平戸城
怒涛の歴史を聡明に泳いだ策士一族として名を馳せる松浦(まつら)家の城
古くから海外との貿易で栄えた港を見下ろす城
九州の西北端の沖に浮かぶ平戸島は、南北約40km、東西は最大で約10kmで、日本では20番目に大きい島だ。最も狭い部分で570mほどの九州本土との海峡は「平戸瀬戸(ひらどせと)」と呼ばれ、古代から中国や朝鮮などとの海上交易の要地であり、複雑な海岸線がつくり出す近辺の波静かな湾は、風待ちや潮待ちの港として使われてきた。江戸時代、長崎の出島ができるまでは南蛮貿易の基地だったのもこのため。平戸城のある標高53mの亀岡山はこの平戸瀬戸に突き出した半島で、小さな川の河口とともに港に手頃な湾をつくり出す。山全体が城砦、周囲の海が堀となり、城にふさわしい天然の要塞だった。天守跡からは平戸の町と港を一望でき、対岸に九州、その間に架けられ陸続きの島にした1977年(昭和52)完成の平戸大橋も遠くに見え、まさに絶景。オリジナルの遺構は櫓や塀、石垣などわずかだが、1962年(昭和37)に模擬天守(江戸期の平戸城には天守はなく二の丸の3重3階の乾櫓が代用だった)が造成され、さらに見奏櫓、乾櫓、地蔵坂櫓、懐柔櫓などが復元されて亀岡公園として整備された。緑が豊かで、春の桜やツツジ、八重で二度咲きする珍しいニドザキサクラをはじめとする四季折々の花も楽しめ、市民の憩いの場となっている。
時代の風を読む能力に長けた松浦家とともにある歴史
城の主である肥前松浦氏は、平安時代から戦国時代にかけ活躍した「松浦党」と呼ばれる海賊(水軍)がルーツで、平家の家人だった。しかし、壇ノ浦の戦いでは戦況を読み、源氏に寝返って勝利に貢献、鎌倉幕府の西国御家人になる。以降も有事には優勢な側に味方をすることで勢力を拡大し、1600年(慶長5)の関ヶ原の戦いでも当初は西軍、途中で東軍に与して徳川家康に所領を安堵され平戸藩が確立した。最初の築城はそれに先立つ1599年(慶長4)だが、家康に豊臣との関係の懐疑を晴らすため城の一部を破却。1613年(慶長18)には火災により焼失し、しばらくは現在の松浦資料博物館の場所に御館を構えた城をもたない大名であったが、1707年(宝永4)に再建をする。梯郭式の平山城で、江戸時代中期になっての新たな築城は異例だった。明治の廃藩置県の廃城令で狸櫓と北虎口門(搦手門)を残して取り壊されたが、1962年(昭和37)に模擬天守の建築とともに、櫓などの復元作業が行われた。2021年(令和3)4月には大規模改修工事によって、模擬天守内に平戸の歴史をデジタルアートで楽しめる施設が誕生。迫力ある体験型の展示は一見の価値あり。懐柔櫓を改装し、「日本100名城」で初めての常設の城泊ホテルで1日1組限定の「平戸城CASTLE STAY懐柔櫓」も同時オープンしている。
数多い城内の見どころにはほっこりする伝説も
城の北東にある多門櫓は藩政時代から残る櫓で、「狸櫓(たぬきやぐら)」の名で知られる。これには有名な伝説がある。櫓にはタヌキの一族が住み着いていた。1830年(天保元)に修理のため床板をすべてはぎ取ったところ、ある夜、松浦藩主の寝床に小姓に化けた狸が現れた。「我ら一族を櫓に棲ませてくれれば、城を永代守護する」と嘆願したため、翌日には床を元通りに戻してやったのだという。また、「五段ハグチ」と呼ばれる急峻な崖の上にそびえる見奏櫓は、1962年(昭和37)の模擬天守とともに復元された建築物のひとつ。北の防御のための重要な櫓であり、宿泊施設となった近くの懐柔櫓と同じく平戸瀬戸に面する絶景ポイントだ。城内に鎮座する亀岡神社は、5代藩主松浦棟が1631年(寛永8)年に創建。毎年10月に開催される祭り「平戸くんち」は亀岡神社遷御祭でもあり、平戸神楽の全24座が舞を見せる大神楽の舞台が作られる。
スポット詳細
- 住所
- 長崎県平戸市岩の上町1458
- エリア
- 平戸エリア
- 電話番号
- 0950222201
- 時間
-
8:30-17:00
[4-9月]8:30-18:00 - 休業日
- 12/30-31
- 料金
-
[大人]520円
[高校生]310円
[小中学生]200円 - 駐車場
- あり(50台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- あり
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 可(屋外)
- 滞在目安時間
- 30-60分
- 乳幼児の入店
- 可
- 雨の日でも楽しめる
- はい
- 備考
- 令和3年4月1日リニューアルオープン
情報提供: ナビタイムジャパン
このスポットを紹介している記事
クチコミ
-
- 平戸城と松浦党
- 平戸城の映像はなかなか素晴らしいものがありますよ。是非、登城して頂きたい。また、この地だけではないですが松浦党発祥の地でもあり、歴史をしっかり勉強してみたいと思いました。こちらも海を見下ろせる良い城でした。
-
- 日本初「城泊」
- 2021年4月に平成の大規模改修として外壁内壁の補修及び展示品の完全リニューアルオープンしました。また今回のリニューアルの目玉として日本初の「城泊」ができることです。宿泊できるのは天守閣ではありませんが平戸城内の櫓のひとつである、海に面した絶好のロケーションの懐柔櫓(かいじゅうやぐら)が宿泊施設に生まれ変わり、客室は119.76㎡2階建ての1室。リビング・ダイニングルーム、ベッドルーム、和室コーナ...
-
- 復元されていますが、石垣などは昔のままのようで無料駐車場もあるようです
- 平戸の街中にあるお城で昭和の時代に復元されたものですが、石垣などはそのまま残されていたもののようです。中に入るには入館料を支払う必要があります。私は別の所に車を止めて歩いてきましたが無料駐車場もあるようです。
TripAdvisorクチコミ評価
もっと見るアクセス
最寄り
- NEARBY HOTELS -
周辺のホテル