音戸の瀬戸公園
平清盛の「日招き伝説」が残る風光明媚な名勝地
2つの赤い橋が架かる音戸の瀬戸を見下ろす
呉市の本土側と倉橋島の間にある音戸の瀬戸。長さ約1km、幅が広いところで約200m、狭いところで約80mという小さな海峡だが、「瀬戸内銀座」と呼ばれる瀬戸内航路の要衝となっている。平清盛が開削したと伝わり、清盛の「日招き伝説」が残る風光明媚な名勝地として、「呉八景」にもなっている。また明治以降、呉の軍港を守る要害の地として、1901年(明治34)、音戸の瀬戸を見下ろす本土側の標高218mの高烏(たかがらす)台に呉要塞(広島湾要塞)「高烏砲台」が設置された。1961年(昭和36)に海峡に音戸大橋が架けられ、本土側と倉橋島が結ばれたが、橋の下を1000t級の大型船舶が航行できる高さを保つため、二重のループで橋まで上る日本初のアーチ型らせん式高架橋となっている。さらに2013年(平成25)には第二音戸大橋が誕生。音戸の瀬戸と2本の赤い橋が眺望できる本土側の丘陵一帯が「音戸の瀬戸公園」として整備され、特に3月下旬~4月上旬の桜、4月下旬~5月初旬のツツジの季節には多くの行楽客で賑わう。
山麓から山上まで展望所と見どころが点在
「音戸の瀬戸公園」とひと口に言ってもエリアが広く、ふもとの「音戸の瀬戸公園駐車場」から山上の「音戸大橋駐車場」まで約2.2km、標高差にして約200m近くもある。園内には駐車場が数か所あり、それぞれ見どころポイントがあるので、事前に把握してから訪れたい。4月下旬から5月初旬に約8300本の紅白のヒラドツツジが咲き乱れるのは、音戸大橋を目前にする「音戸の瀬戸公園駐車場」辺り。周辺には吉川英治の文学碑や山口誓子(やまぐちせいし)の句碑などもある。この付近から山上にかけて、3月下旬から4月上旬に約2300本の桜が咲く。そして山上には、平清盛の「日招きの像」が立つ「髙烏台展望台」があり、そこからは新旧2つの真紅の音戸大橋や、橋の下を船が行き交う海峡を眼下にする。その向こうには瀬戸内海に浮かぶ島々や、呉港方面も眺望できる。この展望台はかつて軍の要塞だった砲台跡に設置され、周辺には兵舎跡なども残る。その「髙烏砲台跡」は、日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の構成文化財となっている。
橋を渡って音戸町へも訪れてみたい
音戸の瀬戸の眺望は公園の大きな魅力で、夕景・夜景スポットとしても人気がある。ふもとから山上まで数か所の展望所があるが、園内の穴場的な展望台が、髙烏台の直下にある光田(みつだ)庭園の「瀬戸見展望台」。見晴らしもよく、建物にも風情があると評判だ。光田庭園には二重塔や珍しい奇木もあり、ちょっとした見どころとなっている。また、音戸大橋を渡った先にある倉橋島の音戸町側の海峡べりに、「清盛塚」(広島県指定史跡)がある。ここにも清盛の「日招きの像」が立ち、そこからは新旧2つの赤い橋を下から望める。音戸町はかつて瀬戸内海有数の商港として栄えた港町で、音戸大橋のたもとの引地(ひきじ)地区の旧道が「音戸銀座街」と呼ばれ、毛利家ゆかりの古刹・法專(ほうせん)寺があるほか、古い商家の建物が立ち並ぶ。商家をリノベーションしたカフェなどもあり、レトロな町歩きが楽しめる。また、大和ミュージアムがある呉の中心部まで約7km、車で約15分。呉を訪ねたなら、この音戸の瀬戸へもひと足延ばしてみたい。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン