愛媛県大洲は「伊予の小京都」と呼ばれる江戸時代から明治にかけての町並や、昭和レトロな博物館、伝統的な産品を現代風にデザインして販売している物産館など様々な時代を巡ることができる日本でも貴重なエリアです。また肱川という大きな川や山間部ならではの地形が生み出す自然の美しさも有名で瀬戸内の観光スポットとして注目されています。愛媛の県庁所在地松山から電車で約35分。自然に抱かれながらタイムスリップできる大洲の魅力をご紹介します!
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情緒ある町並みを散策
大洲中心部は江戸情緒と里地らしい風情ある町並みが融和する小道が広がっています。様々ある観光ポイントがほぼ徒歩圏内で巡れるのもこのエリアの良いところで、昔から残る町割りは武家屋敷と商家が通りを挟んで建ち並ぶ小京都らしい風情が目に入ります。また里地らしい雰囲気もあるのでドラマのロケ地にも選ばれることが多く、有名なトレンディドラマ「東京ラブストーリー」では主人公の実家という設定で使用されています。昭和の朝ドラ「おはなはん」のロケ地にちなんだ「おはなはん通り」も散策に欠かせないスポットです。
小京都の町並
有名なドラマ、東京ラブストーリーロケ看板も
古き良き町並みを巡るにはエリア中心部にある大洲まちの駅「あさもや」からのスタートがおすすめです。こちらは観光案内はもちろん町並みを走る人力車や肱川の遊覧船の予約などもできます。またお菓子や散策のおともになりやすい軽食などがあるので大洲に入ったらまずここに訪れて情報収集などの準備をするとよりエリアが楽しめます。バス停は目の前で、車でのアクセスの場合も駐車場が無料で広いのでまさに町巡りの拠点になります 。
「あさもや」外観
大洲ならではのお土産がたくさん
周辺の予約制駐車場
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明治の匠、傑作の建築「臥龍山荘」
江戸情緒あふれる小道を進むと大洲市に流れる肱川へ。その流域に佇むのは明治時代に完成した「臥龍山荘(がりゅうさんそう)」です。非常に情緒的な建築物で大洲出身の貿易商・河内寅次郎の別荘として建てられました。江戸時代には大洲歴代の藩主が肱川を景勝地として愛されていた土地ですが、明治に移り荒れ果ててしまっていました。そこで河内寅次郎がその土地を購入し大洲の棟梁・中野虎雄や京都からの名工千家十職の手によって構想10年、着工から3年8か月の歳月をかけて完成させた名建築物は、随所に非常に手の込んだ造りと豊かな工夫が満載で見ごたえ抜群です。近年では日本を紹介するフランスのガイドブックでも紹介され注目度が高まっています。
情緒あふれる庭園と外観
重要文化財にも指定されている
臥龍山荘には母屋の「臥龍院」と茶室の「不老庵」、「知止庵」で構成されています。まず入口は母屋の臥龍院からで、その内部は非常に手の込んだ造りとなっています。いくつかの部屋がありその中の1つ「清吹(せいすい)の間」は別名「夏の間」と呼ばれており、北向きで風通しが良く天井を高くしたり、床には藤の敷物を敷くなど快適に過ごす工夫が随所に見られます。そして見事な透かし彫りの欄間があり見た目にも涼しさを生み出しています。この部屋には四方に四季それぞれの細工が施してありどの方角を向いても趣を楽しむことができます。
「清吹の間」の透かし彫り欄間。清流と筏流しで春を表現
さらに母屋内部を進むと「霞月(かげつ)の間」があります。こちらは複数ある他の部屋の中でも少し雰囲気が異なり、あえて灰色の色彩で夕暮れの薄暗くなったころ合いを「侘び」として表現しています。床の間に富士山の掛け軸があり、その前にあえて違い棚を設けて霞が富士山にたなびく様子を表しています。さらに丸窓の向こう側は仏壇があり蝋燭をともすと満月のように見えるとのこと。あえて素朴に仕上げられた部屋に粋を感じる計算された工夫がみられ名工の発想力と技術の高さを感じます。この他にもたくさんの見どころがあり、ゆっくりと過ごすことができる母屋は時間をとって訪れるのがおススメです。
「霞月の間」床の間など随所に工夫がたくさん
そして肱川を望む素晴らしい景色が見られる茶室「不老庵」は母屋をでて奥に位置します。石垣の上からせり出すように建てられていて、全体を屋形船に見立てた造りの室内から外を望むとまるで船に揺られているかのような雄大な景色が広がります。明治時代は目の前に広がる川を帆掛け船が盛んに行き来していたそうで、かつての景色を想像するとまた茶室の趣が深まります。建築事態の美や工夫の驚きなど様々な角度から楽しむことができる臥龍山荘は大洲にきたら必ず訪れたいポイントです!
不老庵からの景色
不老庵外観
周辺の予約制駐車場
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昭和レトロや伝統工芸雑貨巡り
大洲の特徴は江戸、明治大正そして昭和から現代へと様々な歴史の移り変わりが1つのエリアで見られるところ。続いてご紹介する「ぽこぺん横丁」は臥龍山荘から徒歩5分くらいの場所にあります。昭和30年代をイメージしたレトロ漂う空間はある年代には懐かしく、またある年代には新鮮な雑貨たちが展示されています。横丁内にある「思ひ出倉庫」はまさに昭和の民家そのままに、中に入ると完全にタイムスリップしてしまいます。人が住んでいるのではないかと思ってしまうくらい生活感あふれる展示は必見!文字通り時間を忘れてしまいます。入場料は大人200円、子供100円(共に税込み)です。
昭和の夕暮れのような通路
昭和の民家そのままの展示
ぽこぺん横丁のすぐ隣にはレンガ造りの「おおず赤煉館」があります。こちらは明治34年に大洲商業銀行として作られた建物で館内にはこの地域の工芸品や特産品の販売、休憩スペースやギャラリーが設けられています。開放的な空間に雑貨屋さんのような陳列がされており、伝統工芸品というとなんとなく古いイメージですがこちらに陳列されてる商品は非常にオシャレな印象。例えば手書きの繊細な文様が味わい深い「砥部焼(とべやき)」や自然がもたらした美しい水からつくられる「五十崎手漉き和紙」などデザインもかわいく手に取りやすいです。お気に入りの一品を探しに立ち寄るのもおすすめです!
おおず赤煉館外観
砥部焼の商品
五十崎手漉き和紙の商品
周辺の予約制駐車場
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時代の移り変わりを巡りに大洲へ!
古き良き景色や文化から現代への歩みを巡ることができる大洲は散策すると様々な発見があります。また歴史を育んできた大洲は豊かな自然にも注目すべき。秋から春にかけては早朝に霧が出やすい地形で非常に美しい雲海を望むこともできます。早朝からゆっくり巡れる大洲へぜひ訪れてみてください!