有朋、建築家のジョサイア・コンドルなどの著名人が眠っている。観音堂の南東側にある鐘楼と大師堂も江戸時代の建造。素朴な雰囲気の大師堂は、御府内八十八ヶ所の第87番札所となっている。

弘法大師、興行大師、本覚大師の三尊像を安置する大師堂} 弘法大師、興行大師、本覚大師の三尊像を安置する大師堂

帰りはモダンな桂昌殿(葬祭場)の前を通って、仁王門と並ぶもうひとつの門・惣門から出てみよう。こちらも江戸中期の建造物のひとつ。形式は寺社の門というより、5万石以上の大名屋敷の表門に相当し、当時の護国寺の格式の高さを物語っている。

どっしりとした構えの惣門} どっしりとした構えの惣門

スポット詳細

住所
東京都文京区大塚5-40-1 map map 地図
電話番号
0339410764
時間
[拝観時間]9:00-12:00/13:00-16:00

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 歴史ある空間がお寺全体に広がっています
    4.0 投稿日 : 2023.03.23
    文京区大塚にある「護国寺」についての情報を発信していきます。「護国寺」を訪れたのは2023年●月●日です。まず、最初に「護国寺」の歴史について紐解いていきたいと思います。「護国寺」は、天和元年2月(1681年)に、五代将軍「徳川綱吉」が、その生母、「桂昌院」の発願により創建しました。そして、開山にあたっては、「碓氷八幡宮」(現在の「上野國一社八幡宮」)の別当である「大聖護国寺」(現在の「高崎市...
  • 有名人のお墓がたくさんあるんです。
    3.0 投稿日 : 2022.12.01
    お寺の入口には”仁王門”がどんと構えています。左右に仁王様”阿吽”が鎮座している表門ですね。参道を進みますと石段の上に、朱赤の門見えてきました。 ”不老門”です。境内はゆったりとしています、かなりの敷地があるようです。これが本殿です。 立派な建物です。 国の重要文化財に指定されているそうです。 護国寺は真言宗豊山派の寺院です。境内には、こんな物もあります。 ”閼伽井(あかい)”という看...
  • 真言宗豊山派は奈良長谷寺と双璧
    4.0 投稿日 : 2022.10.26
    本堂は1681年創建そのままが今の世まで建っている事が凄い。540年も。本堂内の柱は50cm以上の欅が数十本。柱を抱いて願いを唱えると叶うとの言い伝え。東京都内でこれ程の歴史ある大型木造建築が残っているのが奇跡。

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