川平湾

絵はがきのような風景が待つ、沖縄を代表する景勝地

石垣島で最も有名な景勝地である川平湾。エメラルドに輝く海にいくつもの小島が浮かぶ風景が美しく、国指定の名勝や日本百景のほか、ミシュランガイドの3つ星観光地にも選ばれている。また、世界で最初に黒蝶真珠の養殖に成功した湾としても知られている。

川平公園展望台からの風景。潮の干満で青や緑に変わる海の色や湾に浮かぶ小島はまさに風光明媚

川平湾は石垣島の西北部に位置する奥深い入江で、琉球石灰岩が隆起してできた大小の小島が湾の入り口に点在し、白い砂浜と透明度の高い海とのコントラストが心を揺さぶる風景をつくり出している。湾の周辺は川平公園になっており、海を見渡せる展望台からはいつ訪れても絵はがきのような風景を眺めることができる。国指定の名勝であり、フランスの格付けガイドブック『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』において、「わざわざ訪れる価値がある観光地」として沖縄県から唯一、三つ星の評価を受けていることもあって、いつも多くの人で賑わっている。

波穏やかな湾。背後には沖縄最高峰の於茂登岳(おもとだけ)がそびえている

砂浜に降りて波打ち際の散策や、グラスボートで海中散歩を楽しむことができる

川平湾では展望台のある花と緑にあふれた公園内の遊歩道を散策したり、砂浜に降りて波打ち際を歩いたりすることができる。流れが早いので遊泳は禁止されているが、透き通った波が白砂のビーチに静かに打ち寄せる様に心奪われるはずだ。観光客に人気のアクティビティはグラスボートで、予約なしでもすぐに楽しめるので、少し沖合いのサンゴ礁まで海中散歩を楽しむのも良いだろう。また、日中の七色に変化する海の色も美しいが、朝日や夕陽に染まる川平湾もまた違った趣があるので、チャンスがあればぜひ訪れてみたい。

川平湾の奥にある真珠養殖場の前には人魚の像があり、記念撮影スポットになっている

琉球真珠の直売店では真珠製品や、真珠を使ったメニューを味わえるカフェもある

川平湾の湾内は外海からの影響を受けにくく波が穏やかなため、琉球時代には石垣島から琉球政府(現在の沖縄本島)への貢物を運ぶ船の待避港として使われていた。今でも公園内には航海安全を祈願する川平観音堂が残っている。また、湾の奥には18年にわたる挑戦の末、1970年(昭和45)に世界で初めて黒蝶真珠の量産に成功した琉球真珠の養殖場があり、「黒真珠のふるさと」としても知られている。琉球真珠の店内には真珠商品の販売はもちろんのこと、養殖の作業工程や歴史資料を展示したコーナーもあるので、訪れてみるのもいいだろう。

航海安全の拝所として島の人たちの信仰を集めている川平観音堂