吉野水分神社 子守宮

神社

豊かな自然と子授けの信仰に守られた、霊験あらたかな世界遺産

吉野山に鎮座する吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)は、安土桃山時代の文化が色濃く反映された美しい社殿が特徴。人々からは親しみを込めて「子守さん」と呼ばれ、古くから子宝の神として信仰を集めてきた。

参道へと続く大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)に面した鳥居} 参道へと続く大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)に面した鳥居

吉野山に抱かれた、子宝祈願の神社

近鉄吉野線「吉野駅」より吉野ロープウェイに乗り換え「吉野山」で下車。さらに標高700mほどの「高城山展望台」までバスで揺られたのちに、鳥居を目指して大峯奥駈道を歩くこと15分。水の分配を司る天之水分大神(あめのみくまりのおおかみ)を主神とした7柱が祀られているという吉野水分神社は、上千本から奥千本へ向かう途中にある。「みくまり」が「みこもり」に訛って変化し、今では霊験あらたかな子授かりの神・子宝の神として知られている。現在は宮司が常駐しておらず、この日も境内は無人。人気(ひとけ)がないためか、神秘的な雰囲気が漂い、さながら神の領域に近づいたような気さえする。2004年(平成16)には吉野水分神社と境内を含む吉野山が、「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成遺産としてユネスコ世界遺産に登録された。

世界遺産に登録された社殿は、国の重要文化財でもある} 世界遺産に登録された社殿は、国の重要文化財でもある

中庭と拝殿は楼門の先に。春には中庭のしだれ桜が花を咲かせる} 中庭と拝殿は楼門の先に。春には中庭のしだれ桜が花を咲かせる

歴史を感じさせる長く奥へ続く拝殿。特別な空気が漂う} 歴史を感じさせる長く奥へ続く拝殿。特別な空気が漂う

三殿一棟造りの美しい本殿

安土桃山時代の建築様式がよくわかる建造物として知られる吉野水分神社。鳥居から石段の続く参道へ入ると、まずは楼門と南北に延びる回廊が姿を現す。おごそかな雰囲気の境内は、正面奥に幣殿、左側に拝殿、右側に中庭を挟んで本殿が「コの字型」に配置されている。本殿は三殿一棟造りの珍しい形状。正面屋根の流れ面には千鳥破風(ちどりはふ)が施されている。豊臣秀吉も、この吉野水分神社で祈願して秀頼を授かったといわれており、社殿は1604年(慶長9)に豊臣秀頼が再建したものだ。秀頼が奉納したという400年前の黒漆金銅装神輿(こくしつこんどうそうしんよ)もさりげなく置いてあるので、見逃さないようにしてほしい。非公開だが、国宝の玉依姫命坐像(たまよりひめのみことざぞう)が安置されている。

中庭から見た本殿右側。立派な神樹がなんともすがすがしい} 中庭から見た本殿右側。立派な神樹がなんともすがすがしい

本殿を正面から望む。本殿は1926年(大正15)から1927年(昭和2)にかけて改修された} 本殿を正面から望む。本殿は1926年(大正15)から1927年(昭和2)にかけて改修された

吉野山の千本桜に春を告げる御田植祭り

吉野水分神社の創建については不明だが、古くは『続日本記』や『万葉集』に吉野の水分信仰についての記載がある。天之水分大神は洪水や干ばつに悩まされてきた人々によって祀られた神だ。創建当時は大峯奥駈道の源流に位置する標高約860mの青根ヶ峰(あおねがみね)山頂に鎮座していたことからも、水の分配を司る神として大切にされていたことが伺える。なお、毎年4月3日には、五穀豊穣を祈願する「御田植祭り」が盛大に行われる。拝殿で白衣に翁面(おきなめん)をつけた田男と、牛に扮した男が田起こしから稲刈りまでの農作業を滑稽に演じ、吉野山に春を告げる祭事として親しまれている。訪れる際は周辺の道路は狭く、冬は道路が凍結することも多いのでご注意を。

境内から見た楼門。境内のなかで、楼門の赤はひときわ目をひく} 境内から見た楼門。境内のなかで、楼門の赤はひときわ目をひく

神社とともに歩んできた歴史と生命力を感じるしだれ桜の古木。荒々しい様子に目を奪われる} 神社とともに歩んできた歴史と生命力を感じるしだれ桜の古木。荒々しい様子に目を奪われる

スポット詳細

住所
奈良県吉野郡吉野町吉野山1612 map map 地図
エリア
吉野エリア
電話番号
0746323012
料金
[拝観料]無料
駐車場
あり(2-3台)
クレジットカード
不可

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 上千本の一番奥にある古社
    3.0 投稿日 : 2023.04.22
    創建は定かではないものの、最古の記録は698年の新日本紀という古社です。社殿は豊臣秀頼の再建で、楼門を入ると右側に三殿一棟造りの本殿、中庭を挟んで左側に拝殿があり、突き当りの幣殿は子守大明神がまつられていて、参拝者のほとんどは幣殿を参拝されて(帰り)ます。中庭の枝垂桜が満開で、この時期に参拝できたことに感謝しました。上千本の一番奥にあり、桜見物でしたらここが折り返し地点の一つでしょう。ここ...
  • 神聖な風を身体ごと感じる
    5.0 投稿日 : 2022.04.20
    奥千本に向かう途中にある神々しい神社でした。国宝の本殿も素晴らしく、中央に位置する桜が陽を受け光輝いていました。この景色が見られただけでも、奥千本を目指して良かったと感じました。近鉄吉野駅からバスに乗り換えて中千本まで。そこからまたバスに乗り換えて上千本まで。このバスの待ち時間が約1時間だったので、私は中千本から奥千本までを歩いて往復しました。決して歩けない訳ではありませんが、長距離になる為結...
  • 続日本紀や枕草子にも登場する古社
    5.0 投稿日 : 2021.10.23
    山自体が世界遺産となっている吉野山上千本にあり、この神社も構成資産、現在の社殿は豊臣秀頼が再建したものです。「みくまり」、が訛り「みこもり」となり、安産・子授けの神様として古くから信仰を集めていたそうで秀吉が子授けを祈り秀頼が授かったという話が有名で、本居宣長もこの神社の申し子との事です。山深く観光地化されていない感じが素晴らしく、貸切状態で静かにお参りできました。

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アクセス

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最寄り

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