菅谷たたら山内
『もののけ姫』の世界をほうふつとさせるたたら製鉄施設「高殿」
大正時代まで続いた「たたら製鉄の殿堂」
スサノオがヤマタノオロチを退治した神話の舞台で知られる斐伊川の上流域は、古くから日本古来の製鉄法「たたら製鉄」が行われてきた地。「たたら製鉄」は宮崎駿(はやお)監督のアニメ映画『もののけ姫』で一躍有名になったが、この「菅谷たたら山内」は、その『もののけ姫』に登場する「たたら場」のモデルになった場所という。そして、古来の伝統的なたたら製鉄を行っていた建物・内部構造が現存する、日本で唯一の場所でもある。その菅谷高殿は国の重要有形民俗文化財に指定され、また「たたら製鉄のふるさと」雲南市・奥出雲町・安来市は、2016年(平成28)に「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」として日本遺産に認定された。菅谷の高殿は、江戸時代中期の1751年(宝暦元)から170年間にわたって操業が続けられ、1921年(大正10)に役目を終えた。現在はここで製鉄が行われるわけではないが、たたらの神が宿っているかのような、荘厳な趣のある高殿は一見の価値がある。
「たたら師」たちが暮らした「山内」
古来、人々は山川海から採れる砂鉄を使い、工夫と改良を重ね、日本刀の材料となる「玉鋼(たまはがね)」は「たたら」でしかできないといわれるほどの高い製鉄技術を生み出した。「たたら」という言葉は、『古事記』で「富登多々良伊須々岐比売命(ほとたたらいすすきひめのみこと)」、『日本書紀』では「姫蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)」として、初めて歴史上に登場するという。元は「ふいご」を意味する言葉だったらしいが、近世以降は製鉄場を指して用いられるようになり、今では製鉄技術全体を含む広い意味で使われている。「山内」とは、たたら製鉄の技術者や作業者が日々働き、暮らしていた地区をいう。そこには、たたら製鉄が行われた高殿のほか、たたら製鉄で生み出された大きな鉄塊を割る「大銅場(おおどうば)」、山内での仕事も生活もまとめて面倒を見る事務所的な役割を担っていた「元小屋」などが残り、往時のありさまがしのばれる。
たたら製鉄ゆかりの見どころを巡る
菅谷高殿は、松江藩の鉄師頭取を務めた田部(たなべ)家が手がけた数あるたたら高殿のうち、名実ともに中心的な役割を果たしていた。高殿の横に立つ桂の巨木は、たたらの神の「金屋子神(かなやごしん)」が宿る神木とされている。菅谷高殿の受け付けは三軒長屋で行う。近接して立つ「山内生活伝承館」では、当時の生活に使われていた生活道具や民具などを展示している。車で数分走った吉田の町には、田部家の鉄山経営やたたら製鉄について紹介する「鉄の歴史博物館」や、田部家の土蔵群があるので、あわせて訪ねてみたい。「菅谷たたら山内」は斐伊川支流の三刀屋(みとや)川上流域の深い山中にあるが、松江自動車道雲南吉田ICから車で約10分とアクセスは便利。松江からも1時間とかからない位置にあり、出雲旅の途中に立ち寄るのもおすすめだ。
スポット詳細
- 住所
- 島根県雲南市吉田町吉田4210-2 地図
- エリア
- 奥出雲エリア
- 電話番号
- 0854740350
- 時間
- 9:00-17:00(最終入館16:00)
- 休業日
- 月(祝の場合は翌日)
- 料金
-
【入館料】
[一般]310円
[小、中学生]210円
※団体割引あり(20名以上) - 駐車場
- あり(20台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 平均予算
-
【昼】1-1,000円
【夜】1-1,000円 - 滞在目安時間
- 0-30分
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
- 雨の日でも楽しめる
- はい
情報提供: ナビタイムジャパン