隅田公園(台東区側)

園内には約440本の桜が植えられている

川沿いに整備された震災復興公園が始まり

隅田公園は隅田川を挟んで台東区、墨田区の2か所にまたがる。台東区側の広さは約11万平方メートルで、吾妻橋から梅園まで、20分から30分の散歩を楽しめる。東京メトロ銀座線、東武スカイツリーラインから徒歩3分、水上バスの発着所もあるので、隅田川からのアクセスも可能だ。隅田公園は、江戸幕府八代将軍徳川吉宗が隅田川沿いに桜を植え、民衆も花見ができるようにと開放した由緒ある場所で、公園として整備されたのは、1923年(大正12)の関東大震災後。甚大な被害を受けた東京の復興事業のひとつとして、時の内務大臣、後藤新平が防火帯として区画、整備したのが始まりだ。現在、園内にはカフェもあり、ふだんはのんびり散策を楽しんだり、ベンチに座ってくつろいだり、子どもと一緒に遊んだりと、地元の人たちが多く訪れている。

散策路は豊かな緑に囲まれ、歩いているだけで気持ち良く感じる

子どもたちの楽しめる遊具やアスレチックなども設置されている

花の名所、ビュースポットとしても人気

隅田公園といえば「日本さくら100選」にも選ばれた桜の名所としても名高い。隅田川沿いに桜が咲き乱れ、春には「桜まつり」を楽しみに多くの観光客が訪れる。桜以外にも梅園やさまざまな種類のアジサイが植えられており、四季折々の花が訪れる人を楽しませてくれるのもうれしい。
また、公園内からは対岸にそびえたつ東京スカイツリーを間近に見ることができる。河岸沿いの展望広場はスカイツリーを見るためにつくられたビューポイントで、記念撮影をする人も多い。東京スカイツリーにかぎらず、河岸からは隅田川を航行する船の往来も眺められる。

桜の広場越しに東京スカイツリーを望む

歴史に思いを馳せながら散策を楽しむ

公園内を歩いていると、隅田川の渡し「山の宿の渡し」の碑や、隅田川を歌った「花」の歌碑、正岡子規や水原秋桜子の隅田川にちなんだ俳句の句碑、戦災慰霊碑などをところどころで見かける。公園内の句碑を巡りながら、当時の思いをしのぶのも楽しみのひとつだろう。また、浅草駅側の近くには不思議なオブジェ「グリーンプラネット」もあり、芸術にも触れられるのも楽しい。隅田公園から浅草寺や仲見世など、浅草の観光スポットへは徒歩4、5分なので、散策帰りに立ち寄るのもいいだろう。

隅田川にあった渡し船のひとつ「山の宿の渡し」跡

武島羽衣作詞、滝廉太郎作曲の『花』の碑。のどかな隅田川の風景が歌われている

第二次世界大戦の犠牲者を弔うために立てられた碑