伊豆の長八美術館

美術館

緻密で躍動的。漆喰鏝絵(こてえ)の名工・入江長八の描いた芸術

左官といえば建物の壁をいかに平らに仕上げるかが問われるものだが、そこに凹凸をつけレリーフ状に描きさらに彩色を施す漆喰鏝絵。本来の建築装飾から額縁や掛け軸など芸術にまで進化させた長八の作品をとくとご覧あれ。

圧倒的な存在感を放つ「伊豆の長八美術館」 圧倒的な存在感を放つ「伊豆の長八美術館」

日本随一の漆喰芸術美術館

山の緑に映える白亜のモダンな建物。それが1984年(昭和59)漆喰鏝絵の殿堂として開館した伊豆の長八美術館だ。アルハンブラ宮殿をモデルにした印象的な建物は、建築家石山修武氏の設計のもと、全国から総動員した2000人もの有能な左官職人の伝統技術を生かして造られ、翌年には「江戸と21世紀を融合させた建物」として、建築界の芥川賞といわれる吉田五十八賞(第10回)を受賞。左官の技術を再評価させた意義深い建物は世界的な建築物としても注目されている。館内には江戸時代に左官の名工として名を上げた地元松崎町出身・入江長八(いりえちょうはち)の貴重な作品を展示している。

天井ドームに飾られた『花を持つ天女』は現代の職人が製作したもの 天井ドームに飾られた『花を持つ天女』は現代の職人が製作したもの

鏝絵を芸術の域まで昇華させた長八

現代の左官職人からも「神」と崇められる長八。彼は1815年(文化12)8月、松崎の貧農の長男として誕生し、幼少時から手先の器用さを認められ12歳で地元の左官棟梁・関仁助のもとに弟子入りしている。19歳で江戸へ出ると左官で生計を立てながら狩野派・喜多武清(きたぶせい)に付き絵師を志す一方で塑像や彫刻を学び、その技法を左官の漆喰細工に応用した。従来建物の外観を装飾する目的で描かれていた壁の模様に絵具で彩色。左官の技術と絵の画法を組み合わせる長八独自の技法を編み出し漆喰鏝絵を芸術の域にまで昇華させた。26歳のときには江戸日本橋茅場町にあった薬師堂再建にあたり、御拝柱の左右に一対の龍を描き上げると「伊豆の長八」として一躍有名になる。

入江長八 入江長八

作品から伝わる躍動感と緊迫感

長八が1889年(明治22)75歳に東京深川でその生涯を閉じるまでに、浅草観音堂、目黒祐天寺など各地に名作を残したが関東大震災などでその大半を焼失。現在は都内2か所の寺ほか、地元松崎や三島、沼津に残るのみとなり、ここ長八美術館には40点の貴重な作品を展示している。西洋のフレスコ画に勝るとも劣らない壁画技法として高く評価されている長八の作品は、緻密で繊細、そして躍動感や緊迫感が伝わり、細部にいたるまで手を抜かずに描かれているのも特徴。丸みを帯びた女性のしなやかさ、躍動感ある馬、舟に乗る人の表情や着物の模様、ゴツゴツとした山肌、竹のように見える額縁でさえ鏝絵で描かれ、漆喰の存在を忘れさせるほどの芸術ぶりに驚くばかりだ。

モダンで美しい展示室 モダンで美しい展示室

『富岳』1877(明治10)5月。現存する塗額のなかでは最大級の作品 『富岳』1877(明治10)5月。現存する塗額のなかでは最大級の作品

地元に残る長八の作品

館内には長八の代表作「春暁の図」など壁に施された作品のほかランプ掛けや額縁、人物像など幅広い作品が展示されているが、松崎町内にはほかにも作品が残されている場所がある。浄感寺(長八記念館)には、1973年(昭和48)松崎町文化財に指定された『八方睨みの龍』、温泉宿山光荘に残される『青龍』など長八の得意とする龍を題材にした作品も多く、鋭い眼差しで見つめる力強さと躍動感はさすが。その反面、館内の『百福神』といったユーモラスな作品、浄感寺『飛天の像』(2011年静岡県有形文化財指定)や岩科学校の『千羽鶴』のようなやさしいタッチの作品もあり、長八の描く鮮やかな色彩と鏝絵の技術を町のいたるところで堪能できる。

1875年(明治6)、旧岩科村役場6畳間の天井にあったランプ掛け 1875年(明治6)、旧岩科村役場6畳間の天井にあったランプ掛け

旧岩科村役場の壁に描かれた『春暁の図』は清少納言の『枕草子』第299段をモチーフにした長八の代表作。対になる『貴人寝所の図』も展示されている 旧岩科村役場の壁に描かれた『春暁の図』は清少納言の『枕草子』第299段をモチーフにした長八の代表作。対になる『貴人寝所の図』も展示されている

スポット詳細

住所
静岡県賀茂郡松崎町松崎23
電話番号
0558422540
時間
9:00-17:00
休業日
臨時休館あり(基本は無休)
料金
[入館料]大人500円、中学生以下無料
駐車場
あり(50台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
0-30分

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 作品の割には建物が立派すぎる
    3.0 投稿日:2020.08.27
    昭和59年(1984年)、「漆喰鏝絵の殿堂...
  • 入館料が高い
    2.0 投稿日:2020.03.29
    入場料が500円(JAFやWeb等で割引はあり)とそこそこする割には、非常にコンパクトな美術館で、出口付近のビデオを観なければ、正味滞在時間は15分程度でしょうか。正直見所に乏しい感じは否めません。繊細な漆喰絵を見るための虫眼鏡も最初は面白がってみていましたが、だんだん飽きてきます。売りは、駐車場が広くて無料なところくらいでしょうか?駐車場利用のためでなければ、敢えて訪問する価値は疑問です。
  • 一見の価値ありです
    4.0 投稿日:2019.10.12
    雨の場合の観光先を探していて、見つけたところでしたが、調べてみると興味深く、お天気に恵まれましたが、予定に組み入れて行くことにしました。入口で職員の方に説明を受けたあと、用意された虫眼鏡を借りて、解説を読みながらじっくりと作品をみることができました。館内でビデオが上映されており、理解の助けになりました。漆喰芸術、すばらしかったです。

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