郡山金魚資料館

マンホールにも「わが町＋金魚」な大和郡山

のどかで懐かしい金魚の養殖池が広がる風景

大和郡山市の地図を見てみると、池が多いことに気づく。市内にいくつも点在したり、集まったりしているそれらの水辺の多くは金魚の養殖池。そうした景色は電車の車窓から垣間見たり、風景のなかに身を置いたりすることもできる。金魚の養殖池が広がる眺めは、のどかで、どこか懐かしい。晴れた日の青空や色合いをどんどん変える夕焼け空を水面に映す様の美しさに息をのむことも。なお、金魚の養殖池は持ち主のいる私有地なので、勝手に敷地に踏み入ったり、池の金魚を驚かしたりするような行為はやめよう。

金魚養殖池が青空や雲を映す

金魚マニアの集うワンダースポット

金魚の養殖池を訪ねたい場合は、金魚資料館のある周辺地が比較的足を運びやすくおすすめ。金魚資料館は大和郡山市の金魚養殖・販売の最大手・やまと錦魚園が養殖場の一角に設ける私設の資料館。レトロな雰囲気だが、金魚の原種、高級金魚、絶滅から守られている希少種などの生体、金魚にまつわる重要な文書や道具などのコレクションは金魚愛好家にも知られた存在。また金魚の生態や金魚好きのイラストレーターらによるグッズを並べたお土産を販売。なお、資料館は養殖場の一角にありスタッフの皆さんが働いているが、たずねれば親切に案内してくれるだろう。

金魚資料館で金魚を購入。袋詰めで持ち帰りできる

印刷物や雑貨などの金魚資料が並ぶ展示室

金魚尽くしの商店街「金魚ストリート」

1995年(平成7)以降「全国金魚すくい選手権大会」を開催するなど市を挙げて金魚推しの大和郡山だけに、町なかにも金魚スポットがいろいろ。近鉄郡山駅近くのやなぎまち商店街は「金魚ストリート」と銘打ち、参加店舗それぞれが金魚水槽を設置。お店を巡って集めるスタンプラリー「御金魚帖」という企画も行っている(専用オリジナルノート「御金魚帖」は同商店街の一部店舗で販売)。商店街に掲げられたフラッグや看板、建物壁面や足元のマンホールにも、とにかく金魚のデザインがあふれている。「すきあらば金魚」という強い意志を感じる町の路上観察はかなり楽しめそうだ。

店先に巨大金魚が泳ぐ金魚ストリートの一角

金魚イラストが楽しい「御金魚帖」

金魚すくいや金魚釣り、金魚の自販機も

そのほか、通年金魚すくいをできるショップ「おみやげ処こちくや」や、大和郡山の金魚研究家、故・石田貞雄氏の金魚コレクションを所蔵および入れ替え展示する藍染め体験施設・箱本館紺屋(はこもとかんこんや)、金魚釣りができる施設や大型ショッピングモールでも全力で金魚を推すなど、金魚だらけの大和郡山市。前述の金魚資料館の近くには金魚の自動販売機も出現し、思いがけない場所やシチュエーションで金魚に出合える町である。

こちくやの金魚すくい道場にて