魯山人寓居跡 いろは草庵

その他の史跡/建造物

北大路魯山人、陶芸家としての出発点。山代の住まいを公開

大正から昭和にかけて活躍した多才な芸術家、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。のちに陶芸家や料理家として活動する契機となったのが山代温泉滞在である。この地で魯山人が身を寄せた建物を当時の風情のまま公開している。

山代温泉街の中央、湯の曲輪(がわ)に面する一等地にある。場所も建物も魯山人が滞在した当時のまま} 山代温泉街の中央、湯の曲輪(がわ)に面する一等地にある。場所も建物も魯山人が滞在した当時のまま

テーマは、山代での北大路魯山人

いろは草庵は、魯山人が1915年(大正4)の秋から約半年間逗留した、山代温泉の吉野屋旅館主人の別荘だ。明治初期の建築と伝わる建物を魯山人寓居跡として2002(平成14)から一般公開している。木造瓦葺きの母屋は特に当時の雰囲気をとどめており、囲炉裏や仕事部屋、書斎などを見学すれば、この空間で山代の旦那衆と大いに語らい、味わい、美意識を磨いた魯山人の姿と暮らしぶりがありありと想像できる。当施設開館時に母屋と土蔵をつないで完成させたロビーは、壁一面のガラス窓が苔むした庭をまるで一枚の絵画のように見せてくれる気持ちの良い空間。魯山人が作品の題材にしたヒバの木を眺めながら、つかの間、心静かに過ごせる。

魯山人が屏風絵のモチーフとした、樹齢百数十年のヒバの木も見える} 魯山人が屏風絵のモチーフとした、樹齢百数十年のヒバの木も見える

山代との縁を結び、育んだ場所

魯山人が山代にやってきたのは、32歳のとき。福田大観と名乗り書や篆刻(てんこく)を生業としていた彼は、金沢の漢学者、細野燕台(ほそのえんたい)の食客となった縁で初代須田菁華ら山代の旦那衆に出会い、宿や店の刻字看板を彫ることになった。その際、吉野屋旅館主人、吉野治郎から仕事部屋として提供された別荘が現在のいろは草庵である。完成させた看板のすばらしい出来に、須田菁華の仕事場に入ることが許され、初めて絵付けを体験。以降、仕事の合間に菁華の窯へ出かけては作陶の基礎を学び、新たな才能を開花させていった。芸術家、北大路魯山人に大きな影響を与えた出会いや時間。その舞台となった山代での拠点がいろは草庵なのである。

仕事場にしていた座敷では制作風景を再現。広縁の先に茶室があり、たびたび茶会が開かれていた} 仕事場にしていた座敷では制作風景を再現。広縁の先に茶室があり、たびたび茶会が開かれていた

当時のまま残る建物と風情

母屋は1870年代に建築された瓦葺きの木造2階建て。現在は展示室となっている土蔵とともに2001年(平成13)、国の登録有形文化財に認定されている。玄関までのアプローチには、料理家として開いた星岡茶寮から株分けされたサルスベリや書を写した石碑などが並び、魯山人の世界へ引き込まれる。木製の引戸を開けると、旦那衆と語らい加賀の美味を味わった囲炉裏の間が現われ、左手に刻字看板を彫った仕事部屋、庭を眺めながら書や絵を描いた書斎などの座敷が広がる。老舗宿の別荘だった建物らしく、漆塗りの柱や梁、陶芸家・原呉山(はらござん)設計の茶室など風情ある造りからは、当時の山代の活気と旦那衆の粋も感じられる。

地元の旦那衆が集まる文化サロンでもあった。囲炉裏の間でも書や美術、骨董について語らったことだろう} 地元の旦那衆が集まる文化サロンでもあった。囲炉裏の間でも書や美術、骨董について語らったことだろう

山代で彫った刻字看板を常時展示

母屋とロビーを介してつながる展示室は、かつての蔵を改装した空間。この別荘で魯山人が制作した旧吉野屋の刻字看板を常時展示している。魯山人が手がけた刻字看板は現在7本が残っており、その中の貴重な1本だ。分厚いケヤキの板を使い木目に逆らうように刃を入れたダイナミックな作風の看板は、若き日の篆刻家魯山人のセンスを伝える。そのほか、いろは草庵では、所蔵品だけでなく魯山人とゆかりある人々の作品も含めて展示する企画展を年4回開催。さまざまな観点から北大路魯山人という芸術家をひもといている。

展示室では、「吉野屋」の刻字看板を通年展示。山代へ来て初めて制作したという意味でも一見の価値がある} 展示室では、「吉野屋」の刻字看板を通年展示。山代へ来て初めて制作したという意味でも一見の価値がある

スポット詳細

住所
石川県加賀市山代温泉18-5 map map 地図
電話番号
0761777111
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
休業日
水(祝の場合は開館)
料金
【入館料】
[一般]560円
[高校生以下及び障がい者の方]無料
[75歳以上の方]280円
駐車場
あり(20台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、DISCOVER)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、nanaco、WAON、楽天Edy、au WALLET、Apple Pay、Google Pay、PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、メルPAY、d払い、auPAY、ALIPAY)
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
滞在目安時間
30-60分
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 小さな建物
    4.0 投稿日 : 2020.02.29
    小さな建物なのであっという間に見学し終わってしまいますが、入館料は安いしお茶とお菓子もいただけるのでなかなか良いと思います。JAFの割引も使えました。魯山人のこともほんのちょっとですが知ることができました。
  • 文化サロン的な場所に
    4.0 投稿日 : 2020.02.15
    北大路魯山人が、大正4年の秋から約半年間生活した家です。この家は吉野家旅館の明治初期に建てられた別荘で、木造瓦葺2階建ての建物です。魯山人の刻字看板を彫った仕事部屋、書や絵を描いた書斎や囲炉裏の間、茶室・などが公開されています。庭を眺めながら、一服、おつな気分です。
  • 期待していると少し残念かも。
    3.0 投稿日 : 2019.06.13
    山代温泉の総湯からは、服部神社を目指すといいです。とても期待していたので、ボリューム感に乏しいのが素直な印象です。お庭を見ながらのお茶も嬉しいのですが少し物足らない。作品を展示した土蔵造りの部屋、茶室、囲炉裏の間、仕事部屋、お二階などコンパクトにまとまったお宅ではありますが、やはり何かが足らない。できれば山代温泉総湯の売店とかで取り扱っている『加賀温泉郷パスポート』を利用した方がいいです。

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アクセス

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