島根

隠岐

OKI

日本海に浮かぶ絶海の孤島は壮大な大自然も独自の文化も魅力

島根県の沖合、日本海に浮かぶ隠岐は、古くから島流しの地として有名な絶海の孤島。総称して「隠岐の島」とも呼ばれるが、1つの島ではなく、島前(西ノ島・中ノ島・知夫利島)と島後からなる「隠岐諸島」だ。その隠岐はエリア全体が「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」に登録され、西ノ島の「国賀海岸」や知夫利島の「赤壁」、島後の「ローソク島」など、隠岐でしか見られない壮大な大自然の絶景が待っている。いっぽう隠岐は、古から「隠岐国」として一国をなした土地で、都から遠く離れた孤島であるにもかかわらず、「水若酢神社」や「玉若酢命神社」など、平安時代の延喜式にも見られる由緒ある神社が多い「神社アイランド」でもある。また歴史ファンには、隠岐に流され、隠岐で生涯を閉じた後鳥羽上皇を祀る「隠岐神社」や上皇ゆかりの遺跡なども見逃せない。隠岐ならではの海の幸や隠岐そば、隠岐の自然がはぐくんだ隠岐牛などの味覚も楽しみだ。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    国賀海岸
    「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」を代表する壮大な絶景地
    隠岐・島前(どうぜん)の西ノ島にある国賀海岸は、大自然の広がる隠岐でも随一の絶景スポット。「摩天崖」「天上界」など、「この世のもの」とは思えないような名が付いた景勝地は、その名を裏切らない見事さだ。
    断崖絶壁の上に草原が広がり、壮大な景色が展開する
  • spot 02
    由良比女神社
    隠岐を代表する絶景地「国賀海岸」がある西ノ島の「イカ神社」
    大自然の造形美が見事な「国賀海岸」がある隠岐島前(どうぜん)の西ノ島には、「いか神様」と呼ばれる由良比女神社がある。西ノ島島民の守り神は、延喜式にも名を残し、「隠岐国一宮」ともされる格式高い神社だ。
    唐破風の向拝付き入母屋造のどっしりした拝殿が「名社」を物語る
  • spot 03
    水若酢神社
    「神社アイランド」の筆頭格「隠岐国一宮」は歴史と文化の宝庫
    隠岐島後の隠岐の島町にある水若酢神社は、延喜式の名神大社で「隠岐国神名帳」にも隠岐一宮と記される由緒ある神社。境内には隠岐の古代史や近代史を物語る史跡も残り、神社一帯が一大歴史文化ゾーンとなっている。
    大きな鳥居の奥に広がる境内はうっそうとした森に包まれ、いかにも神域といった雰囲気が漂っている
  • spot 04
    玉若酢命神社
    隠岐で古の昔から中心的な役割を担ってきた「隠岐国の総社」
    隠岐島後の玄関口・西郷港から車で5分の場所に、「隠岐国の総社」玉若酢命神社がある。「隠岐造」の本殿をはじめ、国の重要文化財となっている建造物は重厚で見ごたえがあり、隠岐の悠久の歴史を感じさせてくれる。
    隠岐・島後を訪れたら、真っ先にこの神社に参拝したい
  • spot 05
    ローソク島
    隠岐の大自然が演出する「奇跡の光景」がここにある
    「ユネスコ世界ジオパーク」隠岐の大自然絶景スポットといえば、スケールが大きい点では島前西ノ島の「国賀(くにが)海岸」や知夫里(ちぶり)島の「赤壁(せきへき)」が1、2を競うが、「美しい絶景」といえば島後の「ローソク島」がナンバー1だろう。島後の北海岸沖に浮かぶローソク島は、「島」というより火成岩でできた小さな岩礁。高さが約20m、長細く、先がとんがった奇妙な形で、海面近くでは岩盤が台座のようになっている。このローソク島は海岸からも眺められるが、それでは「単なる変わった形の岩」としか感じられないかもしれない。この岩礁が「ローソク島」と呼ばれる由縁は、海岸から昼間見ただけではわからない。とんがった岩の頂上に夕日が落ちるとき、「ローソクに明かりが灯った」ように見えることからそう呼ばれるのだが、波が穏やかな晴天の日に、船上からしか観られない。「ローソクが点灯する」瞬間は想像を絶する美しさで、神々しく感動的だ。この隠岐の大自然が生み出した「奇跡の光景」を見られるローソク島の遊覧船は、春~秋シーズンの夕方に出航。夕日の時間にあわせて出航時間が異なるので、事前の確認と予約が必要だ。
    ローソク島の先端に夕日がかかり、「ローソクが点灯した」瞬間の光景は、この世のものとは思えない美しさだ
  • spot 06
    壇鏡の滝
    世界ジオパーク・隠岐の大自然が演出する「山の絶景スポット」
    「ユネスコ世界ジオパーク」隠岐で絶景といえば、国賀(くにが)海岸や赤壁(せきへき)、ローソク島などを思い浮かべるが、隠岐の大自然が演出する絶景は「海景色」だけではない。隠岐で最大の島・島後の山中には、見逃せない「山の絶景」がある。それが「壇鏡の滝(だんぎょうのたき)」で、島後の西海岸に注ぐ那久(なぐ)川上流の深い谷間の奥に、高さ50mの雄滝と40mの雌滝という2条の大滝が、そそり立つ大岩壁にかかっている。雄滝の裏は岩盤がえぐられ、そこに虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)が祀られている。2つの滝の間には、壇鏡神社がひっそりたたずむ。滝の一帯はスピリチュアルな空気に包まれている。滝に通ずる参道にも巨大な杉が立ち並び、まるで精霊が宿っているような雰囲気を漂わせる。この滝は「日本の滝100選」にも「日本名水百選」にも選ばれ、清らかな渓流には希少なオキサンショウウオが生息するという。滝までは、フェリーターミナルがある西郷港から約18km、車で約50分。隠岐に来たなら、ひと足延ばして訪れてみたいスポットだ。
    断崖の上から雄滝が直接流下するさまは迫力がある
  • spot 07
    屋那の松原・舟小屋群(都万の舟小屋)
    「白砂青松100選」の浜と昔ながらの舟小屋群
    隠岐の海辺といえば、国賀(くにが)海岸に代表されるような、断崖絶壁が続き、岩礁が広がる荒々しい海岸が目に浮かぶが、隠岐にも「日本の白砂青松100選」に選ばれた美しい砂浜がある。それが島後の南海岸・都万(つま)にある「屋那の松原(やなのまつばら)」で、「八百比丘尼(やおびくに)」が一晩で松を植えたといういい伝えが残る浜だ。その松原に隣接する浜辺には、珍しい舟小屋が20棟ほどずらりと並んでいる。舟小屋は木造の船を納めておく「船庫」のことで、京都府丹後の「伊根(いね)の舟屋」が有名だが、かつては潮の干満差が少ない日本海沿岸の各地で、似たような舟小屋が見られたという。伊根の舟屋では1階が船置き場、2階が住居の2階建になっているが、こちらは船置き場だけの平屋で、その裏手には船溜まりと集落がある。昔ながらの舟小屋が浜辺に並ぶ静かな漁村の風景に、古きよき時代の日本がほうふつされ、心も癒やされる。
    浜の石が載せられた杉皮葺き屋根の舟小屋が海辺に並ぶさまは壮観。こんな景色を現代日本で見られることに感動する
  • spot 08
    隠岐自然館
    「ユネスコ世界ジオパーク」隠岐の大自然がよくわかる
    「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」の中核施設として、島後・隠岐の島町の西郷港フェリーターミナル横に2021年(令和3)4月オープンした「隠岐ジオゲートウェイ」。「ジオ」は「地球」「大地」を意味し、「ジオパーク」とは地学的に重要な景観をもつ壮大な自然公園だ。そして隠岐ジオゲートウェイのオープンにあわせて、「隠岐ポートプラザ」にあった隠岐自然館がそこに移転し、展示内容も一新。ジオパークである隠岐諸島の成り立ちや、そこに育まれた自然、自然と歴史文化との関わり、そして地球全体とのつながりを、ダイナミックな展示でわかりやすく解説している。大きな隠岐の立体模型に標高図や地質図、土地利用図、神社地図など10数種類のテーマを投影するプロジェクションマッピングや、地球の歴史から隠岐誕生までの壮大なシーンを見られる1面55インチの4面マルチモニターは必見だ。またパネル展示では、太古に大陸の一部だった隠岐の特異な地質、多彩な植生や生物環境、その自然があってこその隠岐に暮らす人々の営みを解説。オキサンショウウオなど隠岐ならではの生き物の標本も多数展示される。隠岐旅の第一歩は、まずここに立ち寄りたい。
    隠岐諸島の大きな立体模型には、自然から人文まで多彩なテーマでプロジェクションマッピングが投影され、4面マルチモニターでは隠岐諸島が誕生するまでの壮大な自然史が語られる
  • spot 09
    乳房杉
    神秘的なたたずまいで、「神が宿る」といわれる杉の巨木
    島で杉といえば屋久島の「屋久杉」が有名だが、隠岐にも見ごたえのある巨杉がいくつもある。なかでもひと目見てみたいのが、島後の最高峰・大満寺山(標高608m)の東麓にある「乳房杉」だ。標高400m付近の緩斜面にうっそうとした森が広がり、そこに樹齢約800年の古杉がたたずんでいる。樹高約40m、幹周約11mという巨木だが、ただ巨木というだけではない。地上4~8mのところで分岐し、乳房を思わせる大小24本の根が垂れ下がっている。その壮観かつ不思議な姿は、まるで神が宿っているようだ。この乳房杉は山の上から崩れ落ちた岩の上に立ち、杉が立つ場所に水分を含んだ土が少ないため、この下垂根で空気中の水分を吸収して生きているという。まさしく「大自然の神秘的な営み」がここにあり、パワースポットといわれるのもうなずける。 周辺は岩石が積み重なり、朝には岩の隙間から冷たい風が吹き出し、霧が発生する。夏でもひんやりした冷気に満たされ、とりわけ雨上がりには幻想的な雰囲気に包まれる。この乳房杉は県の天然記念物に指定され、地元では神木として毎年4月23日には祭りが行われる。
    島後の最高峰・大満寺山の森のなかに神々しい姿で立つ
  • spot 10
    お食事処 味乃蔵
    海の幸の宝庫・隠岐で食する「隠岐そば」は、ひと味違う島の味
    西郷港のフェリーターミナルから徒歩3分と、観光客が利用するにも便利な立地。港に通じる八尾(やび)川の河口に面して、隠岐の島後(どうご)で定番の食事処「味乃蔵」が立つ。この味の蔵は魚屋が経営し、祝い事から仕出しまで、島内での催事料理を一手に引き受ける大御所的存在の店だ。丼や定食メニューが各種充実し、御膳ものもそろう。もちろん魚介中心のメニューが豊富で、隠岐の味覚を堪能できる「味の蔵膳」(3300円)なども評判だが、ここで食べてみたい一品が郷土料理の名物「隠岐そば」(770円)。一般的なそばとは少々異なり、隠岐そばはつなぎを使わず、100%そば粉で作り上げる。プツプツと切れていく食感で、焼いたさばでとった出汁は風味が強い。椀を持って茶漬けのように食べるそばは、隠岐ならではの島の味わいだ。夜に訪れるなら、おすすめの酒は、魚料理にぴったりの隠岐自慢の地酒「隠岐誉」。新鮮な刺身とサザエなどの珍味を酒の肴に一献傾け、しめに隠岐そばをすすれば、隠岐旅の楽しい思い出として心に残るに違いない。
    店の裏の船溜まりには多数の漁船が係留され、いかにも「海の幸の宝庫」といった雰囲気が漂う
  • spot 11
    Restaurant(レストラン) なぎ
    隠岐で海の幸を食べ飽きたら、この店でランチタイムがおすすめ
    隠岐の旅は泊まりがけで、しかも2泊3泊と連泊して島々を巡ることも多い。そして、隠岐の宿での食事は海の幸が中心で、昼食にランチを食べるにも魚介料理になりがち。そこで注目したいのが、2021年(令和3)12月、隠岐の島町都万(つま)地区の津戸漁港の近くにオープンした町有施設の「レストランなぎ 」。ここでは「魚料理以外を食べたい」という人のニーズに応えるメニューを提供し、オムライスや各種定食、丼ものなどがそろう。地元の食材にこだわったフライや肉料理が充実しているが、なかでも人気なのが「凪ランチ」と、とろけるような「ローストビーフ丼」。凪ランチのフライは、サクサクの食感がたまらないと評判だ。ロッジ風のウッディな店内は居心地もよく、ゆったり過ごせる。屋那(やな)の松原・舟小屋群まで車で約5分、フェリーターミナルがある西郷港から車で約20分と便利な立地で、もちろん旅行者のランチスポットにも好適だ。
    1日10食限定の「凪ランチ」が人気。エビフライに牛カツ、魚貝のフライに唐揚げ、ハンバーグなどがプレートにてんこ盛りでボリューム満点だ
  • spot 12
    隠岐神社
    隠岐に配流され、そして隠岐で崩御した後鳥羽天皇を祀る
    隠岐島前の中ノ島にある隠岐神社は、鎌倉時代に承久の乱で隠岐に流され、隠岐で生涯を終えた後鳥羽天皇を祀る。創建が昭和の新しい神社だが、後鳥羽天皇隠岐山陵が隣接する境内は、森閑として神聖な雰囲気が漂う。
    5万6000平方メートルという広大な境内は、後鳥羽天皇の行在所(あんざいしょ)だった源福寺の跡地。境内には、天皇の「行在所(あんざいしょ)跡」と「御火葬塚」がある
  • spot 13
    明屋海岸
    「女神のお産伝説」が残り、珍しいハート形の洞穴が見られる
    隠岐の海景色といえば、島前(どうぜん)西ノ島の「国賀海岸」や知夫里(ちぶり)島の「赤壁」、島後(どうご)の「ローソク島」などが有名だが、島前の中ノ島にも見逃せない海の景勝地がある。それが島の北東部に位置し、海食崖や海食洞が約1kmにわたって続く明屋海岸だ。そこで注目されるのが屏風岩で、若者のあいだでは「ハート岩」とも呼ばれている。そそり立つ岩にハート形にくりぬかれた洞穴がぽっかり開き、特にカップルに人気がある。伝承では、西ノ島の比奈麻治比賣命(ひなまじひめみこと)が中ノ島の宇受賀命(うづかみこと)の子「柳井姫(奈伎良比賣 なぎらひめ の別称)」を産んだ場所とされ、「産屋が明けた」ことから明屋と呼ばれるようになったという。また、比奈麻治比賣命がお産の際に使用した屏風とたらいが、それぞれ「屏風岩」「タライ岩」になったといわれている。この伝承の神々は「記紀」に登場しない「島の神」だが、これらの神々を祀る3社は創建年代が不詳で、すべて平安時代の「延喜式」式内社に列せられる由緒ある古社だ。遠い「神代」に思いを馳せて「ハート形の岩」を眺めれば、また違った景色が心に映し出されることだろう。
    赤い岩肌の屏風岩の波打ち際に、ぽっかりハート形にくりぬかれたような穴が開く
  • spot 14
    キンニャモニャセンター
    海士町のキャッチコピー「ないものはない」を体現する
    海士(あま)町がある島前中ノ島は、配流された後鳥羽天皇が晩年を過ごした島で、天皇ゆかりの史跡や墓所、天皇を祀る隠岐神社がある。隠岐4島で2番目に小さく、人口も2番目に少ない島だが、島内には平安時代の「延喜式神名帳」に載る由緒ある古社も2社あり、自然だけでなく文化的な見どころも多い。その中ノ島の玄関口・菱浦港にある海士町の拠点施設が「キンニャモニャセンター」。「キンニャモニャ」は海士町発祥の民謡の名前だ。フェリーや内航船、島内バス・タクシーなどのターミナルとしての役割をもち、島巡りに便利なレンタサイクルもある。ここに海士町の観光案内所や漁協の直売所、農産物直売所、特産品販売所などが集結し、とれたての新鮮魚介や地元産の野菜・米、島ならではの特産品などの土産がそろう。海土の郷土料理を味わえる食事処もある。町のキャッチコピー「ないものはない」を体現するような施設だが、このコピーはまた、「これだけあれば生きていくのに十分」「あるもので暮らせばよい」ということを教えてくれる。
    中ノ島の玄関口・菱浦港にあり、交通・観光拠点の役割を果たす。本土と結ぶフェリーや高速船、島々をつなぐ内航船だけでなく、「海中展望船あまんぼう」も菱浦港から発着し、切符はここで買える
  • spot 15
    海中展望船あまんぼう
    美しい海の景色を海上と海中の両方楽しめる「半潜水型」展望船
    「あまんぼう」は、隠岐島前(どうぜん)・中ノ島の海を、海上と海中の両方から楽しめる半潜水型展望船。フェリーや高速船、島々を結ぶ内航船のターミナルとなっている菱浦(ひしうら)港から発着し、名所「三郎岩」などの見どころを約50分でぐるっと巡る。港を出航し、三郎岩までは船上から海上の景色を楽しめる。三郎岩付近であまんぼうは停まり、船床が開いて海中展望室へ。いよいよ「海中散歩」の始まりだ。あまんぼうが巡る海域は、日本海側で有数のダイビングスポットとなっているほど水が澄み、海藻や魚介が豊富。海中展望室からは鯛やブリ、スズメダイなど、さまざまな魚たちが群れ泳ぐ姿や、サザエの棲む磯に海藻がゆらゆら揺れる景色が目前に広がり、船中にいながらにして、竜宮城に向かう浦島太郎のような気分で海中散歩を楽しめる。また船内ではガイドが、見どころや海中の生き物について、わかりやすく説明してくれる。春~秋には、夜光虫が光る神秘的な海を見ながらロマンティックな気分にひたれるナイトクルーズも実施している(1週間前までに要予約)。
    船内の海中展望室から、美しい海中の景色が満喫できる
  • spot 16
    天佐志比古命神社
    人口600人、車より牛が優先の、知夫里島の「いっくうさん」
    隠岐島前の知夫里島は、断崖絶壁の「赤壁」と、牛が闊歩する「赤ハゲ山」で知られる人口600人の島。この島にも「一宮」とされる由緒ある神社があり、島民の崇敬を集める。2年に一度の例大祭では、芝居が奉納される。
    拝殿の立派なしめ縄が、神社の社格を物語る
  • spot 17
    知夫の赤壁
    国賀海岸の「摩天崖」と隠岐で一、二を競う壮絶な断崖
    「ユネスコ世界ジオパーク」隠岐でスケールが大きい絶景地といえば、島前(どうぜん)・西ノ島の「国賀海岸」が有名だが、同じく島前・知夫里(ちぶり)島の西海岸には、国賀海岸の「摩天崖(まてんがい)」に勝るとも劣らない大絶壁がある。それが、最大高200mに達する赤茶色をした断崖が約1kmにわたって続く「赤壁」で、「壮絶さ」という点では、こちらが「隠岐ナンバー1の絶景」かもしれない。この壮絶な断崖は、約600万年前に噴火した火山の溶岩が降り積もった火砕丘が浸食されてできたものだ。崖の赤い色は溶岩中の鉄分が酸化したもので、火山活動が繰り返されたため、地層の断面である崖に縞模様ができたという。実は隠岐の島前全体が「ひとつの大きな火山」で、西ノ島の焼火山(たくひさん)が中央火口丘。各島の外周の山々が「外輪山」、島々に囲まれた内海は火山活動によって陥没したもので、それらの全体を「島前カルデラ」と呼ぶ。壮大でドラマチックな地球の営みを物語り、地学的にも重要な赤壁は、国の天然記念物となっている。特に夕暮れどきには赤壁が真紅に輝き、この世のものとは思えない絶景が展開される。
    縞模様が入った赤茶色の絶壁は「壮絶」のひと言に尽きる
  • spot 18
    赤ハゲ山
    隠岐4島でいちばん小さな島にある360度大パノラマの展望地
    島前(どうぜん)の知夫里(ちぶり)島は隠岐4島でいちばん小さい島だが、この島には隠岐全体でもいちばん高所にある「絶景展望台」がある。それが知夫里島の最高峰、標高325mの赤ハゲ山山頂にある展望台で、そこから文字どおり360度の大パノラマが楽しめる。世界的にも珍しい「海に浮かぶカルデラ」である島前の島々を眼下に望み、隠岐島後(どうご)をはじめ、本土側の島根半島や鳥取県の大山まで一望のもとだ。ここは隠岐の島で唯一の、島前・島後の全体を見渡せる展望台でもある。そこには無料の望遠鏡が設置されているので、遠くの景色も眺めてみたい。この赤ハゲ山は、すばらしい眺望が得られるだけでなく、一帯がさえぎるもののない広々とした牧草地となっており、開放感があふれている。そこでは多くの牛が放牧されていて、牧歌的な光景が広がる。赤ハゲ山へは車で上ることができるが、道中は牛の放牧地を通るため、悠然と歩く牛が行く手をさえぎり、牛が道路の真ん中で座り込むこともある。スムーズに行けば、フェリー乗り場がある来居(くりい)港から車で約30分だが、所要時間は「牛次第」だ。そんな「島の空気感」を味わうためにも、ぜひ「赤壁」とあわせて訪れたい。
    小さな島のなかとは思えない広大な牧草地が広がり、てっぺんに大パノラマを楽しめる展望台がある
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旅のヒント

  1. その1

    本州から隠岐の島前・島後へは、境港・七類港(松江市)からフェリー・高速船が運航しているが、本数が少なくダイヤも変則的なので、利用時には事前に確認しよう。

  2. その2

    島前の3つの島の行き来は、各島間を結ぶ内航船やフェリーが利用できるので、比較的便利。島前・島後間は便が限られるので、行き来するには注意が必要だ。

  3. その3

    隠岐でレンタカーを利用するには台数が限られるので、事前に確認必須。

  4. その4

    島後にある隠岐(世界ジオパーク)空港へは、出雲(縁結び)空港・大阪(伊丹)空港から直航便があり、飛行機でもアプローチできる。

  5. その5

    隠岐でスポットを巡るには、レンタサイクルも便利。各島にレンタサイクルがあり、電動アシストやクロスバイクなど各種そろえられている。

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