大安寺
887人もの僧侶が住み、修行に励んだ日本で最初の官立寺院
仏教の総合大学だった大安寺
747年(天平9)に作られた「大安寺伽藍縁起并流記資財帳(だいあんじがらんえんぎならびにるきしざいちょう)」には、大安寺の始まりである百済大寺の造営は、聖徳太子の遺言によるものだと記されている。平城京遷都にともないこの地に遷された大安寺は、26万平方メートルの広大な敷地に金堂と講堂を中心とした90余棟もの建物が並ぶ大寺院だったという。最盛期は、最澄(さいちょう)や空海(くうかい)、インド僧・菩提僊那(ぼだいせんな)など、887名もの学僧が在籍する国家筆頭寺院だった。しかし度重なる災禍により、すべてを焼失。現在の境内は最盛期の約4%を残すのみとなっている。長年にわたる発掘調査で伽藍の全容が解明されてきたが、境内周辺には多くの住宅が立っている状態。この地に実物の伽藍を復元するのは不可能なため、クラウドファンディングで支援を募り、CGでかつての大伽藍を復元するプロジェクトが進行中。公式サイトでは、そのCG映像を見ることができる。
焼失を免れた9体の仏像が今に伝わる
伽藍はすべて焼失してしまったが、奈良時代の仏像9体が今に伝えられている。そのうちの1体である本尊は十一面観音立像。ふだんは御簾(みす)が下がっているので、直接見ることはできない秘仏となっている。左手に宝瓶を持ち、右手は垂れて与願の印を結ぶ美しいシルエットの観音様。頭部や左手など補修された部分もあるが、胴体部分や台座は当時のままで、天平時代を代表する仏像といわれている。そのほか、静かな怒りをたたえているような忿怒(ふんぬ)の形相の楊柳(ようりゅう)観音や、足首に蛇が巻きつき、腰には獣皮をまとっている馬頭(ばとう)観音などが伝わる。いずれも奈良時代のもので国の重要文化財に指定されている。特別公開の時期は公式サイトで確認してほしい。
癌封じ、病気平癒のご利益を求めて
奈良時代は医学も発達しておらず、病はとても恐ろしいものだったことから、大安寺は官立寺院として、国家の安泰と人々の安寧を祈るという役割を担っていた。そういった歴史から近年では、悪病難病の最たる病である「癌(がん)」を封じるお寺として、信仰を集めるようになったという。寺の授与品として人気があるのは、「だるまみくじ」300円。寺務所には「だるまは境内に置くも良し、持ち帰るも良し」と書かれており、境内のいたるところでだるまさんの姿を見ることができる。「置いて帰られたものはそのままにしています。癌封じのお寺なので、想いを込めて置いて帰られている方もいらっしゃると思います」と河野裕韶(こうのゆうしょう)副住職。災禍に遭いながらも今日まで続いてきた、癌封じのお寺。その歴史や成り立ちを知ってから訪れると、より深い感銘を受けるだろう。
スポット詳細
更新日:2024.04.26
- 住所
- 奈良県奈良市大安寺2-18-1 地図
- エリア
- JR・近鉄奈良駅周辺エリア
- 電話番号
- 0742616312
- 時間
- [拝観時間]9:00-17:00(受付は16:00まで)
- 休業日
- 年中無休(12/31は迎春準備のため休み)
- 料金
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【拝観料】
[大人・大学生]400円
[高校生]300円
[中学生]200円
[小学生]100円 - 駐車場
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あり
※無料 - クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- あり
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 英語メニュー
- あり
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
- ペットの入店
- 可
情報提供: ナビタイムジャパン
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- 何度も寺名を変える変遷を経て現在地に移転して来た寺院です。
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- 南都七大寺の一つ
- 奈良時代から平安時代前半迄は東大寺や興福寺と並ぶ大寺だったらしい。本尊は十一面観音さんです。今は無いが東西に七重の塔が立ち南大寺とも言われていた。現在は高野山真言宗のお寺です。特に癌封じのお寺として有名です。
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