江戸東京たてもの園

博物館/科学館

江戸から昭和まで、懐かしい時代へタイムトリップ

江戸時代の古民家から昭和のレトロ建築まで、失われゆく歴史的建造物を保存・展示する野外博物館。スタジオジブリのアニメーション映画『千と千尋の神隠し』のモデルになった建物もある。

昭和初期の町並みを再現した「東ゾーン」の「下町中通り」。正面に見えるのは「子宝湯」} 昭和初期の町並みを再現した「東ゾーン」の「下町中通り」。正面に見えるのは「子宝湯」

皇室ゆかりの土地で貴重な文化遺産を継承する

「江戸東京たてもの園」は、墨田区にある「江戸東京博物館」の分館として1993年(平成5)に開館。小金井公園内にある約7万平方メートルの敷地に、30棟の建造物が移築・復元されている。入り口となっているビジターセンターは「旧光華殿」を改修したもので、もともとは皇紀2600年にあたる1940年(昭和15)に記念式典の会場として現在の皇居外苑に建設された。その翌年この場所に移築され、戦後は空襲で被災した学習院中等科が教室として使用。当時皇太子であられた明仁さまは、「旧光華殿」の西側に設けられた東宮仮寓所(仮御所)で3年半暮らされたという。

正面に「旧光華殿」が建つ「たてもの園前広場」。桜の時期は花見客で埋まる} 正面に「旧光華殿」が建つ「たてもの園前広場」。桜の時期は花見客で埋まる

モダニズム建築や古民家が並ぶ「西ゾーン」

ビジターセンターを通り抜けて園内に出ると、西へ延びる「山の手通り」に面してさまざまな建築様式の住宅が展示されている。「大川邸」は1925年(大正14)に、田園調布に建てられた全室洋間の建物。その左側には「前川國男邸」と「小出邸」が並び、いずれも建物の中に入って見学することができる。また、三角屋根が印象的な「デ・ラランデ邸」は内部がカフェになっているので、優雅な気分でお茶を楽しんでみては。

1910年(明治43)頃にドイツ人建築家によって改築された「デ・ラランデ邸」} 1910年(明治43)頃にドイツ人建築家によって改築された「デ・ラランデ邸」

さらに西へ進むと、茅葺きの家々が並んでいる。江戸時代に野崎村(現在の三鷹市野崎)の名主役を務めた「吉野家」や「八王子千人同心組頭の家」など、まるで昔話に出てきそうな雰囲気だ。内部はかまどや囲炉裏などが再現されていて、当時の暮らしをしのぶことができる。

多摩川を望む場所にあった農家の「綱島家」。古い民家の特徴をよく残している} 多摩川を望む場所にあった農家の「綱島家」。古い民家の特徴をよく残している

昭和史の重要な舞台となった「高橋是清邸」

「センターゾーン」で必見なのが、明治から昭和の初めにかけて財政家・政治家として活躍し、第20代内閣総理大臣を務めた高橋是清(たかはしこれきよ)の住居。港区赤坂の武家屋敷跡に1902年(明治35)に建てられたもので、主屋と玄関が移築復元されている。1936年(昭和11)2月26日未明、是清が青年将校の凶弾に倒れたのもこの家だった。当時の様子を残す日本間にたたずめば、歴史の舞台に立っているという感慨がわき上がってくるだろう。

総栂普請(そうつがぶしん)で建てられた「高橋是清邸」。復元された庭園も美しい} 総栂普請(そうつがぶしん)で建てられた「高橋是清邸」。復元された庭園も美しい

主屋の2階は是清の書斎・寝室として使われ、2.26事件の現場となった} 主屋の2階は是清の書斎・寝室として使われ、2.26事件の現場となった

このほか「センターゾーン」では、尾張藩主徳川光友の正室千代姫が母お振の方(三代将軍徳川家光の側室)を供養するために建立した「旧自証院霊屋」、宗偏流の茶人・山岸宗住が建てた茶室「会水庵」など、歴史を伝える建造物を見ることができる。

昭和初期の町並みを体験できる「東ゾーン」

センターゾーンの東側には、「下町中通り」を中心にして、昔の銭湯や商家などが並んでいる。1929年(昭和4)建造の「子宝湯」は、神社仏閣を思わせる唐破風(からはふ)をもつ、東京の銭湯を代表する建物。その左隣には1856年(安政3)建造と伝わる居酒屋「鍵屋」がある。また荒物屋や乾物店、醤油店などは内部の様子がリアルに再現され、まるで昭和の時代にタイムスリップしたかのような雰囲気だ。

足立区千住元町にあった「子宝湯」。内部は昭和30年代の様子が再現されている} 足立区千住元町にあった「子宝湯」。内部は昭和30年代の様子が再現されている

レトロな建物が建ち並ぶ「東ゾーン」は、スタジオジブリのアニメーション映画『千と千尋の神隠し』のイメージモデルのひとつになった場所としても有名。主人公の千尋と両親が迷い込んだ無人の街は「下町中通り」を、千尋が働く「油屋」の釜爺(かまじい)のいるボイラー室は文具店「武居三省堂」の店内を参考にしたといわれている。ちなみに、江戸東京たてもの園のマスコットキャラクター「えどまる」は、宮崎駿監督が虫をテーマにして制作したものだ。ビジターセンター内のミュージアムショップでは「えどまる」をモチーフにしたオリジナルグッズも販売されているので、帰りに立ち寄ってみよう。

左から2番目が「武居三省堂」。園内には都電7500形などの屋外展示物もある} 左から2番目が「武居三省堂」。園内には都電7500形などの屋外展示物もある

スポット詳細

更新日:2024.04.27

住所
東京都小金井市桜町3-7-1 都立小金井公園内 map map 地図
電話番号
0423883300
時間
[4-9月]9:30-17:30
[10-3月]9:30-16:30
※入園は閉園時刻の30分前まで
休業日
月(祝日の場合は翌日)・年末年始
料金
[入園料]一般400円、65歳以上200円、大学生(専修・各種含む)320円、中高生(都外)200円
※都内在学・在住の中学生・小学生・未就学児童は無料
駐車場
あり(425台)
※都立小金井公園駐車場
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、DISCOVER、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、nanaco、WAON、楽天Edy、Apple Pay、PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、メルPAY、d払い、auPAY、ALIPAY)

情報提供: ナビタイムジャパン

アニメスポット情報

千と千尋の神隠しに登場する、釜爺の仕事場のモデルであると言われている。

※ナビタイム調べ

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クチコミ

  • コストパフォーマンスに優れた穴場観光地
    4.0 投稿日 : 2023.05.19
    地味ながら良い観光スポット。思ったより広い園内に江戸時代から昭和時代初期の街並みが再現されており、タイムスリップした感覚になる。建物は靴を脱ぐのが面倒だが、中を歩き回るのはなかなか楽しい。また企画展もあったりして美術館としての楽しみもある。今回はタイル展を実施しており、貴重且つ芸術的なタイルが展示されていて、興味深く見学できた。全部見学すると結構疲れるが、入場料も安く健康とお財布に良い...
  • 見どころ満載で半日かかってしまいました-いろいろな建物が集約されています-
    5.0 投稿日 : 2023.04.08
    小金井市桜町にある「江戸東京たてもの園」についての情報を発信していきます。「江戸東京たてもの園」を訪れたのは2023年3月29日です。東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」は、平成5年(1993年...
  • レトロ建築ファンにはたまらない!
    5.0 投稿日 : 2023.03.02
    JR中央線武蔵小金井駅から歩き15分。広大な小金井公園の一角にあります。この日は予約なしで入れました。シニア料金200円で好きな建築物が見られるコスパ良いです。ゾーンがが大きく東・西・中央の3箇所に分かれています。看板建築、洋館、モダーン住宅、農家とバラエティーに富んでいます。私のお気に入りの一つが「前川國男邸」です。名建築を設計した自身の邸宅は居心地よさそうな昭和17年作。たっぷりの時間を楽しみ...

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