由良比女神社

神社

隠岐を代表する絶景地「国賀海岸」がある西ノ島の「イカ神社」

大自然の造形美が見事な「国賀海岸」がある隠岐島前(どうぜん)の西ノ島には、「いか神様」と呼ばれる由良比女神社がある。西ノ島島民の守り神は、延喜式にも名を残し、「隠岐国一宮」ともされる格式高い神社だ。

唐破風の向拝付き入母屋造のどっしりした拝殿が「名社」を物語る} 唐破風の向拝付き入母屋造のどっしりした拝殿が「名社」を物語る

延喜式にも載る古社で「隠岐国一宮」

隠岐は2013年(平成25)に「ユネスコ世界ジオパーク」となり、壮大な自然美が注目されている。そして大自然が演出する隠岐を代表する絶景スポット「国賀海岸」があるのが、隠岐島前の西ノ島。隠岐は「遠流(おんる)の地」としても知られ、西ノ島には、この島に配流された後醍醐天皇の御在所「黒木御所(くろきのごしょ)跡」が残る。隠岐にあるのは、大自然ばかりではない。隠岐は飛鳥時代の古から律令制度に組み込まれ、「隠岐国(おきのくに)」として一国をなした土地であり、独自に培われてきた文化がある。都から遠く離れた「絶海の孤島」である隠岐に、立派な社殿をもつ格式高い神社がいくつもあることには驚かされるが、西ノ島にある由良比女神社もそのひとつだ。この神社は、島後(どうご)の水若酢(みずわかす)神社と並ぶ「隠岐国一宮」。創建は不詳だが、仁明天皇の842年(承和9)に官社となったと『続日本後紀』に記され、『延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)』にも載っている、格式高く由緒もある古社である。

拝殿の奥に続く1889年(明治22)築の本殿は、隠岐の有名神社では珍しく「隠岐造」ではなく、出雲で「明神造」と呼ばれる春日造変態。見事な造作の建物だ} 拝殿の奥に続く1889年(明治22)築の本殿は、隠岐の有名神社では珍しく「隠岐造」ではなく、出雲で「明神造」と呼ばれる春日造変態。見事な造作の建物だ

本殿の横には3つの境内社が並ぶ。左端は伊勢之宮・豊受宮・出雲大社の3社合殿、中央は恵比寿社、右端が龍蛇社(りゅうじゃのやしろ)} 本殿の横には3つの境内社が並ぶ。左端は伊勢之宮・豊受宮・出雲大社の3社合殿、中央は恵比寿社、右端が龍蛇社(りゅうじゃのやしろ)

島民の暮らしに溶け込んだ「イカ神社」

由良比女命(ゆらひめのみこと)を祀る由良比女神社は、漁業の神、海上の守護神として島民の信仰を集めている。由良比女命は、海の神である「和多須神(わだすのかみ)」といわれ、スサノオの試練からオオクニヌシを助け、その妻となったスセリビメと同一神ともされる。漁業が盛んな西ノ島の名物といえば「イカ」だが、この由良比女神社は、伝説の「イカ寄せの浜」の目の前にある。もともとこの神社は知夫里島(ちぶりじま)の鳥賊浜(いかはま)にあったが、西ノ島の由良へ移されてから、イカが由良へ集まるようになったという。また、由良比女命が芋桶に乗って海を渡っているとき、海に浸した手をイカが嚙み、その詫びに、イカの群れが由良の浜に押し寄せるようになったと伝えられる。由良比女神社の拝殿にはイカの彫刻があり、石灯籠にもイカが彫ってある。そしてこの神社は「いか神様」とも「するめ大明神」とも呼ばれていたという。この島の人々の暮らしに、イカがいかに暮らしに溶け込み、大切であったのかがしのばれ、興味深い。

拝殿の欄間にはイカが波に泳ぐ姿が彫刻されている} 拝殿の欄間にはイカが波に泳ぐ姿が彫刻されている

二の鳥居の前にある石灯籠の台座にも、イカが彫られている} 二の鳥居の前にある石灯籠の台座にも、イカが彫られている

今でもイカが訪れる由良の浜

イカが集まる伝説の浜に鳥居が立つ。そして、その浜に毎年、秋から冬にかけてシロイカやドータリイカ(ソデイカ)の大群が押し寄せ、人々は浜辺で、手づかみでイカを獲った。今では数が少なくなったが、毎年必ず巨大なドータリイカがやってくるという。2年に一度、夏に行われる「由良比女神社例大祭」では、2隻の大型漁船を連結させた神船に神輿を乗せ、船中で島前神楽が演じられる。また、隠岐の祭りで最も盛大といわれる神輿担ぎを見ることができる。この由良比女神社は西ノ島観光の中心・浦郷(うらごう)にも近く、国賀海岸への途中にある。国賀海岸で壮大な自然美を満喫し、由良比女神社で離島の文化に触れ、島民の暮らしに思いを馳せれば、隠岐への旅はいっそう味わい深くなるだろう。

境内にはイカの吊るし人形や巨大なオブジェもある。まさに「イカ尽くし」だ} 境内にはイカの吊るし人形や巨大なオブジェもある。まさに「イカ尽くし」だ

「イカ寄せの浜」にイカの大群が押し寄せ、島民はこの人形のように浜の浅瀬でイカを獲った。今では数は減ったというが、イカ獲りは続いている} 「イカ寄せの浜」にイカの大群が押し寄せ、島民はこの人形のように浜の浅瀬でイカを獲った。今では数は減ったというが、イカ獲りは続いている

浜には寄せてくるイカを見張る「番小屋」もある} 浜には寄せてくるイカを見張る「番小屋」もある

スポット詳細

住所
島根県隠岐郡西ノ島町浦郷922 map map 地図
エリア
隠岐エリア
電話番号
0851478888
時間
[西ノ島町観光協会]8:30-17:30
休業日
[西ノ島町観光協会]年中無休
料金
無料
駐車場
あり(4台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
乳幼児の入店
備考
※電話番号は西ノ島町観光協会へ繋がります。
[西ノ島町観光協会]08514-7-8888

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • おしゃれな本殿
    5.0 投稿日 : 2022.08.17
    駐車場あり。創建842年の名神大社。ご祭神は由良比女命。ご由緒には出雲に出掛けた帰りにイカに引っ張られ、そのお詫びに大量のイカが浜に押し寄せるようになったとか。要するに当時の女酋長をお祭りしている。が、元は知夫里島から遷座されたそう。またなぜイカが反省したのかは謎。物語が欠けている。社にはイカの彫刻もあった。本殿千木は縦削ぎ。たまたまだが、本殿の屋根に紅葉した小さな木が生えてお...
  • 拝殿の奥に本殿もある由緒あるつくり
    4.0 投稿日 : 2022.07.20
    隠岐といえばイカが思いつくくらいなので、一応立ち寄って見ました。駐車場は小さ目で鳥居横にあります。鳥居は普通なので、こじんまりとした神社かなと思って参道を進みましたが、拝殿はなかなか立派で、しめ縄も太い。奥には本殿も別にあり、由緒ある神社であることが佇まいからもわかりました。拝殿の横の壁には、イカ拾いの写真が展示されていました。由緒の解説板を見ると、842年官社に頂きとあります。その昔海上守...
  • イカ寄せ伝説の残る神社
    3.0 投稿日 : 2021.07.01
    秋から冬にイカの大群が押し寄せるという歴史があるそうです。近年はそのようなことも減ってきているようですが、境内の灯篭にイカの彫刻が彫っていたりして、イカとの関りが深いことを残されていて興味深い神社です。

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アクセス

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