明治洋風建築の白眉「迎賓館赤坂離宮 本館」の美しさに魅了される


2018.11.15

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東京の元赤坂にある迎賓館赤坂離宮。その名の通り、元々は東宮御所として建てられた離宮ですが、現在は国の迎賓施設として外国からの賓客の接遇等に使用されています。明治洋風建築の到達点ともいえる華麗な建築の本館は、まるでヨーロッパの宮殿のようです。その魅力をご紹介しましょう。
迎賓館赤坂離宮の顔「前庭」と「玄関ホール」
迎賓館赤坂離宮は、明治42(1909)年、当時の皇太子(後の大正天皇)のために造られた、日本唯一のネオ・バロック様式の宮殿建築。設計したのは、日本近代建築の父とも呼ばれるジョサイア・コンドルが教えた最初の学生の一人、片山東熊です。
戦後、建物の管理は国に移管。太平洋戦争では空襲被害などを受けましたが、1960年代の「昭和の大改修」を経て、昭和49(1974)年に、迎賓館として新たな命を吹き込まれます。平成21(2009)年には、本館、正門、主庭噴水池などが国宝に指定されました。
現在、接遇のある日などを除いて、一般公開されています。昭和49(1974)年に新たに作られた和風別館は要予約ですが、本館は予約なしで入れるので、気軽に訪れられます。日本にいることを忘れてしまいそうな、華麗な内装は必見です。
※館内は撮影禁止です。
こちらに見えるのは、館内正面玄関の扉。このドアの向こうには、壮麗な玄関ホールがあります。玄関ホールは、海外からの賓客を出迎える最初の場所。見学者は入ることはできませんが、ガラス越しに豪華な深紅の絨毯や大理石の柱などを伺い見ましょう。中央の赤い絨毯は、迎賓館の職員でさえ踏むことが許されていないのだそうですよ。
賓客をお迎えする際には、出迎える側は中央階段を下りてきて、玄関ホールの中央でぴったり出会えるように計算しているのだとか。
玄関の扉を通ると、中央階段があり、2階の大ホールへと続いています。勿論見学客は通ることはできませんが、階段の左右に張られている豪華な大理石などを見ながら、VIPになった気分で、歩くのを想像してみましょう。
尚、公開日には館内の各所で常時解説が流れている他、非常に詳しくて親切なボランティア・ガイドもいますので、ぜひ色々と聞いてみましょう。また、有料の音声ガイドを借りることもできます。
晩餐会用の部屋「花鳥の間」
晩餐会が開催される「花鳥の間」は、着席で最大130人も入れる大きな部屋。また、主要国首脳会議などで使われることもあるそうです。
ここの内装は、16世紀後半ルネサンス期のフランスのアンリ2世様式。柱などの直線や平行線を利用した、落ち着いた雰囲気の部屋となっています。
厳かな雰囲気が印象的なこちらは、木製彫刻の大食器棚です。
迎賓館赤坂離宮の内装は、主にフランスの宮殿をモデルにしており、家具や天井画なども多くはフランスから取り寄せています。豪華なシャンデリアもフランス製。部屋によってシャンデリアのデザインも違うので、注目してみましょう。
柱の脇に楕円形の額が見えますが、実はこれは七宝焼。この部屋の壁には、花と鳥を描いた30枚の七宝が飾られています。明治時代の画家・渡辺省亭による下絵を、当時の七宝焼の第一人者、涛川惣助が七宝焼きにしたもの。鑑賞の際は繊細な表現に注目しましょう。花びらの1枚1枚や、羽毛の様子まで見事に再現され、絵画と見紛うほどですよ。
※掲載されている写真は、2018年10月6日(土)まで開催されていた特別展仕様となっており、通常公開時の仕様とは異なります。
金・赤・白の華麗な小部屋「彩鸞の間」
次にご紹介するのは「彩鸞(さいらん)の間」。先ほどの「花鳥の間」とは雰囲気が変わり、白・金・赤の華麗な装飾の部屋となっています。この部屋では天井に注目。まるで天幕のようなドーム型の天井は、ナポレオン一世時代に流行したアンピール様式が取り入れられていて、野戦の天幕をイメージしているそうですよ。
こちらは、来客の控えの間や、条約などの調印式にも使われる部屋。それぞれの部屋には、実際に接遇に使われている時などの写真も飾られています。
この部屋には、フランス風のインテリアの中に、ところどころ日本のモチーフがあるので探してみましょう。よく見ないと気づかないほど、違和感なく溶け込んでいます。
「彩鸞の間」という名前は、鸞(らん)という、中国の伝説の鳥に由来。国が平和で繁栄している時に現れるといわれる鳥で、この部屋の暖炉と大鏡にそのレリーフがあります。
ここで、動画で館内の様子を少しご紹介しましょう。先ほどの中央階段の脇、2階の大ホールの部分です。360°動画なので、見ながらマウスでドラッグしてみてください。中を歩いている気分で、前後左右も見ることができますよ。
格式高い「朝日の間」と、かつての舞踏室「羽衣の間」
上にご紹介した動画は、ここの部屋の前でストップしています。中央階段を上がって正面にあるこちらは「朝日の間」。天皇皇后両陛下が賓客とご挨拶されたり、首脳会談が行われたりする、迎賓館で最も格式の高い部屋です。現在は改修工事のために閉室中で、平成31(2019)年4月以降に公開再開が予定されています。
部屋の入り口の左右には、昭和の大改修の時に描かれた、小磯良平による《美術》と《音楽》の油彩画が飾られています。
最後にご紹介するのが「羽衣の間」。「花鳥の間」とほぼ同じ広さというこの部屋は、歓迎式典や晩餐会の前のアペリティフを振る舞う場。正面にはオーケストラボックスがあり、演奏会に使われることもあるそうです。
ここはかつては「舞踏室」と呼ばれており、近代日本初の社交会場、鹿鳴館の舞踏室と同じぐらいの広さなのだとか。鹿鳴館は今は残っていませんが、同じ明治期の建物ということで、往時を想像するのも楽しいですね。
迎賓館で最大、最も豪華なシャンデリアが、「羽衣の間」の3基。バカラ社のクリスタルガラスやボヘミアン・グラスなどが使用され、1基が7000ものパーツでできているそうですよ。
シャンデリアをよく見ると、仮面や楽器、鈴など、舞踏会場にふさわしいモチーフが選ばれています。この部屋は、壁の装飾にも楽器などが描かれていて、用途に合わせた装飾となっています。
噴水のある主庭は撮影スポット!ライトアップも必見
こちらは、記事1枚目の写真に載せた前庭の反対側にある「主庭」。亀やシャチ、伝説の生物グリフォンなどの豪華な彫刻で飾られている噴水は、国宝に指定されています。館内は撮影できませんが、前庭と主庭は撮影自由なので、ぜひこの景観を写真に収めましょう。
退出時には、前庭を通って正門から出ることもできます。写真では遠くに見える正門は、ヴェルサイユ宮殿などのフランスの門牆をモデルにしています。
また、前庭では最近話題のアフタヌーン・ティーを頂くこともできます。迎賓館の美しい建物を眺めながら、贅沢な気持ちでティータイムを過ごすのもオススメです。
※前庭のアフタヌーン・ティーの詳しい情報については、この記事の一番下にある「関連MEMO」をご覧ください。
華麗な迎賓館赤坂離宮の本館、いかがでしたか? この建物の魅力に惹かれて、何度も訪れる人も少なくないのだとか。
最後に夜間公開のご紹介です。迎賓館赤坂離宮は、年に何度か、連休の時などに夜間公開を行っています。その時にはご覧のようにライトアップもされるので、暗い夜を背景に幻想的な本館の姿を見ることができます。
滅多にない夜間公開ですが、日程が決まると公式サイトや公式Twitterで告知されるので、お見逃しなく。
直近では、2018年12月22日(土)から24日(月)に夜間公開が予定されています。是非来館してみてはいかがでしょうか。 

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迎賓館赤坂離宮
place
東京都港区元赤坂2-1-1
phone
0357287788
opening-hour
[庭園受付]10:00-16:30(閉館17…
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