住吉神社
うっそうと古木の茂る神社で奉納される壱岐神楽
天然記念物のクスノキ
住吉神社を訪ねると、まず鳥居のたたずまいに目をひかれる。古い、といえばそれまでだが、その雰囲気は長い歴史をそのまま表していて強く印象に残る。境内に入ると、今度はクスノキの大木がそびえている。市指定の天然記念物で、江戸時代末期にはすでに大木へと成長していたという。本殿の近くにもクスノキが立っている。こちらは根元の部分から幹が二股に分かれていることから「夫婦楠」として親しまれている。「夫婦楠」も市指定天然記念物だ。クスノキは次々と新しい葉が出てくる常緑樹であるため、子孫繁栄の象徴として考えられてきた。また長寿、縁結びの神様と考えられ、男性は左回り、女性は右回りでこの木を1周すると、願いが叶うとされている。居合わせた若いカップルも団体のシニアたちも、目通り直径約7mの「夫婦楠」を楽しそうに回っていた。
最古とされる住吉神社
712年(和銅5)に編纂された『古事記』には国生み神話が出てくるが、淡路島、四国、隠岐島、九州の次の5番目につくられたとされるのが「伊伎嶋」、つまり壱岐だ。また927年(延長5)に編纂され天皇に奉じられた『延喜式』には、壱岐島内に鎮座する24の神社が格式の高い社(やしろ)として記載されている。現在、壱岐には神社庁に登録されている社は150以上ある。壱岐の住吉神社は神功(じんぐう)皇后の三韓征討にゆかりがあるとされる。底筒男命(そこつつのおのみこと)、中筒男命(なかつつのおのみこと)、表筒男命(うわつつのおのみこと)の住吉三神を祀る神社は、住吉神社などの社名で日本各地に約600社あるが、その最古が壱岐の住吉神社とされる。明治時代、住吉神社は壱岐で唯一の官社(国が経費を出すなどする格式の高い神社)となり、大阪、下関、福岡の住吉神社と並び「日本四大住吉」と称されている。
12月20日に奉納される大大神楽
壱岐の神社で忘れてならないのは「壱岐神楽」だ。神楽は神々に奉納する歌や踊りのことで日本各地に伝わっている。だが「壱岐神楽」は舞も音楽も神職だけで行い、約700年の伝統と歴史を誇っていて、国の重要無形文化財に指定されている。口頭でのみ伝承されてきた「壱岐神楽」は、秋から冬にかけて島内の各神社で毎日のように奉納されるが、年に2回、12人以上で奉納される大大神楽が開催される。各神社の「壱岐神楽」は公開されていないものもあるが、大大神楽は観光客も見ることができる。8月の第1土曜には「筒城浜(つつきはま)ふれあい広場」で18時から、そして12月20日には住吉神社で14時から奉納される。大大神楽は6時間以上に及ぶとされ、静かな動きの舞から激しい舞まで多彩な演目が続く。神楽への漠然としたイメージは、「壱岐神楽」で大きく変わるに違いない。
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情報提供: ナビタイムジャパン