横手市ふれあいセンターかまくら館

かまくら館で展示されているかまくら。想像以上の大きさで高さは3mほど

職人が造った大迫力のかまくらを保存展示

日本有数の豪雪地帯としても知られる秋田県横手市。ここは小正月の行事として伝わる「かまくら」の里として知られ、毎年2月15・16日のかまくらには、国内外から多くの観光客が訪れる。横手市ふれあいセンターかまくら館があるのは、秋田道横手ICから車で10分ほどの横手市役所本庁舎のすぐ隣。地元のかまくら職人たちが本物の雪で作ったかまくらを保存展示している「ファンタジックギャラリー」のほか、厳選された横手のおいしい特産品を買い物できる売店スペース、音楽や芸能などのイベントも開催される本格的なコンサートホールなどが入った、観光文化複合施設となっている。赤レンガが目印のモダン建築の中は、ガラス張りの吹き抜けになっていて解放感抜群。1階のサンルームには、もう1つの雪まつりで使われる本物の「ぼんでん」が展示されている。豪華な飾り付け部分も含めると高さ5mにも及ぶ大きさで、下から見上げると壮観だ。

横手市役所の無料駐車場が目の前。赤レンガ造りが印象的な外観

1階ロビーに展示されているのが、横手かまくらと並ぶ冬の伝統行事「ぼんでん」

約450年余りの歴史があるかまくら行事

かまくらの歴史は、かつて横手が城下町だった藩政時代までさかのぼる。旧暦の1月14日になると武家が住む内町では四角の雪の壁を造り、中に門松やしめ縄などを入れて御神酒や餅を供えて燃やすことで、子どもたちの成長を祈る火祭りがあった。一方、商人が暮らす町では、旧暦1月15日の夜に町内の井戸のそばに雪穴を造り、水神様を祀ってよい水に恵まれるように祈った。これらが横手のかまくらの起源といわれており、大正の終わり頃までは各町内でしめやかに行われていたそうだ。今では毎年2月15、16日に横手の雪まつり「かまくら」が開催され、会場には約80ものかまくらとロウソクが灯る無数のミニかまくらが、雪国の夜を幻想的に彩っている。お祭りの最中はかまくらの中に雪国ならではの防寒着「どんぶく」を羽織った子どもたちが入って、七輪を囲みながら甘酒を振る舞う。「入ってたんせ〜」という声に引かれ、かまくらの中に入ってみると意外に温かい。

ギャラリー内にはかまくらの作り方や歴史について展示されている

実際のかまくらやぼんでんの風景が大型スクリーンで鑑賞できる

「どんぶく」を着てマイナス10℃の世界へ

入場料を払ってかまくら館内へ入ると、まずはかまくらの歴史や造り方などを解説しているギャラリーが広がっている。ギャラリーにある大型モニターで、かまくら祭りをはじめとした横手の風物詩の映像を鑑賞してから、マイナス10℃のかまくら室へ。ちなみに実際にかまくらが開催される時期は、夜の最低気温がマイナス5〜10℃になることがあるという。入り口付近で無料レンタルしている、雪国の防寒具「どんぶく」を羽織ってから中に入っていくと、一気に肌がピリッとするほどの寒さに。その先には高さ3mほどの想像以上に大きなかまくらが現れる。中をのぞくと小正月と同じように水神様が祀られており、焼き餅が載った七輪まで本物そっくりに再現されている。実際に七輪に火は入っていないが、かまくらの内部に入ってみると、外気を感じないだけでほのかな温かさを感じる。防寒具なしではすぐに体が冷え切ってくるので、無理せずにリアルなかまくらを体感しよう。

寒さをしのぐために半纏(はんてん)に綿を詰めた雪国の防寒具「どんぶく」を無料レンタル

かまくらの中に祀られているのは水神様。家内安全・商売繁盛・五穀豊穣などを祈願する

2月15、16日のおまつりでは、かまくらで子どもたちが観光客をもてなしてくれる