京都「御室仁和寺」で遅咲きの御室桜を愛でよう


2019.04.04

トラベルjp 旅行ガイド

京都の桜の見頃は例年4月上旬。それに合わせて観光客も年間におけるひとつのピークを迎えます。しかしそんなピークを避けて、4月中旬から見頃を迎える桜があるのです。それが世界遺産「御室仁和寺」で咲く「御室桜」です。遅咲きだというだけでなく、目線の高さで花を楽しめる御室桜の特徴とは?
ユネスコ世界遺産・仁和寺
御室仁和寺(おむろにんなじ)と言えば、古典「徒然草」でも登場し、「仁和寺にある法師」の話は教科書にも出てくる話としてご存じの方も多いでしょう。仁和寺は真言宗御室派総本山であり、ユネスコ世界文化遺産にも登録されている京都でも有名な寺院の一つです。
ちなみに「御室」とは天皇が出家して住まわれた御座所のこと。平安時代、宇多天皇が出家して仁和寺に御室を設けて住まれたことから、「御室御所(おむろごしょ)」と称されるようになったのです。以後、なんと明治維新まで代々皇子皇孫が門跡となったという「門跡寺院」と呼ばれる皇室とゆかりの深い寺院なのです。
また「御室」とは仁和寺周辺の地名にもなっていて、京都に本社を置くハイテクメーカー「オムロン」は創業の地である御室の地名からブランド名を考案したものなのです。
遅咲きの「御室桜」を楽しもう!
御室仁和寺は桜の名所として名高く、京都市内でソメイヨシノが散った後に入れ替わるように見ごろを迎える、遅咲きの「御室桜」が咲くことで知られています。この「御室桜」は江戸時代から庶民の桜として親しまれ、数多くの和歌に詠まれている歴史ある桜なのです。
中門をくぐった西側一帯に国の名勝に指定されている「御室桜」の林があります。現在の「御室桜」は1696年の伽藍再建の際に植えられたもので、約200株の桜があります。重要文化財でもある五重塔と「御室桜」のコラボレーションはまさに絶景です!
また御室仁和寺には御室桜以外にも染井吉野も咲いています。五重塔の前には見事な枝垂れ桜もありますのでお見逃しなく!
「御室桜」のその特徴とは・・・?
この御室仁和寺に咲く「御室桜」はソメイヨシノと比べると遅咲きという点と、低木で背丈が約2~3m程の高さにしかならないという特徴があります。
このため「御室桜」は普通の花見とは少し違った感覚。桜の花が目の前にあり、目線の高さで桜が楽しめるのです。五重塔も見通しのいい桜の林のいたる所から見えるため、ついつい撮影したくなるポイントも多いですよ!
またこの背の低い「御室桜」にちなんだこんな歌があります。
『わたしゃお多福 御室の桜 はなはひくても 人が好く』
花の低い御室桜と鼻が低いお多福をかけた駄洒落の歌なのですが、古くから京都ではこの歌はよく知られていて、一般大衆まで御室仁和寺の桜は広く知られていたのです。
低木の秘密は土壌にあり!
こちらは中門の少し上から撮った画像ですが、人の身長と比べてみても、「御室桜」の低さがよく分って頂けると思います。花も地を這うような高さから見事に咲いているのです。
さて、なぜ「御室桜」の背が低いかということですが、近年までは桜の下に硬い岩盤があるため、根を地中深くのばせないので背丈が低くなったと言われていました。しかし、最新の調査では岩盤ではなく粘土質の土壌であることが判明したのです。
しかし、土壌が粘土質であっても土中に酸素や栄養分が少なく、桜が根をのばせない要因の一つにはなっているようです。実は現在も「御室桜」の背の低さの秘密はまだ完全には解明されておらず、調査・研究が依然として続いています。いずれにしても、これほど桜を目の近くで楽しめる場所は日本でも珍しく、ぜひ桜の花との接近戦を楽しんでもらいたいところです。
この御室桜が咲けば、京都の桜は打ち止め!拝観上の注意点としては例年4月上旬ごろから伽藍が有料拝観となる点。逆に言えば桜の見ごろとなれば伽藍への入場に拝観料がかかります。開花情報などは御室仁和寺の公式twitterを参考にしてください。 

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御室仁和寺
place
京都府京都市右京区御室小松野町
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