海の公園

ビーチの砂は千葉県の山から運ばれてきた土砂でできている

八景島と野島山を望む遠浅のビーチ

海の公園は広いので、金沢シーサイドラインの最寄り駅は3つある。東から、海とのふれあいセンターや磯場に近い「八景島駅」、なぎさ広場やビーチバレーコートに近い「海の公園柴口駅」、BBQセンターや犬の遊び場に近い「海の公園南口駅」だ。どこで降りても徒歩2分もあれば海へ出られる。波の静かな遠浅のビーチはいつも子ども連れでいっぱい。右手にはこんもりとした野島山が見えている。時折遠くで悲鳴が聞こえると思ったら、隣接する横浜・八景島シーパラダイスのアトラクションからだった。そちらに向かって歩いて行くと岩がごろごろと配置された磯場があり、親が子どもよりも夢中になってヤドカリやカニを探していた。

駐車場は2か所。繁忙期には臨時駐車場もオープンするが、それでも大型連休や潮干狩りシーズンは朝のうちに満車になる

ウインドサーフィンやSUPの出入口は海水浴エリアと分けられている

ビーチ復活プロジェクト

海の公園の砂浜は自然のものではない。埋め立てで失われた海岸線を取り戻すために造成された人工の砂浜だ。横浜の発展を支えてきた沿岸部の重化学工業地帯や港は、そのほとんどが埋め立て地。国際的な交易都市への躍進と引き換えに、自然の海岸線は失われ、横浜市民は海水浴も潮干狩りもできなくなっていた。そこで横浜市は、人口が急増していた市の南端の金沢区に市民が海と親しめる公園を整備。砂浜、芝生の広場、樹林地からなる広さ47万㎡の「浜部」は海の公園となり、レクリエーション施設のための「島部」は八景島になった。1988年(昭和63)の夏、海水浴場のオープンに市民は大喜びだったという。

6面あるビーチバレーのコートは日の出から日没まで誰でも自由に利用できる

マリンスポーツからドッグランまで

「年代を問わず楽しめる市民の憩いの場を」という横浜市の狙いは大成功のようだ。海のレジャーだけでなくジョギングやストリートバスケットも人気だし、サッカーなどのできる天然芝のグラウンド、幼児用の水遊び広場、ドッグラン、手ぶらで楽しめるBBQセンター(予約制)も多くの市民に利用されている。白砂青松を目指したというだけあって、よく手入れされた植栽も見事。ビーチ沿いのクロマツは防風林としての役目も担っているそうだ。桜の木も多いので、早春にはつぼみの膨らみ具合を確かめながら散歩する人の姿も。夏になると沖縄でおなじみのデイゴの赤い花や、ハイビスカスに似たハマボウの黄色い花が目を楽しませてくれる。

ジョギングコースは1周2㎞。途中には敷き詰められた小石で足裏を刺激する健康歩道もある

車いすで潮干狩り体験

遊び疲れたときに無料で利用できる休憩所は3か所にあり、売店と自動販売機、コインロッカーがあって便利。このうち「海とのふれあいセンター」には授乳室や幼児が遊んで学べるキッズコーナーもある。公園の中心となる「なぎさ広場」には更衣室、温水シャワー、車いす対応トイレなどを完備。水陸両用の車いすを無料で貸し出してくれるのも画期的だ(予約制だが当日貸出し可の場合も。介助者1名要)。車いすのまま潮干狩りに臨める熊手とライフジャケットも同時に借りられる。ちなみに、潮干狩りを楽しめるのは3月中旬から9月中旬頃までの干潮時刻の前後2時間ほど。使用できる器具など決まりがあるので、事前に確かめておこう。

柴口休憩所と南口休憩所には案内所、救護所、AEDも備えられている

潮干狩りではアサリ、カガミガイ、シオフキなどを無料で採ることができる。持ち帰りは1人2㎏まで