猿岩
「八本柱」のひとつ猿岩は何を見つめ、何を考えているのか
島の西にある湯ノ本温泉を過ぎて黒崎半島を進むと、唐突に左横を向いた猿が現れる。「猿岩」と呼ばれる奇岩で45mほどの高さがある。岩全体が猿の上半身となっていて、岩の盛り上がり方や木やコケの緑の広がり具合が絶妙に猿の横顔を浮かび上がらせている。その目はどこか遠くを見つめていて、口元はきゅっと結ばれているように見える。凛々しくもあり、ちょっと寂しげでもある。眺める角度によっても、その表情は微妙に変化してくる。見る側の心情によっても、その表情の見え方は違ってくるのかもしれない。壱岐にはさまざまな奇岩の風景が点在する。『古事記』の国生み神話で、壱岐は5番目に生まれる島として登場するが「八本柱」という伝説も残っている。神が島の周囲に8本の柱を立てて綱でつないだという伝説で、猿岩はそのなかで最も大きな「八本柱」のひとつとされている。その伝説を知ると、猿岩の表情は哲学的にも見えてくる。太陽の光の高さや天気によっても、たたずまいの異なる猿岩。夕暮れのシルエットもなかなか印象的だ。
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情報提供: ナビタイムジャパン