奈良

吉野

YOSHINO

美しい山々と川。吉野には万葉人も歌に詠んだ名所がいっぱい

奈良県南部の森林地帯。広義にはその一帯を吉野と呼ぶ。日本屈指の降水量で「近畿の屋根」と称される大台ヶ原(おおだいがはら)のふもとにある上北山村、吉野林業が盛んな川上村、柿の名産地の五條市西吉野町など、それぞれの町村が独自の歴史や風景、慣習、食文化など伝えてきた。これら各町村で守られてきた文化資産は、世界遺産や日本遺産に登録されるなどしており、このエリアの玄関口が吉野町となる。狭義の吉野は吉野町を指し、また多くの人が「吉野といえば桜の名所」として吉野町にある吉野山を思い浮かべるだろう。吉野町には吉野山以外にも、紙すきの里として知られる地区や、製材所の集まる地区などがあり、春の桜シーズン以外の魅力もさまざま。『万葉集』にある天武天皇が「よき人の よしとよく見てよしと言ひし 吉野よく見よよき人よく見つ」と「よき」「よし」を繰り返した歌をはじめ、古来より現在に至るまで数多の文人墨客が訪れ、吉野を讃える作品を残している。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    吉野山
    山裾から奥へ咲き競う、約3万本の桜の山
    日本有数の桜の名所・吉野山。吉野山の桜の歴史は約1300年前にさかのぼることができる。山麓から山の上の奥深くに向けて、次から次へ咲き上っていく見渡す限りの桜は、その数約3万本という。花見を楽しめるのは例年4月上旬~下旬で、そのほか新緑や紅葉の時期もそれぞれの美しさを見せる。
    春の吉野山。花矢倉展望台から桜と金峯山寺(きんぷせんじ)を望む
  • spot 02
    金峯山寺
    世界文化遺産に登録!飛鳥時代から続く日本独自の宗教修験道の根本道場
    山岳信仰が盛んだった聖域・吉野山に道場を開いた役行者(えんのぎょうじゃ)。信仰の中心地となるのが、日本最大秘仏である金剛蔵王大権現を祀る「金峯山修験本宗 総本山 金峯山寺(きんぷせんじ)」だ。
    吉野山でひときわ大きい蔵王堂。1592年(天正20)に再建された国宝建造物
  • spot 03
    金峯神社
    吉野山の地主神を祀る奥千本に鎮座する社
    金峯神社はユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産のひとつで、御祭神は吉野山の地主神である金山毘古命(かなやまひこのみこと)。金峯神社境内は「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」の一部だ。周辺には、義経の隠れ塔、西行庵、吉野山の最深部となる青根ヶ峰。吉野山・奥千本エリアに鎮座する、山中の静かな社である。
    木立に囲まれた金峯神社拝殿
  • spot 04
    吉水神社
    一目千本の桜の名所に現存する南朝唯一の行宮
    世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつである吉水神社。源義経と静御前と弁慶、後醍醐天皇、豊臣秀吉など、折々の時代を代表する人物が登場する名場面の舞台となってきた。格式を感じる建築、庭、そして「一目千本」と讃えられる桜の絶景など見どころがギュッと詰まっている。伝来の宝物の展示も必見だ。
    初期書院造の貴重な建築である吉水神社書院
  • spot 05
    柿の葉寿司 やっこ
    金峯山寺蔵王堂の前で創業当時の味を守り続ける老舗・柿の葉寿司店
    店の場所は、修験道の総本山ともいわれる金峯山寺蔵王堂(きんぷせんじざおうどう)の目の前。店名である「やっこ」は、4月10日~12日に開催される金峯山寺「花供会式(はなくえしき)」の大名行列の先頭を務める奴(やっこ)に由来する。創業は1910年代。明治時代の末に柿の葉寿司を作り始めた頃から受け継いだレシピを守っているので、味付けは当時のままだ。米はいくつかの品種をブレンド。季節によって微妙に配合を変えながら、もちっとした食感を生み出している。また、魚の品質には絶対的な自信があり、独自の製法によりさばや鮭のうまみをそのまま残した柿の葉寿司はファンも多く、全国からの注文があとを絶たない。お土産に持って帰った場合、もちろんその日中に食べてもおいしいが、翌日になるとカドがとれてまろやかな味になる。さば好きの人におすすめなのは、さばの味が酢飯になじんだ翌日の味。食べ慣れていない若い人たちは、はっきりした味わいが楽しめる当日の味を好む傾向にあるようだ。吉野建(よしのだて)という建築様式の店舗も一見の価値あり。窓際の席からは最高のロケーションを満喫できるので、店内飲食もおすすめ。
    木折りにていねいに詰められた柿の葉寿司「鯖・鮭10個入り」1600円
  • spot 06
    柿の葉すし たつみ
    昔ながらの手作りにこだわり、真心を柿の葉に包んでお届け
    金峯山寺蔵王堂(きんぷせんじざおうどう)に向かう通りに面し、白い壁と焼杉が印象的な店構え。創業は1980年(昭和55)、当時から機械は使わず、昔ながらの手押しの製法にこだわる柿の葉すし専門店だ。
    「コンビ(さば・さけ)」10個入1600円。7個入から40個入までバリエーション豊富
  • spot 07
    柿の葉すし 醍予
    世界遺産・吉水神社鳥居の横にある、柿の葉すしの名店
    吉野山の中千本でお食事処として開業し、現在は柿の葉すしの販売を行っている「柿の葉すし醍予」。創業から50余年を迎える吉野の名店だ。柿の葉は奈良県西吉野産を使用。6月から9月頃は生の葉を、それ以外は塩漬けの葉を使用している。長年培った経験を頼りに、福井県敦賀の港に揚がったさばを赤穂の天塩で漬け込み、柿の葉すし用にスライス。さばや鮭を柿の葉に包む奥様の手つきはていねいかつスピーディー、そして包んだ柿の葉すしを木箱に詰め、重石を載せるまでの一連の作業にはまったく無駄がない。前日の作り置きはせず、ご主人と奥様ふたりで切り盛りしているので、春の桜の時期などは目が回るような忙しさだという。店内飲食の人気メニューは数量限定の「吉野三昧」1550円。2種の柿の葉すしや自家製のごま豆腐、吉野葛を使用した葛餅など、吉野のうまいものを少しずついただける。行楽シーズン以外は、店内飲食の営業を行っていない日もあるので、事前に電話確認するのがベストだ。「お店で召し上がっていただく柿の葉すしは2~3時間押したもの」とご主人。持ち帰って夕飯に食べるのと、翌朝に食べるのでも味が違うという。ぜひ、好みの味を見つけてみてほしい。
    人気の「コンビ(サバ・サケ)10個入り」1600円
  • spot 08
    吉野水分神社
    豊かな自然と子授けの信仰に守られた、霊験あらたかな世界遺産
    吉野山に鎮座する吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)は、安土桃山時代の文化が色濃く反映された美しい社殿が特徴。人々からは親しみを込めて「子守さん」と呼ばれ、古くから子宝の神として信仰を集めてきた。
    参道へと続く大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)に面した鳥居
  • spot 09
    如意輪寺
    吉野山の中千本にある後醍醐天皇ゆかりの古刹
    奈良県吉野山の中腹にあり、裏山には後醍醐天皇の陵墓もあるなど、南朝と深い関わりのある「如意輪寺」。桜の季節になると中千本の桜が一望できる報国殿を目当てに多くの人が訪れる。
    本尊に如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ)を祀る本堂
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旅のヒント

  1. その1

    吉野町までは鉄道で訪れることができる。阿部野橋スタートの場合に特におすすめしたいのは近鉄の観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」に乗車しての吉野旅。車内では、吉野地域の特産品を生かしたメニューや奈良の歴史に関する書籍を閲覧できるライブラリーなどがあり、吉野への旅のテンションを高めてくれる。

  2. その2

    京都駅からは、近鉄京都線-近鉄橿原線-近鉄南大阪線・吉野線を利用して約1時間40分-約2時間10分程度。近鉄京都駅から近鉄橿原線特急の橿原神宮前行に乗車すると乗り換えは橿原神宮前駅での1回だけで吉野駅に到着できる。

  3. その3

    吉野町からさらに奥の吉野地域の各地へ足を延ばすには、車での移動が基本となるが、いくつかのバス路線も利用できる。主要道路は、吉野地域の西部を縦走する国道168号、東部を縦走する国道169号。

  4. その4

    吉野山は観光シーズンには通行止めや一方通行など規制が行われる。臨時のバス運行や山麓での臨時駐車場の開設などイレギュラーが多いので必ず事前確認を。

  5. その5

    冬季は国道168号、169号ともに、峠付近での積雪や凍結が起こりやすい。冬用タイヤやチェーンの準備が必要。

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