穂高神社

20年ごとに本殿一社を建て替える大遷宮と、その間に2度修復を行う7年ごとの小遷宮が行われる

穂高岳を御神体とする日本アルプスの総鎮守

穂高見命(ほたかみのみこと)を御祭神に仰ぐ穗高神社。穂高見命は、上高地の河童橋から見える穂高岳の主峰、奥穂高岳(標高3190m。日本第3位)に降臨し、未開の地であった安曇野周辺を開拓したと伝えられている。そのため穂高岳は穂高見命の御神体とされており、穂高連峰のひとつである明神岳(標高2931m)のふもとの明神池に奥宮が、奥穂高岳山頂に嶺宮が鎮座している。このことから穗高神社は通称「日本アルプスの総鎮守」と呼ばれる。ちなみに上高地の名は、穂高見命が降臨したことを意味する「神降地」や、穗高神社奥宮・明神池に祀られていることに由来する「神垣内」「神河内」が由来とされる。

上高地の河童橋から歩いて1時間ほどのところにある明神池。ほとりに奥宮があり、背後に明神岳がそびえる

JR穂高駅近くの開かれた本宮　

穗高神社の本宮は、JR大糸線の穂高駅から歩いて3分ほどの場所に位置する。駐車場も併設されており、アクセスしやすい立地だ。正参道は神社の東側。木々に囲まれた道を歩いて東側の社務所の方面に歩くと、狛犬に挟まれた鳥居が見えてくる。一礼して鳥居をくぐり境内へ。杉の木に囲まれて、凛とした空気に包まれている境内に足を進めると、目の前には神楽殿。拝殿への視界をさえぎるように構えている。立派な神楽殿の奥に見えてくるのが、御神木を背にして荘厳な構えの拝殿だ。心を引き締めてお参りしよう。

東側にある、木製の両部鳥居

鳥居をくぐればガラス張りの神楽殿

地域住民の安全運転を見守る交通安全の神様

穂高見命は海神(わたつみ)族の祖先の神であり、その子孫である安曇族は、北九州方面の栄え主として海運を司っていた。そのため穂高見命は古くより海上安全の神として、今では交通安全の神様として崇敬されている。地元では、穗高神社の交通安全のお守りステッカーの貼られた車が多く走っている。車の祈祷を希望する方も多く、境内に車が並ぶこともある。また、拝殿と神楽殿の間には、樹齢500年以上といわれる巨木「孝養杉」がそびえる。昔、重い病となった家族のために、毎日この杉の木と穂高の神様にお参りをした人がいたそうだが、「朝露が乾くがごとく、淡雪がとけるが如く、病を癒やした」と伝えられている。健康とパワーをいただこう。

大木「孝養杉」。左に神楽殿、右には拝殿

穗高神社周辺の散策も楽しい

穗高神社から穂高駅までの間は、表参道のように店が並んでいる。ぶらぶらと歩いて散策するのも楽しい。地元作家の作品が並ぶ「クラフトショップ安曇野」や、大福や信州名産品のおやきを購入できる「池田屋餅店」、地元農産物と信州のこだわり商品・自然派おやつのセレクトショップ「よろづやいっかく」もお土産にぴったりだ。ほかにも安曇野地域にたくさんある美術館や博物館などをつなぐ「安曇野アートライン」もあるので巡ってみよう。また「大王わさび農場」も人気スポット。広大なワサビ畑の景色を眺めながら、ワサビを生かした料理や、ワサビ畑に流れる湧き水でいれたコーヒーなどを楽しもう。

駐車場からの参道。ひっそりとした木々の向こうに社務所が見える