野島崎
フォトジェニックな見どころ満載の房総半島最南端
南国ムードに包まれた房総半島の突端
館山市の中心部から車で約30分。市街地を抜けてのどかな田園風景のなかを走り、緑多い丘陵地帯を越えると、ごつごつした岩を波が洗う太平洋が見えてくる。天気がよければ周囲の色彩は明るく、関東地方で最も南に来たことを実感できる光景だ。海岸沿いの国道410号線に出てから数分で、野島崎の入り口にたどり着く。
野島崎はかつて、岬ではなく島だった。元禄時代の大地震によって房総半島と陸続きになり、1923年(大正12)の関東大震災で隆起して現在の姿になったといわれる。岬の中央は小高い丘になっており、白亜の野島埼灯台が建つ。その周囲の少し低い場所に、岬を1周できる遊歩道が整備されている。
野島崎のシンボル・野島埼灯台に上ろう
野島崎に向かうと、遠くからもよく目立つのが高さ29mの野島埼灯台だ。1869年(明治2)に点灯した日本で最初の洋式8灯台のひとつで、国内に16基のみの上れる灯台のひとつでもある。その美しさから「白鳥の灯台」とも呼ばれている。
灯台の隣にある展示室「きらりん館」では、日本の灯台の歴史や、灯台の仕組みなどについてわかりやすく展示している。実際に使われていたというフランス製の巨大なレンズが興味深い。チケットは灯台入場料と共通なので、併せて見学しよう。
頼朝伝説の岩屋と最南端のモニュメント
灯台の見学を終えたら、岬をぐるりと1周してみよう。歩いていると、柵にふさがれた大きな岩穴が見えてくる。源頼朝が1180年(治承4)にこの地を訪れた際、突然の雨に降られて身を寄せたと伝えられる伝説の岩屋だ。深海に棲むという海神の大ダコが祀られている。
潮風に吹かれつつ岬の先端近くまで行くと、アフリカ産の黒御影石で造られた石碑と巨石モニュメントがある。これらは地元の彫刻家、太田雅典氏の作品だ。また、石碑近くの岩を見上げると、白いベンチが設置されている。これは「最果てのベンチ(ラバーズベンチ)」と呼ばれ、撮影スポットとして人気の場所。三方を海に囲まれた絶好のロケーションにあり、朝日や夕日の眺めだけでなく、星空が美しく見えることでも知られている。
ほかにもさまざまな見どころがある
岬の南端を過ぎると、かなたまで続く東側の海岸が見えてくる。やがて現れる広々とした芝生の広場に、若い海女の像が立っている。野島崎がある白浜は、伊勢えびやテングサ、アワビなどを採る海女(海士)が約250人いるという「海女のまち」。毎年7月に海女まつりが開催され(2022年の開催は中止)、たいまつを手にした100人近い海女たちが、夜の海で泳ぐ光景が夏の風物詩となっている。
これらのほかにも、灯台の近くには市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を祀る厳島(いつくしま)神社と、海を相手に生きる人々の工芸品や生活用品を展示する白浜海洋美術館がある。また、周囲に飲食店が集まる岬入り口の港からは、野島崎海底透視船が運航している。船底の一部がガラス張りのグラスボートで、約20分間の遊覧の間にさまざまな海の生き物を観察可能。見どころ盛りだくさんな野島崎。ぜひ時間をたっぷりとって楽しみたい。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン