能登半島を走るローカル線を「のと里山里海号」で堪能しよう!


2018.08.08

トラベルjp 旅行ガイド

石川県の能登半島を走るローカル線「のと鉄道」は、七尾駅と穴水駅を結ぶ全長33キロメートルの路線。以前は輪島や蛸島まで走っていましたが、過疎化や沿線人口の減少、道路網の整備などにより次々と廃線。経営的にも厳しい状態だったところ、起爆剤として生まれた列車「のと里山里海号」が大変な人気となり、「のと鉄道」に元気がもどってきました。北陸新幹線の開業もあり今注目の能登半島へ、観光列車で出かけてみましょう。
きれいで快適な車内が乗客をお出迎え
2015年に運行を開始した「のと里山里海号」は、2018年に運行3周年を迎え、記念のヘッドマークを掲げて運行しました。(現在はヘッドマークはありません)
多くの乗客を満足させる観光列車「のと里山里海号」は、平日に運行される「カジュアルコース」と、土日祝日に運行される「ゆったりコース」の2種類のコースから選んで乗車します。
車両は2両編成の短い列車ですが、内装はとてもゴージャス。里山車両と海山車両に分かれており、里山車両は車内のシートがオレンジ色に統一、海山車両は青色で統一されています。
どちらの車両も海向きの席とボックス席の構成で、トイレや車内販売カウンターなどもあり、快適な車内環境で乗客を迎え入れてくれます。
ボックス席はご家族やグループでのご利用に便利。中央に置かれたテーブルは折り畳み式で、使用する際にはテーブルを広げることができます。4人でお弁当を広げても十分な大きさのテーブルとなります。
平日と土日祝日で違う楽しみ方ができる「のと里山里海号」
海向きのカウンター席が「のと里山里海号」の特等席。ワイドな窓に流れる七尾湾の車窓もこの列車の魅力のひとつです。
平日(水曜運休)の「カジュアルコース」は、全席自由席で運行され事前予約なしでご乗車可能。車内でアテンダントに料金を支払う形で利用します。料金も乗車券に300円をプラスするだけで乗れるのでお得に「のと里山里海号」を体験できます。
土日祝日の「ゆったりコース」は、乗車のみのプラン、スイーツプラン、寿司御膳プラン、ほろ酔いプランなどのコースが用意され、車内でお食事やお酒、コーヒーなどを楽しみながら乗車できる「のと里山里海号」を堪能できるコースです。
乗車のみのプランでも、能登の銘菓と海洋深層水のペットボトルがプレゼントされる特典があります。
ぬくもりが感じられるあたたかい雰囲気の車内は、輪島塗や珠洲焼の器のディスプレイ、田鶴浜建具の組子によるパーテーション、能登上布によるヘッドレストカバーなど、随所に能登地方を代表する伝統工芸品が多く使用されているからでしょう。
「のと里山里海号」の「ゆったりコース」の乗車特典として、翌々日まで有効の帰りの乗車券がプレゼントされます。たとえば、七尾から終点の穴水まで乗車した場合、穴水から七尾までの帰りは無料で「のと鉄道」に乗れるという太っ腹な特典。乗車のみの利用でもこの特典が付きます。(カジュアルコースでは特典はありません)
能登の里山と里海の風景をじっくり見せてくれます
「のと鉄道」の路線は、七尾湾沿いばかりを走るわけではありません。観光列車の名前「里山里海」にあるように、里山の風景が見られるエリアも走ります。先頭列車の運転席横は前面展望が見られる座席があり、里山と里海の風景を両方楽しむことができます。
単線の線路、非電化の路線など、のどかなローカル線の雰囲気を醸し出す要素がたっぷり。非電化なので電線がない分、進行方向に伸びる線路だけが見えるというローカル色が十分に味わえるのが前面展望の特徴です。
とはいっても「のと里山里海号」では海の風景が最大の魅力。美しい風景が見られる場所では、車内アナウンスとともに徐々に列車がスピードダウン。写真撮影のためにしばらくの間停車してくれます。
同乗のアテンダントの聞き心地のよいアナウンスは観光案内も兼ねており、能登の魅力をさらに引き出しています。
国内に2両しかない鉄道郵便車を展示する能登中島駅
途中にある能登中島駅では10分ほど停車します。ここでは日本で2両しかないと言われる鉄道郵便車の見学ができるのですが、駅舎や駅名表示板も趣があるのでじっくりとご覧いただきたいところ。使われているフォントが昔っぽくていいですね。
停車中は駅から出ることもできますが、このあたりは時期によっては名産の牡蠣を扱うお店が多い地域。さすがに10分という短い停車時間ではお店に行くのは厳しいですが、終点の穴水駅では、冬季限定で牡蠣炭火焼き店「あつあつ亭」が営業しているので、本場の「能登かき」を召し上がりたい方は下車後に穴水駅でお楽しみいただけます。
能登中島駅での停車中にぜひ見ていただきたいのは鉄道郵便車「オユ10」です。昭和の時代は全国各地で走っていた郵便車。車内で郵便物を仕分けしながら走行していましたが、昭和61年に鉄道郵便が廃止され各車廃車の運命に。しかしこの「オユ10」を含めた2両だけが現在、日本で保存されています。
郵便局内の一室かと思うほどの車内。郵便輸送の主役が鉄道だった時代は、大活躍した車両だったはずです。全国に広がる鉄道郵便のまさに中枢的役割をした車両をじっくり見学できます。
能登中島駅を発車するといよいよ終点穴水駅へ到着です。わずか1時間の乗車がとても短く感じます。穴水は能登半島への観光の拠点であり、レンタカー会社や能登各地に向かうバスも発着しています。
穴水駅はのと里山空港にも近いので、東京からの観光客も「のと里山里海号」に気軽に乗車できます。車内で能登の新鮮なお寿司をいただくもよし、能登杜氏が造る地酒をいただくもよし、さまざまな楽しみ方ができる観光列車「のと里山里海号」。能登観光の思い出作りにぜひ乗車してみてください。 

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のと鉄道株式会社 本社
place
石川県鳳珠郡穴水町字大町チ24-2
phone
0768524422
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