一茶記念館
生きとし生けるものへの慈愛に満ちた俳人・小林一茶の世界
江戸時代の3大俳人に数えられる小林一茶
黒姫山や妙高山を望む柏原は、江戸時代、北国(ほっこく)街道の宿場町として栄えていた。その柏原宿に生まれ育った小林一茶は、生涯に2万を超える句を詠み、松尾芭蕉、与謝蕪村と並び称される俳人。素朴で、自由で、はかない命への愛情と哀しみにあふれた一茶の句は、時代を超えて共感を呼んでいる。「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」など、小鳥や昆虫などを詠んだ句も多く、小学校の教科書で一茶に親しんだ人も多いだろう。信濃町には一茶の句碑が100以上あるが、一茶記念館から北国街道(国道18号線)沿いに一茶の句碑とゆかりの地を歩くなら、見学も含めて2時間もあればまわることができる。一茶の生涯をたどり、その世界観に触れてみたい。
まずは「一茶記念館」へ
一茶ゆかりの地を巡る旅は、しなの鉄道の黒姫駅から。ここに3つある一茶の句碑を見たら、7分ほど歩いて「一茶記念館」へ。館内には一茶の生涯と作品、当時の柏原宿の様子がよくわかる展示があり、自筆の扇面や愛用のすずり、俳諧修行の旅で持ち歩いた携帯用日本地図なども興味深い。また、北信濃の自然を紹介した映像や、一茶の生涯を描いたアニメーション、奥の民俗資料棟(冬期閉鎖)では雪深い柏原の暮らしの道具などを見ることができる。音声ガイドの案内は、映画『一茶』で主演を務めたリリー・フランキー。館内と俳諧寺、一茶の墓所で聞くことができる(無料。預かり金500円)。記念館ではまた俳句大会などのイベントも盛んに行われている。なお、一茶は「猫の子がちょいと押さえる落葉かな」など猫の句を300以上詠んでいるが、記念館には三毛猫館長がいて、気が向けば訪問者にあいさつしてくれるかも。
季節を感じながら周囲の見どころを歩く
記念館を裏口から出て、俳諧寺を訪れよう。一茶を慕う人々によって明治時代に建てられたお堂で、裏手に回ると一茶の墓所が、俳諧寺正面の階段を下りると一茶が帰郷を決意した頃に詠んだ「是がまあついのすみかか雪五尺」の碑がある。国道へ出て南へ歩くと、右手に一茶の菩提寺「明専寺」があり、境内に「我と来て遊べや親のない雀」の碑が立つ。その先の郵便局前には「やせ蛙まけるな一茶これにあり」、次の信号の先にある銀行の前には「ゆうぜんとして山を見る蛙かな」。やがて左手に茅葺き屋根の建物が見えてくる。「弟屋敷」と呼ばれる史跡内の保存家屋で、裏手に一茶終焉の地である土蔵「一茶旧宅」が立つ。さらに国道を100ⅿほど下ると、柏原諏訪神社に「松陰に寝て食う六十余州かな」の句碑がある。車ならぜひ訪れたいのが、記念館から2kmほど南西にある仁之倉地区。一茶生誕の地とされる母の家の跡に「ともかくもあなたまかせの年の暮」、仁之倉神社に「めでたさもちゅうくらいなりおらが春」の句碑がある。
「露の世は露の世ながらさりながら」
江戸中期の1763年(宝暦13)、比較的裕福な農家に生まれた一茶(本名・弥太郎)は、3歳で母を、14歳で最愛の祖母を亡くした。一茶は父の再婚相手との折り合いが極めて悪く、案じた父は15歳の一茶を江戸に奉公に出す。大きな農家の長男を奉公に出すのは異例のことだ。20代の頃、一茶は俳句に出合い、修行のために諸国を旅する。やがて父が亡くなると、遺産をめぐって継母と異母弟を相手に13年も争い、50代になってようやく和解。柏原へ戻って結婚し、4人の子をもうけるも皆幼くして亡くなり、妻も37歳で死去した。一方、俳人としての名声は広く知られ、晩年は脳梗塞の発作を繰り返しながらも、弟子宅をまわって俳句を教えていたという。1827年(文政10)、柏原宿のほとんどを焼く大火で自宅が焼失。焼け残った土蔵に移り住んだ一茶は5か月後、65年の生涯を終えた。彼の句に漂う寂寥感を思わせる、苦難続きの生涯だった。
スポット詳細
- 住所
- 長野県上水内郡信濃町柏原2437-2 地図
- エリア
- 北信濃エリア
- 電話番号
- 0262553741
- 時間
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9:00-17:00
※12/1-3/19は平日のみ - 休業日
- 12/1-3/19の土日祝、1・2・5・6・9・10月の末日、年末年始
- 料金
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【入館料】
[個人]一般500円、小中学生300円
[12/1-3/19]一般450円、小中学生260円
[団体]一般450円、高校正350円、小中学生260円 - 駐車場
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あり(30台)
※無料
※大型バス可 - クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 可(PayPay)
- Wi-Fi
- あり
- 喫煙
- 不可
- 滞在目安時間
- 30-60分
- 車椅子での入店
- 可
情報提供: ナビタイムジャパン
クチコミ
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- 一茶の句と生涯が学べる
- 一茶のふるさと、信濃町にある記念館です。一茶の家庭的には不遇な生涯や作品、書等がわかりやすく展示されています。訪れた時には企画展で良寛・八一の紹介もされており、江戸時代後期の文学にとってある意味平和な環境も改めて理解ができました。
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- 小林一茶と夏目漱石と小川芋銭(うせん)3人のコラボ
- 2019年6月2日まで期間限定で、『三愚集』という一茶の俳句に小川芋銭の俳画と、夏目漱石の揮毫の三人組コラボノ珍しい作品が展示してありました。オーディオ案内がリリーフランキーであることは、もっと受付の方が熱心に勧めてほしかったです。借りていないので少し残念な気がします。全般に静かすぎて物足らなかった印象です。
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- リリーフランキーの解説が心地よい
- 小林一茶の一生や、この北長野近辺の暮らしの様子をよく理解できます。オーディオ案内はリリーフランキー氏の声で、心地よく聞けました。
TripAdvisorクチコミ評価
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