落雁 諸江屋

色と形で日本の侘寂を表現した「わび(1080円)」

妙立寺から南大通りに出て、南に徒歩3分に位置する、その名のとおり落雁に特化した老舗和菓子店。江戸時代末期、加賀藩の下級武士だった初代・嘉平がその身分を捨て、京都の菓子屋で修業を積み、故郷の金沢に戻り現在地で生落雁を主力に創業したのが1849年(嘉永2)だという。通常の落雁だけでなく生落雁や焼き落雁なども手がけ、今も変わらぬ創業からの伝承銘菓がある一方で、ココアを使った現代的な落雁などもあり、バリエーションも彩りも豊かだ。もちろん落雁だけでなく、最中や羊羹、煎餅なども手がけており、どれも地元では好評を得ている。現在の6代目店主には、和菓子の歴史研究家としての一面があり、古文書を基に藩政期に藩主らが口にした「御用菓子」を復刻させてもいる。また、店舗の隣には、創業時からの菓子見本帳などの古文書類、時代蒔絵を施した菓子器、落雁の木型といった和菓子に関する資料を展示する落雁文庫があり、店員にひと声かければ中を見学できる。

重厚感のある店構え

店内にはバラエティに豊んだ落雁が並ぶ