温泉に入れる美術館・箱根「平賀敬美術館」の時を止める世界観


2017.10.27

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「平賀敬美術館」は箱根湯本に建つユニークなアートスポット。画家・平賀敬の作品と、貸切風呂の源泉掛け流し温泉と、国の登録有形文化財の建物が全部楽しめて、さらに賑わう箱根湯本の駅前とは、まるで違った独特の時間の流れも感じることができるかも!
箱根湯本に建つ平賀敬美術館
こちらをねめつける仮面のような表情、毒々しいまでに鮮やかな色彩、風変わりなポーズ・・・エロティックな中にもどこか死の臭いを漂わせる独特の画風は、一度目にしたら忘れられません。
1936年東京の板橋に生まれた画家の平賀敬は、29歳で渡仏し、15年ほどをパリで生活しました。帰国したのちは神奈川の大磯に居を構え、その後彼が晩年を過ごした箱根湯本の邸宅は、今は夫人が守る平賀敬美術館として公開されています。
平賀敬美術館の建物は、箱根湯本駅から徒歩7分ほど。山を背にした閑静な一角にあります。
老舗旅館・萬翆楼 福住の別荘として建てられた明治時代後期の建築で、2003年には国の登録有形文化財に指定されました。
もし玄関に誰もいなければ、置いてあるハンドベルを鳴らしてください。美術館の入館料は大人一人700円ですが、入浴料込だと1,800円。
そうなのです。この「平賀敬美術館」は、温泉に入浴できるとても珍しい美術館なのです。
画家・平賀敬の作品にひたる
親の反対で美大への進学が叶わなかった平賀敬ですが、東京オリンピックが開催された1964年、第三回国際青年美術家展で大賞を受賞しパリ留学を果たしました。五月革命に揺れるパリを体感したことは、彼の作品に大きな影響を及ぼしたことでしょう。
そんな彼のアバンギャルドな作風は、日本よりもむしろフランスでもてはやされました。写真はパリ時代の個展ポスター『H氏の優雅な生活』。上が原画で下がポスターですが、ポスターは既にほとんど現存していない貴重なものです。
平賀敬美術館の奥には内側を板張りにした石蔵があり、この中にも展示作品が。ここは一風変わった展示スペースとなっており、時々展示内容は変わります。また、こちらの石蔵も登録有形文化財の一部です。
あの要人も入浴した平賀敬美術館の温泉
平賀敬美術館の温泉は貸切り風呂。内風呂が一つだけですが、実はとても貴重な浴室です。
かつて山縣有朋、近衛文麿、三条実美、伊藤博文、犬養毅、井上馨といった名だたる明治時代の元勲たちが入浴したと聞けば、どのくらい特別なお風呂なのかわかっていただけると思います。
浴室はスペイン産の大理石製。天井をよく見ると、左右にも元々は別の浴室があったことがわかるかもしれません。右は武人用、左はお女中用。現在は殿様用だった中央の浴室だけが使われています。
温泉は裏山で湧いているものを引いてきて、水も温度も何も手を加えずに注がれます。この建物を所有する旅館・萬翠楼 福住の源泉と共通で、箱根でも歴史あるお湯のひとつです。
陶製の枕に頭をのせてゆったりと入浴していると、まるで現代の賑わう箱根とは、時間も空間も違う場所にいるようです。ふと目線を上げれば窓に鉄格子がはまっているのに気付くでしょうか。要人が利用した浴室故に、こうした暗殺防止の工夫が凝らされているのです。
ここは特別な時間の流れる美術館
美術品を鑑賞し、温泉を堪能した後は、お茶とお菓子をいただいて一休みすることができます。四季の移ろいを見せる庭を眺めながら、くつろいでくださいね。
箱根湯本の平賀敬美術館はとても不思議な時間の流れるところです。生と性と死を描いた画家・平賀敬の世界にひたり、そうそうたる明治の要人が入った温泉に浸かり、国の登録有形文化財の日本家屋で休憩する・・あなたの知らなかった箱根がここにあるかもしれません。 

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