江戸川区自然動物園

開園当初から人気の「ふれあいコーナー」

街なかにあるオアシスのようなスペース

東京メトロ西葛西駅、都営地下鉄船堀駅からバス10分ほどで到着する江戸川区自然動物園。動物園の入り口は行船公園サービスセンターの隣にあり、無料で入園できるのがうれしい。緑に囲まれた敷地には、サル、ペンギン、カメ、鳥類などの動物たちを中心に、約60種の動物たちが飼育されている。園内でも珍しい動物といえばオオアリクイ。日本でも16頭しか飼育されておらず、江戸川区自然動物園ではそのなかの2頭を飼育している。また、巨体を持つオタリアやマダガスカル島に分布するホウシャガメなど、日本ではなかなか見られない動物たちも出迎えてくれる。

日本では6園でしか見られない希少なオオアリクイ。東京都内での飼育はここのみ

水の中をスイスイと泳ぎ回るオタリア

動物との触れ合いに癒やされる「ふれあいコーナー」

この動物園ができたのは1983年(昭和58)。それまで、江戸川区内で動物と触れ合える場所は篠崎ポニーランドのみだった。しかし、当時の江戸川区長が、子どもたちが動物に触れ合える機会を増やしたいとして、この江戸川区自然動物園をオープンさせたのが始まりだ。園内のメインは正門を入って目の前の「ふれあいコーナー」(2021年11月現在コロナ禍につき動物のみ展示)。モルモット、ヤギ、羊、ニワトリ、ウサギ、アヒルの6種の動物たちが自由きままに歩き回っている。ヤギなどは近くに来たらなでることもできるし、遠くにいる姿をのんびり観察することもできる。

ヤギや羊、ウサギ、ニワトリが放し飼い状態になっている

野生の状態を知らせる展示の工夫

どの動物園も、動物たちが野生に近い形で暮らせるような環境を整えているのはもちろんだ。この動物園で工夫されているのは、展示エリアの壁として描かれている壁絵。動物たちがもともとどんな環境で生活していたかを知らせるのも、動物園の務めだという。生息地域の自然環境に加え、共存しているほかの動物や植物なども一緒に描くことで、動物たちの生息環境を知らせている。また、動物たちを観察するときに、ちょっとした豆知識を知ることで、生きいきとした動きや食べ物などについて、より興味深く観察できる。

樹上で生活するジェフロイクモザル。木々にロープを張って樹木に見立てている。壁画は専門の絵師が描く

江戸川区にゆかりのある生き物も展示

この動物園は区の施設であるため、江戸川区にちなんだ動物たちも紹介している。動物園の奥で出迎えてくれるベネットアカクビワラビーは、江戸川区と姉妹都市提携を結んでいるオーストラリアのゴスフォード市から譲り受けたのが飼育の始まりで、現在はその子孫たちが悠々と暮らしている。また、淡水魚の展示コーナーには江戸川区の特産でもある金魚も展示。リュウキン、ワキン、クロデメキンなど、おなじみの5種類が水槽の中を泳ぎ回っている。緑も多く、公園内という立地も、癒やしを求めて訪れるにはぴったりの場所だ。

有袋類のベネットアカクビワラビー。小さいながらうしろ足の力が強い

江戸川区は金魚の三大産地のひとつ。系統や歴史なども合わせて紹介している