壺屋 き花の杜

店内はまるで小さなお店がたくさん並ぶマルシェのようにも見える

長い歴史を誇る「壺屋総本店」が作った菓子を中心とした施設

「壺屋総本店」は、1929年(昭和4)に旭川で創業。「壺もなか」というヒット商品に恵まれたあとも、天皇陛下のご来道と植樹を記念して生まれた「雑木林」、モンドセレクション36年連続金賞受賞の「き花」など、地域の風土を意識した質の高い商品作りに取り組んできた。その想いは今も引き継がれ、人気商品の数々は地元で高く支持されている。「壺屋き花の杜」は、旭川鷹栖(たかす)ICから約25分、JR旭川駅から約10分の場所にある。地元の木をふんだんに使った外観が印象的だ。「北海道菓子と四季の庭」というテーマで造られたこの施設には、季節の花が咲く庭、ショップ、工場、カフェのほか、フラワーショップや旭川の木工作品を扱うクラフトショップも入っている。

店外の壁にはふんだんに木材が使われている。木工のまち・旭川らしい外観

菓子と一緒にプレゼントしたい花やクラフト、雑貨を販売

エントランスを入ると、大きな美しいダイヤモンドダストの写真が出迎えてくれる。まるで絵画のようなこれは、風景写真家・高橋真澄さんが撮影したもの。ダイヤモンドダストは、「き花」の誕生にも大きく関係しており、その物語については奥の工場にあるパネルで紹介されているので、訪れた際は工場にも立ち寄ってほしい。さて、中へ進むと色とりどりの生花やドライフラワーが並ぶフラワーショップ「ミドリとハナコ」がある。地元で作られているハーブティーなどもならんでいるので、花やお茶を菓子に添えてプレゼントするのもいい。木工クラフトを集めたセレクトショップもあり、カップや小さなオブジェなどが並ぶ。土産物やギフトとして、菓子とあわせて購入する人も多いそう。

入り口にあるダイヤモンドダストの写真。絵画のようだが写真なのだそう

菓子と一緒にブーケを。暮らしに彩りを与える提案をしてくれる

限定商品や生ケーキなどが並ぶほか、ゆったりしたカフェスペースも

奥に進むと開放的な空間にたくさんの菓子がズラリ。パティシエたちが菓子作りをしている様子をガラス越しに見ることもできる。ここだけの限定商品や焼き菓子、和菓子、生ケーキなど、気になるものが多く、漂ってくる甘い香りに包まれながら売り場をつい何周もしてしまう。本場ベルギーで修業を積んだ職人によるチョコレートブランド「RAMS(らむず)」のチョコもここで作られており、道内各地の素材と組み合わせた「ほっかいどうボンボンショコラ」シリーズも並ぶ。左手にある「CAFE文欒(ぶんらん)」では、手作りのスイーツやシルクパウダー入りのソフトクリーム、軽食を楽しめる。また、カフェの横に大きな階段があり、その上にはブックラウンジが設けられている。さまざまなジャンルの本が壁に並んでおり、ここでお茶を飲みながらゆっくり読書タイムを満喫する人も多くいるそう。ソファやテーブルなどはすべて旭川の家具を用いている。

もっちりした食感の生地の中にこし餡が入った「3時のパン」130円。「壺屋き花の杜」限定商品で、市民モニターと開発したそう

「RAMS」のボンボンショコラ。江丹別(えたんべつ)のブルーチーズとの組み合わせなどユニークなものが並ぶ。1個280円

「カフェ文欒」の文欒ハニートースト(ドリンク付)800円(ランチタイム11:00-14:00限定)。期間限定のパフェも人気だ

せっかくならば銘菓の工場見学を。庭の散策もおすすめ

菓子売り場の奥では、旭川の三大酒蔵「大雪乃蔵」「男山酒造」「髙砂酒造」の地酒をはじめ、地元のワインなども販売。お酒を目当てに立ち寄る地元の人もいるそうだ。そこから左に進むと、「き花」の工場見学スペースに入る。「き花」はザクっとした食感のアーモンドガレットにクーベルチュールのホワイトチョコをサンドしたもので、壺屋を代表する北海道銘菓だ。壁にはモンドセレクション金賞の証が所狭しと展示されているほか、「き花」と名付けられた理由、誕生秘話なども紹介されている。工場スペースから庭へ出ることもできるので、天気のよい日は散策するのもおすすめ。庭の花壇には、毎年旭川の農業高校の生徒たちが花を植えてくれるそう。「壺屋き花の杜」は買い物を楽しめるだけでなく、ゆっくりと「旭川」という街を感じながら時間を過ごすことができる施設である。

工場見学の出口から見た庭。シラカバや柳の木に囲まれ、都心でありながら静かな空間