富山県水墨美術館

美術館

心地よい静かな環境のなかで近代水墨画の数々とじっくり対面

JR富山駅の南西、神通川左岸の広々とした公園のなかに立地。好天なら中庭越しに立山連峰まで見渡せる絶好の環境にある。茶室も備える和風建築でくつろぎながら日本文化特有の美に触れ、その豊かさをあらためて確認できる美術館だ。

美術館建物は日本建築の伝統を反映した平屋の瓦葺き。愛知県産の三州瓦で墨の色を表現している} 美術館建物は日本建築の伝統を反映した平屋の瓦葺き。愛知県産の三州瓦で墨の色を表現している

優美や幽玄を尊ぶ日本人の美意識を表出

水墨画、日本画をはじめとする日本美術作品を展示し、優美や幽玄、侘(わび)・寂(さび)といった日本独自の美意識を再確認する場として1999年(平成11)に開館した。開設の背景には、生活の場から次第に和風文化が姿を消し、長くはぐくまれてきた美意識までもが失われる危機感があったという。美術館は寄棟造り平屋の和風建築で造られ、茶室や図書室も備える。近代以降の水墨画など日本画を中心に収蔵し、作品数は金工や工芸等も含めて約700点に及ぶ。富山市の公園「五福山水苑」のなかにあり、美術館の前庭にあたる池泉回遊式庭園や緑色が一面に広がる芝生、豊かな自然に囲まれた環境も心地よい。中庭越しに四季折々の景色を愛でながら日本の美にたっぷり浸り、心にやすらぎをもたらす時間を過ごしたい。

数寄屋建築の第一人者である棟梁・中村外二(富山県小矢部市出身)らが手がけた茶室「墨光庵」} 数寄屋建築の第一人者である棟梁・中村外二(富山県小矢部市出身)らが手がけた茶室「墨光庵」

年4回展示替えを行い、ときには工芸作品も含めて、およそ20点を公開する常設展示室} 年4回展示替えを行い、ときには工芸作品も含めて、およそ20点を公開する常設展示室

近代水墨画に光をあてた展示

墨の濃淡だけで高い精神性を表現する水墨画は、色があふれる現代の生活環境とは対極のような存在だ。土佐、狩野、琳派など、江戸期から続く各画派の伝統を踏まえながら、明治以降は西洋美術の影響も受けた新たな水墨画が生み出された。水墨美術館は、これらの近代水墨画に光をあてることを基本方針に据え、竹内栖鳳(せいほう)、横山大観、川合玉堂をはじめ、富山県ゆかりの篁牛人(たかむらぎゅうじん)や豊秋半二らの水墨画を公開する。華やかで色彩豊かな絵画と一線を画す、東洋的な精神世界をじっくり鑑賞したい。

常設展示室の公開作品。右から横山大観の《雪後》、今村紫紅(しこう)の《山路》、小川芋銭(うせん)の《沼》} 常設展示室の公開作品。右から横山大観の《雪後》、今村紫紅(しこう)の《山路》、小川芋銭(うせん)の《沼》

「東の大観、西の栖鳳」で両雄対決も

展示では、季節感を生かしながら物語性をもたせるなど、複数ある展示室を巡る楽しさを高める工夫を凝らす。代表例は、「東の大観、西の栖鳳」と並び称される横山大観と竹内栖鳳の展示だ。1937年(昭和12)、ともに第1回文化勲章を受章した大家で、活躍の場が東京と京都であったことなどから東西の両雄と評された。両雄対決として見比べるように展示室を巡れば、作品への理解が深まり楽しさも増す。また、水墨美術館は、有料の展示室を除き、茶室、映像ホール、図書室など、無料で利用できるスペースが多いのも特徴である。特に春は、立山連峰を借景として「富山さくらの名所70選」に選ばれた中庭の桜が、神通川堤防の桜並木とともに咲き誇る、圧巻の眺めを気軽に見られる。

茶室へ続く100mの主廊下は全面ガラス張り。芝生が敷き詰められた中庭には枝垂れ桜がある} 茶室へ続く100mの主廊下は全面ガラス張り。芝生が敷き詰められた中庭には枝垂れ桜がある

エントランス横の映像ホールでは、水墨画の歴史や魅力を紹介するオリジナル映像を上映する} エントランス横の映像ホールでは、水墨画の歴史や魅力を紹介するオリジナル映像を上映する

現代水墨画の富山出身作家の作品も常設展示

美術館の作品収蔵は、開館前の1993年(平成5)に下保昭(かほあきら)の作品100点を寄贈されたのが出発点である。富山県砺波市生まれの下保は、自然界のエネルギーと東洋的な無常観を表現する水墨画家だ。2018年(平成30)に没するまで、京都で日展などで活躍し、昭和50年代後半から墨の魅力にひかれて水墨山水画を数多く描いている。のちに「日本の山水シリーズ」も収蔵品に加わり、下保昭作品室で随時15点ほどが公開されている。

床の間を設け、障子からのほのかな光で作品を鑑賞できる「下保昭作品室」} 床の間を設け、障子からのほのかな光で作品を鑑賞できる「下保昭作品室」

スポット詳細

住所
富山県富山市五福777 map map 地図
エリア
富山エリア
電話番号
0764313719
時間
9:30-18:00(入室は17:30まで)
休業日
月(祝の場合は開館)、祝の翌日、年末年始、臨時休館日
料金
[常設展観覧料]一般200円
[企画展観覧料]企画展ごとに設定
駐車場
あり(乗用車165台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、AMEX、銀聯、DISCOVER、その他)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、QUICPay、iD、nanaco、WAON、楽天Edy、au WALLET、PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、auPAY、ALIPAY)
Wi-Fi
あり(TOYAMA FREE Wi-Fi)
コンセント口
なし
喫煙
不可(指定場所のみ可)
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 水墨画美術館は、ここだけ
    4.0 投稿日 : 2023.05.28
    ホテルのフロントで教えてもらいました。富山を訪ねるのが3回目で、有名なポイントはほとんど回ってしまったことを伝えるとこの美術館を。庭園が素晴らしく、ゆっくり眺めて楽しんできました。企画展をやっていたので、こちらものんびり。
  • 平屋建ての和風美術館
    5.0 投稿日 : 2023.04.30
    近代の水墨画を集めた珍しい美術館です。水墨画をテーマにしている為でしょう、美術館は和風の平屋建てになっており、美術館の入口前には池泉回遊式の日本庭園が設置され、美術館に隣接する大きな庭園には秋田から贈られた見事な紅枝垂れ桜が植えられています。南側には数寄屋造りの茶室も建てられており、休日にはお茶と茶菓子を楽しめるようになっています。神通川の西岸にあるので中心部からは少々遠いです。ですので、車か公...
  • 庭園「五福山水苑」内にある美術館
    3.0 投稿日 : 2021.05.20
    神通川近くに設けられた庭園「五福山水苑」内にある。富山駅からのアクセスは少し不便。路線バスのバス停や市内電車の電停からは徒歩10分ほどあり、観光客向けの「ぐるっとバス」は美術館に寄るが運転本数は少ない。富山駅に着いたのが夕方だったので行きはタクシーを利用し(1,120円)、帰りは徒歩で駅まで戻った(約30分)。観覧料は200円。展示室内は撮影不可。訪館時の企画展は「小村雪岱スタイル」。寡聞にして...

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アクセス

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最寄り

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