アーティゾン美術館で「野性」を感じる。現代美術家・鴻池朋子の個展開催


2020.03.27

Harumari TOKYO

何か、未知のものを見て驚きたい。壮大なものを見て、圧倒されたい……。そんな思いがある人にはぜひ、鴻池朋子の作品をおすすめしたい。鴻池朋子(こうのいけ ともこ)は、従来の美術手法だけでなく、歌や語りという音声言語、玩具や手芸という身近な生活の行為や手立てなども表現方法として、狩猟採集という人間の文化の「原型」を再考し続けてきた美術家だ。《Dream Hunting Grounds》「ハンターギャザラー」展示風景 2018 年 秋田県立近代美術館《Dream Hunting Grounds》「ハンターギャザラー」展示風景 2018 年 秋田県立近代美術館本展は、野性や原始を感じる鴻池の作品が、アーティゾン美術館のコンセプトである「創造の体感」と掛け合い、全身で作品を感じ、視点を軽やかに「ちゅうがえり」させるような構成となっている。《皮緞帳》「根源的暴力」展示風景 2015 年 神奈川県民ホールギャラリー見どころのひとつは、本展のための新作インスタレーションだ。円形の大襖絵を囲むように作られたスロープの周辺には、森羅万象を紙で象った影絵燈籠が置かれ、作家の声によるオオカミや風や雪女などの人間以外の生き物の音が響く。視点の移動による新しい鑑賞を生み出すという。《皮トンビ》瀬戸内国際芸術祭 2019 展示風景そして、瀬戸内国際芸術祭2019で発表された「皮トンビ」も展示される。その名の通り皮革に描かれた作品で、幅12m、高さ4mの大作だ。約1年もの間、山の中で雨や風にも晒されていたというこの作品。本展では、その経年変化した姿を見ることができる。側には、アーティゾン美術館に収蔵されている、クールベルの「雪の中を駆ける鹿」や、シスレーの「森へ行く女たち」が設置される。室内ではあるが、野生の気配が感じられる空間となる。《ツキノワ》2018 年(参考図版)《ツキノワ 川を登る》映像 2018 年(参考図版)また、各展示室の間には、熊や狼の毛皮、木、ビニール、陶物、毛糸などの素材がぶら下がり、森の小径を表現した。それらをくぐり抜けることで、それぞれの体に眠っている原初的な感覚を得られる趣向となっている。視覚以外にも触覚、嗅覚、聴覚など、身体全体で体感することを、鴻池は「みる誕生」と名付けているという。作品に触れることで新たな感覚が呼び起こされそうな本展に、足を運んでみてはいかがだろう。 

read-more
アーティゾン美術館
place
東京都中央区京橋1-7-2
opening-hour
10:00-18:00[金]10:00-20:00※…
no image

この記事を含むまとめ記事はこちら