【滞在記】「忘れの里 雅叙苑」で味わった“また食べたくなる”鹿児島の郷土料理


2020.03.06

一休コンシェルジュ

鹿児島県・霧島は、霧島連山を望み、天降川が流れる自然豊かな地。客室数がたった10室のまるで村のような宿が、ここにひっそりと佇んでいます。前回の「【滞在記】霧島連山を望む原風景に癒される露天風呂付き客室発祥の宿」では、宿の施設やここだけしか体験できない「ラムネ温泉」、「お風呂リビング」などを紹介いたしました。
今回は、実際に触れて味わったお宿の“食”にスポットを当てご紹介いたします。川のせせらぎ、鳥のさえずり、自然豊かな地「忘れの里 雅叙苑」があるのは、鹿児島空港から車で約15分の場所。宿泊だけではなく、カフェやランチと湯浴みが一緒になった(日帰り用)プランもあり、旅人にはうれしいお宿です。車でたった15分ほどというアクセスが良い環境ながら、一歩敷地内に入るとそこは数十年前にタイムスリップしたかのような景色が広がります。現代では味わえない非日常の世界。宿に着くと、まず案内されるのがここ「喫茶食処 不忘舎」。土壁や柱、梁、現在ではなかなか出会うことのできない設えです。デザイン性があり居心地の良さと温かさを感じます。宿泊者は、こちらでお着き菓子をいただけます。私がいただいたのは、そば粉で作ったよもぎ饅頭。中にはサツマイモの餡が入っています。そしてぜんざいと霧島茶。甘さが絶妙で、正直あと3つくらい食べても食べ飽きません。直営の養鶏場、自家菜園の自給自足の食材敷地内には草木や花が植えられ、私が伺った2月上旬には梅の花が咲いていました。お宿では、日帰りのお客様や連泊のお客様のためにランチも提供しています。少し早く着きすぎてしまい夕食まで時間もあったので、ランチをいただくことにしました。お昼の定食は7種類あり、私は「西郷どん」をいただきました。自家牧場(お宿の養鶏場)で元気に育った鶏肉と卵の鶏丼です。通常の親子丼とは異なり、ニンジンや小ネギも入って色合いも豊か。使用しているお野菜は、ほぼすべて自家菜園のもの。天候などの影響で採れない場合は、地元で採れた新鮮なお野菜を使用するそうです。かなりのボリュームでしたが、野菜は甘く、歯ごたえも残っていておいしい。鶏肉は柔らかくてジューシーで、気がついたら完食していました。魚影が見える美しい天降川のせせらぎを聞きながらお宿のそばには天降川が流れています。透明度がとても高い川で、魚影をはっきりと見ることができます。アユの稚魚の漁獲量が日本でトップクラスと言われており、初夏になるとアユを使ったメニューもいただけるそうです。散歩から戻ると囲炉裏小屋におやつが用意されていました。小麦粉と黒砂糖、ふくらし粉で作られた「ふくれ菓子」。フワフワしていて柔らかくて、しっとりとしたスポンジの懐かしい味わい。お土産処でも購入可能です。もちろん保存料は入っていません。なので、購入後は早めにいただきましょう。お腹を空かせたはずが、おやつに出会ってしまって、またお腹いっぱいに。また少し散歩していると、ニワトリのオスとメスがいました。お宿のマスコット的な存在にもなっているニワトリ。人が近づいても逃げません。触れることはできませんが、おとなしくてかわいらしい子たちです。食材にこだわり、この宿だからこそ味わえる逸品たち夕食の時間が近くなると、かまどのある調理場が慌ただしくなってきます。こだわり抜いた食材は、一番おいしい調理方法でいただけます。一品一品手を抜かずに丁寧に調理をされていました。夕食と朝食はこちらの食事処で。天降川を見下ろしながら、どこか懐かしさを感じる設えの中、ゆっくり2時間ほどかけていただきます。お箸は竹、箸置きはお宿の敷地内で採れたお花。この日は、ホトケノザとネコヤナギ、菜の花でした。サラダは、お宿近くの天空の森で栽培された無農薬有機野菜を自家製のゴマダレで。新鮮ではないと食べられない鳥刺しはササミ、モモ、ハネミの3種類。ポン酢かお醤油でいただくのですが、そのままでもおいしい。柔らかい身を噛むたびに、うま味が溢れてきます。自家牧場で発酵飼料を食べて元気に走り回って育ったから、このおいしさなのだそうです。お刺身はきびなごの酢味噌和え。「かごんま鍋(だご汁)」には、鹿児島の黒豚と地鶏団子、サツマイモのでんぷん粉を使ったプルンとしてもちもちの団子、そしてたくさんの野菜が入っています。こちらはお好みで柚子胡椒を入れていただきます。夏には「おすまし」で提供されるそうです。「味噌田楽」と「黒豚の角煮」。ちょうど宿泊されていた常連の方が、「この味噌田楽はホントおいしいよね。大好きなんだよね」とおっしゃっていました。たしかにおいしい。角煮もホロホロと柔らかく、しっかり味がしみ込んでいました。残ったタレはご飯にかけたいくらい。「炭火焼き」はモモ、ムネ肉、レバー。炭の香りが相まって美味。お野菜は自家製豚味噌でいただきます。豚味噌は白米によく合いそう。こちらも売店で売っていますので、要チェックです。フライドオニオンの下には「鹿児島の黒毛和牛」。肉汁がおいしい。お肉も最高なのですが、大根おろしがとてもおいしかったです。口に入れると、フレッシュな大根の汁が広がってさわやかな余韻を残してくれる。お肉にピッタリですが、これだけ食べてもおいしい。ユキノシタ、ミツバ、ヨモギなど「摘み草揚げ」。サクサクッと心地よく春を感じさせます。ご飯と汁物は、さつま揚げやかまぼこ、ニンジンなどが入った炊き込みご飯とゴマ汁。お米のおいしさが炊き込みご飯となってもわかります。炊き加減がちょうどいい。お腹いっぱいになり囲炉裏の方へ行ってみると、お宿のサービス「黒ぢょか」が振る舞われていました。「黒ぢょか」とは、焼酎を水で割り、平べったい陶磁器の土瓶に入れ、弱火で温めたもの。こちらをその日宿泊されていたほかの宿泊者と酌み交わしながらお話をします。“一期一会”を大事にしたいというお宿の思いから始まったこのサービス。私がお話しさせていただいたご家族は、お母様と兄弟ご夫婦でご宿泊されていた素敵な方々。「いろんなお宿に泊まったけどここは良い、来年も来よう」とおっしゃっていました。旅にこういった出会いがあるのは、思い出にもなって良いですね。朝食は、ニワトリのお知らせとかまどの煙とともに朝の5時半。朝食の用意をしているところも見させていただきました。お米を炊くのは朝6時ごろ。天空の森にある木々を薪として使用します。火が付きやすい杉の葉っぱを利用して、火を大きくしていきます。釜はお米3升も炊けるそう。約30分、水蒸気と火を見ながら炊いてきます。「おいしそうでしょう」とニッコリのスタッフさん。ふたを開けると湯気とともに炊き立てのお米のいい匂いが。朝食は、焼き魚にするお魚をサバやキンメダイなど数種類から一つ選びます。有精卵を使った卵料理も目玉焼き、卵焼き、卵とじなどから選べます。箸置きがシシトウというかわいい演出。ご飯は先ほどの炊き立てのサツマイモが入った白米と玄米が。卵は目玉焼きを選びました。黄身は白っぽく自然な本物の卵。味わいも濃く、何もかけずにいただけます。そしてお米がおいしい。11月から3月くらいまでは、自家菜園で収穫したお米がいただけるそう。数に限りがあるのでこの時期にしか味わえない貴重なお米です。具だくさんのお味噌汁は、お宿の方がよそってくれます。このサービスも心がほっこりしました。お宿のチェックアウトは昼の12時まで。チェックアウトをさせていただいたら、おにぎりと卵焼きをお昼の軽食としていただきました。なんという心遣い。おにぎりの具は、お宿自家製の梅干し。おこげもあって良い香りでおいしくいただきました。“食”だけでも訪れてよかったと感じる宿はそう多くはありません。「忘れの里 雅叙苑」は、施設・客室も素晴らしい。そして食も素晴らしい宿。ここだけにしかないものを味わいに、またこの里に帰ってきたいと思いました。 忘れの里 雅叙苑 鹿児島県/妙見温泉 詳細情報はこちら  

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忘れの里 雅叙苑
rating

4.0

10件の口コミ
place
鹿児島県霧島市牧園町宿窪田4230
phone
0995772114
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