真鶴町立中川一政美術館
多彩な芸術活動を貫き通した中川一政の世界を堪能する美術館
文筆家から画家、芸術家へ
中川一政は1893年(明治26)東京の本郷で生まれた。17歳のときに若山牧水主宰の『創作』に短歌を投稿し掲載され、その後も小説や短歌を発表する。友人からイギリス製の油絵具一式をもらったことをきっかけに、1914年(大正3)に初の油絵作品《酒倉》を「巽画会第14回展」に出品し入選。翌年22歳で《霜のとける道》《監獄の横》《少女肖像》を出品し、この年最高の二等賞を受賞。これをきっかけに画家としての道を歩み始める。一政は独学で創作を行っていたが、同時代に活躍した岸田劉生や梅原龍三郎、木村荘八、萬鉄五郎、石井鶴三らと「春陽会」に参加するなど交流が深かった。1949年(昭和24)に神奈川県真鶴町にアトリエを構え、同地を拠点に代表作である「福浦港」や「箱根」の風景画、「薔薇」や「向日葵」などの静物画を描いた。「薔薇」を描いた作品だけでも800点を超える。活動は絵画のみならず、書や陶芸、岩絵の具を使った岩彩、新聞小説の挿画や本の装丁と幅広く、80歳を超えても新しい分野の創作活動を行っていた。1989年(平成元)96歳のときに、中川一政美術館が開館し、現在は830点を超える作品を所蔵している。
テーマにじっくりと追った創作活動
一政は真鶴を拠点としたあとは、徒歩で15分ほどの距離にあった福浦港の風景を17ー18年にわたり描き続けた。制作の際は屋外の現場で描くことにこだわり、1967年(昭和42)以降テーマとして追い続けた箱根でも屋外での制作を続けた。箱根ではとりわけ駒ヶ岳に魅せられ、約18年間に40作品を生み出した。90歳を迎えてからはアトリエで静物画を描くことが増えたが、自身で壺に生けた花をその場で描くなど現物の写生を行うようにしていた。書の言葉は偉人の明言やことわざもあるが、若い頃から文筆活動を行っていたため自分の言葉を記しているものもあり、多くの随筆で見られるユーモアをのぞかせている。
復元されたアトリエも見学できる
真鶴のアトリエはすでにないが、創作活動を行っていた一室をそのまま復元した部屋を見学することができる(曜日、公開時間限定)。椅子やテーブル、画材などはもちろん床板やそのほかの家具、建具もオリジナル。一政の絵画は写実的な描写ではなく(初期作品は写実的表現のものも多い)、現場で被写体と対峙して自身が感じたパッションを作品に投影しており、晩年の作品であっても非常に力強い。額縁も絵に合うようにペイントするなど、細部にいたるまでこだわって自身の作品を仕上げたという。この部屋からは、一政が「ムーヴマン」と呼んだ「物を見た時の心の感動や心の動き」を作品に投影していた様子をうかがうことができる。
スポット詳細
- 住所
- 神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴1178-1 地図
- エリア
- 小田原・真鶴町・湯河原エリア
- 電話番号
- 0465681128
- 時間
- 10:00-16:00(入館15:30まで)
- 休業日
-
年度ごとの当館開館カレンダーに準じる
※詳細はホームページをご確認ください。 - 料金
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【入館料】
[大人]600円
[高校生以下]350円
【団体入館料(20名以上)】
[大人]500円
[高校生以下]250円
※特別展は別途 - 駐車場
- あり(12台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- あり(フレッツポータル)
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 平均予算
- 【昼】1-1,000円
- 滞在目安時間
- 30-60分
- 車椅子での入店
- 可
- 乳幼児の入店
- 可
情報提供: ナビタイムジャパン
クチコミ
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- 君からの手紙
- 真鶴駅から県道739号を約3キロ。週末は道路渋滞要注意。中川一政没後30年記念「二つの中川一政美術館交流展」を見に行きました。観覧料800円、JAF会員証提示で100円引。建物は公共建築百選に選ばれた如何にも役所造といった外観。茶室内に限り写真撮影可能。真鶴半島ドライブがてらついで寄りには敷居が高いかも。アトリエはコロナの影響か公開されていませんでした。
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- 迫り来るものあり。
- 作品の何を観ても素晴らしい。ここの施設のありようも、中川一政という人の「詠み、書き、描く」を体現していると思います。
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- 5月2日に行きましたが
- 入口はロープが張られ、修復中の看板が。中には入れませんでした。修復中なのかコロナの影響なのかは分かりません、人もいませんでした。
TripAdvisorクチコミ評価
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